アサカの人化人相がバレたため、新たに模倣人化のスキルをアサカが取得する。
模倣人化は、見た人の外見を模倣する人化スキル。
これで、アサカの暗躍も問題無く行われるだろう。
だが、何故か美人でスタイルが良い女性になる。
完全模倣ではなく、模倣の上に修整して、尚かつ綺麗に盛っていた。
アサカのこだわりと熱意には負ける。
私は体積的に身長を上げられない。
ガリ細の骨はいや。
胸もこの身長で出したら、奇形児になるので泣きたい。
私とザンガは世界の工作ダンジョン作成に旅立った。
サブダンジョンさえあれば何時でも日本に戻れるし、工作の再開も可能。
ーーーーーー
アサカの事件が有ったその後。
いつの間にか、アサカが日本ダンジョン対策本部のトップ及び重要人物を眷属にしていた。
危険の排除のためだそうな。
アサカ、トンデモ秘書で出来る秘書だよ。
そして、トップからアサカに相談があり連絡が来る。
『サクラさん、日本ダンジョン対策本部で問題が出ました』
『なに?』
『ダンジョン対策本部が、一般人のLv確保とLv上げ支援、ダンジョン対策部隊の増強をしたのは良いのですが。
リトルダークウィスプでできるLv上げが頭打ちになり、Lvを上げられるモンスターが居ないので、Lvが上げられない問題です。
それに日本に見つかっているダンジョンが無いので、後輩の教育が出来ないと。
いま日本にはリトルダークウィスプしかいません。
対策が必要に思います』
確かにリトルダークウィスプは大量に居るが最弱、討伐しても低Lvからあまり上がらない。
アサカに、日本に戻って対策会議をすると伝え。
アジア大陸工作ツアーを中断して工作ダンジョンに戻り、日本にザンガと転移する。
そして、3人に連絡して会議を開く。
タケルの会議室に全員が揃い対策会議をする。
「今日集まってもらったのは、アサカからダンジョン対策本部が抱える問題の解決策を皆で検討するためだ。
アサカ、説明を宜しく」
「はい!」
カッンとハイヒールの音を立て立ち上がる。
左手には革張りのバインダー、右手には指示棒。
カッカッカッと音を響かせ、テーブルの横に進み。
そこにはホワイトボードがあり、大きく゛ダンジョン対策部隊の問題対策会議゛と書かれている。
バインダーから書類を4枚出し各人に渡す。
「この報告書に現状の問題点が書いてあります。
内容は……………」
ホワイトボードに問題点と書き、メガネをクイクイと上げながら説明をする。
注意点として無差別殺人のモンスターを日本には出さない事。
最後に指示棒でビシリ! とホワイトボード上の゛対策案゛を指し。
「対策を検討する!」で締める。
出来る秘書アサカが現れた。
トウカが難しい顔で発言。
「モンスターも無い、ダンジョンも無い、難問です。お嬢様」
そこでタケルの頭の上にピコンとランプが灯る。
「修行用のダンジョン作れば良いんじゃない?」
私は思わず「それだ!」とタケルを見る。
さすが、ラノベやゲームに詳しいタケル!
「ダンジョン対策部隊に破壊されませんか? お嬢様」
「確かに…………
アサカ、ダンジョン対策本部のトップに確認して、危険が無い修行用と認知させられないか?」
アサカはホワイトボードの対策案に゛修行用のダンジョン゛と記入。
その下に、゛対策本部の誘導゛と書く。
「可能と考えます。
案を対策本部の眷属に相談して後ほど提案します」
メガネをクイッと上げて宣言する。
「よし、その案を実行しよう」
「お嬢様、サブコアが無かったはずでは?」
「大丈夫、私がコア取った清中共のダンジョンがまた多く増えてる。
ちょっと行って10個ほど取ってくる」
「オレも行くぜ!」
すかさずザンガが参加を主張する。
当然タケルが修行ダンジョンの作成に意欲を出す。
「俺は修行用のダンジョンを設計するよ」
「そうだね、初心者からベテランまで順序よく修行できる構造で、罠は簡単な物から難しい物まで用意して、罰はペイント弾で恥じてもらましょう」
「おk、難度に応じてペイント弾も増し増しにするぜ!」
「Lvで入る場所を制限して、無双不可能でよろ、通路は迷宮と大部屋とボスで。
空戦ができる広い部屋と飛行モンスター多めに。
国外から来るモンスターは飛ぶモンスターが多いと思うから」
「おk」
「20日もあればサブコアを取ってくる。
トウカ、それまでアサカとタケルと相談しながら計画を決め、すぐに取り掛かれる段階まで3人で進めて」
「了解致しました、お嬢様」
何時ものトウカに丸投げするサクラであった。
最後にアサカがホワイトボードに゛対策案決定゛と書いて、メガネをキラリ! と光らせ、指示棒でホワイトボードを叩いた。
いつの間にかメガネを光らす魔法を覚えたアサカだった。
実は、随分前からトウカも謎の老執事を演出していたが、謎なのでサクラが気が付いていなかった。
寂しいトウカだった。
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清中共出張の準備をして翌日の朝に清中共に転移。
その日より2日で1ダンジョン攻略と言う、ハードスケジュールをこなす事になった。
各地のダンジョンを転移で移動しながら、広範囲からダンジョン見つけ攻略し、サブコアを入手する。
ダンジョン攻略軍団も連続の攻略で連携もLvも上がり、普通のウェアウルフがウェアウルフリーダーと、中にはメイジウェアウルフ等のレアモンスターに進化していた。
攻略スピードもどんどん上がる。
ある日、ダンジョン攻略を開始して数時間後にダンジョンが消え、外に排出された。
清中共で初めてサブダンジョンと分かった瞬間だった。
それまでは、サブダンジョンと本ダンジョンの区別がつかない。
これからは複数のダンジョンを持つ敵と戦う準備と覚悟をする。
サブコアを10個揃え日本に帰国する。
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帰国後1日休んで次の日の朝、4人と会議をする。
「トウカ、修行ダンジョン計画はどうなってる?」
「はいお嬢様、いつでも出来るようになっております。
アサカより説明させます」
アサカが出来る秘書スタイルでホワイトボードの前に立つ。
バインダーより書類を4つ出して4人に配る。
タイトルは゛修行ダンジョン提供計画゛と書かれている。
アサカはメガネをクイっ上げ、キラリと光らせ説明を開始した。
……
…………
………………
「よし! それで行く!」
即決で最終決定が下された。
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翌日、アサカと最初の修行ダンジョン設置場所に来る。
ここは、地方の住人が少ない街の近くにある小さな山の峰。
地方再生を応援するため、立地がよくアクセスもしやすい場所に修行ダンジョンを作る。
小山の峰の一見見えない場所にダンジョンを作成。
コアルームにトウカとタケルを呼び。
ハイエルフを召喚してサブマスターにする。
「タケル、ここに修行ダンジョンの作成を頼む。
そしてタケルに眷属スキルを追加して、ここのサブマスターのハイエルフを眷属にし、タケルが全ての修行ダンジョンの指揮を行なえ。
頼んだぞタケル」
「おk、俺に任せて」
「今日中にダンジョンを作って、明日作戦をする。いいか?」
「おk、問題なし」
「アサカ、明日より修行ダンジョンの提供作戦を実行!」
「了解しました」
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翌日の早朝、アサカが地元民を装い数少ない駅の公衆電話からダンジョン対策本部へ電話をする。
「もしもし、ダンジョン対策本部ですか?」
「はい、日本ダンジョン対策本部の緊急連絡受付です」
「XX県XX市のXX町のXX山の麓にダンジョンを見つけました。
モンスターは見なかったけど、怖くて怖くて。
早く対処お願いします!」
「分かりました、確認します。
XX…………………………の場所ですね」
「はい」
「調査部隊を送ります。案内は出来ますか?」
「嫌です! 怖くて怖くて近寄りたくないです!」
「はい、ではこちらで調査します」
その後いろいろ話をして電話を切る。
そして、2日後にダンジョン対策部隊の巫女がいる精鋭部隊と中級部隊、初級部隊の3チームで調査する事になった。
これは、事前にダンジョン対策部隊のトップに連絡して巫女のいる部隊と2部隊を送ることを指示していた。
ダンジョン対策部隊のトップはアサカの眷属で、修行ダンジョン計画の協力者だった。
ちなみに人間の眷属には、管理者とコア関係の情報以外の個別情報は伝えても問題が無い。
なおかつ人間の眷属が外部に情報を伝えようとすると死亡する呪いが掛かっている。
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2日後午前にダンジョン対策部隊の精鋭が到着する。
ダンジョンの入口はすぐに見つかり、調査を開始する。
内部はいかにもダンジョンと言える、横に5メートル縦に3メートルの石造りの広い通路。
全体的に少し暗い夕方の明るさで歩きやすい。
入って直ぐに大部屋になり、正面に7つの通路があり。
上に看板がある。
通路の上に右から、無、低迷宮、低広域、中迷宮、中広域、高迷宮、高広域、と書かれていた。
右の壁に通路が有り、その先は大きな部屋以外何もなかった。
精鋭部隊が無の通路に入った瞬間転移罠が発動。
部隊全員が緊張してモンスターハウスを警戒。
大部屋に転移したがモンスターが居ない。
正面の通路を進むと最初の部屋に戻り、残った2チームが奇妙な顔で迎える。
その後、低迷宮と中迷宮と入るが転移して右の大部屋に戻る。
他の通路も試したが、精鋭が入れるのは高迷宮と高広域だけだった。
残り2チームが精鋭に続き高広域の通路に入るが転移して元に戻る。
通路に入るだけの調査を行った結界。
精鋭は高迷宮と高広域だけ入れる。
中級部隊は中迷宮と中広域だけ入れる。
初級部隊は低迷宮と低広域だけ入れる。
無は予測だがLv無しが入れるだろう。
まずは3チームが分散して高中低の迷宮通路に入り、モンスターを見たら戻るように指示し、チーム毎に中に入る。
通路の先には部屋が有り3つの通路がある。上の看板に高・中・低とあり、進む通路と転移して元の大部屋に戻る通路があった。
精鋭部隊は低の通路しか入れなかった。
入った先はメイズの様な枝分かれした通路があり、モンスターが徘徊していた。
3チーム全員が最初の部屋に戻り、同様の構造だった。
次に、同様のルールで高中低の広域通路に3チームが分散して入る。
入った先に、同様に高中低の通路がある。
その先は東京ドーム6個分の大きな部屋に、丘に草原や森や林が点在している自然の風景、日中の様に明るい。
見かけるモンスターは1名か2名で倒せそうなモンスターだ。
全員が元の大部屋に戻り相談する。
無以外は迷路と広域のLv別による分断だった。
当初はLvによる分断罠を考えたが、通路の先はソロまたは少数で倒せるモンスターだったため。全員の感想が、ここってLv上げダンジョン? だった。
その時、巫女の上から1枚の紙が落ちてくる。
拾って読むと。
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チャレンジダンジョンへようこそ!
このダンジョンからモンスターが外に出ません。
これ、もっと増えるよーー ハート。
by メタルフェアリー
この紙は極秘でね!
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巫女は一瞬にメタルフェアリーが誰か分かった。
あの金属球体で半透明の4枚羽があるダンジョンマスターだ。
(あのマスターは一体何考えてるんだ!!!)
と心の中で叫んだ。
そして、緊張が一気に消え肩の力が抜けてしまう。
読んだ精鋭チームも一斉に脱力した。
そして巫女は気ずく、ダンジョン対策本部にLv上げ問題が有ることに。
(メタルフェアリー! タイミング良すぎだろ!)
この日は一旦調査を中断して、明日以降詳しく調査する事にした。