翌日の早朝。
ダンジョン対策部隊の各メンバーが入れる通路別に、パーティになり。
状況調査とモンスターの討伐調査に入る。
予定時間に最初の分岐部屋に戻り、調査報告をする。
まずは、迷宮通路の近くのモンスターは弱く一人で倒せる。
奥に進むと少しずつ強くなるがソロか少人数で倒せる。
Lvが上がった者も数名出た。
中には同じ通路に入れず、次の通路に入れた。
広域の通路では飛行モンスターが出てきて、魔法か飛び道具が必要になる。
全員の感想がLv上げに最適なダンジョンと判断した。
モンスターが外に出ないのであれば利用したほうが良い。
巫女は思う。
これでは、周到に計画されたトレーニング施設だ。
その後、数回の調査を行い終了し、ダンジョン対策部隊トップに報告と相談を行った。
もちろん手紙の内容と対策部隊の初見も添えて。
そして、無の通路の調査人員が必要と報告する。
ーーーーーーーーーー
翌朝、ホテルのラウンジで待っていると、武装バスに乗って装備を整えた十数名の職員が入ってくる。
多過ぎだ!
やる気の有る若者やOL風メガネ女性、白髪の老人におばちゃん、理解不能集団だった。
だが、みんな楽しみな様子で笑っている。
思わず顔に手を当て。
(ダンジョンに入ると言うのに危機感がまるで無い!)
物見遊山な集団と部隊を連れてダンジョンに武装バスで向かう。
…………
ダンジョン前に着き、ダンジョン対策部隊を先頭に最初の大部屋に入る。
この場所で、職員全員に説明と注意を行い。
まずは強そうな若者数人に、各通路に入って出るだけを試す。
やはりLv無しは無にしか入れない。
若者を先頭に集団で行動し、危険があればすぐに引き返すよういい含め送り出す。
…………
20分ほど過ぎると全員が戻ってきて、楽しげにLv保持者に成れましたと報告する。
詳しく聞く。
通路の先には大きな体育館程度の部屋が有り、噂の黒い霧のような玉が多く居てフヨフヨと漂っていた。
若者達が警戒しながら近づくが、攻撃も無くフヨフヨと飛んでいるだけ。
リーダーの若者が試しに1匹をサバイバルナイフで切りつけ、霧のように霧散して消える。
そして大声で、「Lvを取得した!」と。
周囲に居た若者達が近くの黒い霧を持っている獲物で倒す。
そして「Lvゲットーーーー」「やった!」
と騒ぐ。
後ろにいた人達が、その声を聞いてそれぞれの武器を手に構える。
そして、モンスターに慎重に近づき黒い霧に一太刀。
呆然と消えるのを見た後、小声で「Lv取得者になった」と呟く。
リーダーは試しにもう1匹倒したが変化は無かった。
全員のLv取得を確認して部屋の周囲を調査した。
その時は既に黒い霧のモンスターは気にしなかった。
結果、部屋の中に入ってきた通路以外何も無い。
そして全員で出てきた。
調査結果を聞いてやはり、無はLv取得の部屋だった。
それも安全に取得できる。
その後、全員が無の部屋に入れず、低迷宮の低の通路のみ入れるのを確認する。
若者達から低迷宮の低に居るモンスターを倒したいの要望が上がり、職員に聞くと全員がやりたいと言う。
モンスターと戦うのは怪我や死ぬ危険があると強く説明するが意見は変わらず。
仕方が無いので、6人パーティを作り説明と戦闘の注意を1時間ほど行い、低迷宮の低に入れるダンジョン対策部隊の付添で2時間だけ入って討伐を許可する。
約2時間後に職員全員が笑顔で戻り、Lvが上がったと報告される。
そして、また討伐したいと声が上がる。
この結果に私は呆れた。
(メタルフェアリーはなんてダンジョンを作るんだ。
これではLv取得者のトレーニング施設だ。
それも、周到に計画され作られたトレーニング施設。
決して危険なダンジョンでは無い。
まるで、早く強くなれとお膳立てした施設だ)
脱力にも似た目眩を感じる。
職員を説得して武装バスでダンジョン対策本部に戻す。
本部はきっと驚きをもって彼らを迎えるだろう。
口伝で話が対策本部内に広まり、多くの職員が行きたいと要望を上げるのが目に見える様だ。
やはり目眩と頭痛がする。
その後1日調査を行い、中級部隊を監視に残して、ダンジョン対策本部に戻る。
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翌日、調査報告と会議を行う。
結果、まずは対策部隊のトレーニングに使う。
一般国民にLv取得に使えるのでは?
の意見に、一般公開についてはもう少し様子を見て決定することになった。
また、日本政府にも詳細に連絡する。
日本政府としても安全に一般人がLv保持者になる事は歓迎であり、積極的に関与して一般に公開したいと考えていた。
ダンジョン対策庁も政府の方針に賛成であり、公開方法の策定や法律の原案作成を行う。
その後、1、2週間毎に女性からダンジョン発見の電話が有り、ダンジョン対策本部は死ぬほど多忙になる。
ダンジョン発見は数カ月間に行われ、10ダンジョンが全国に見つかる。
その結果ダンジョン発見から半年で、緊急案件として法律が可決された。
ダンジョンの入場管理するため、ダンジョン周辺が開発される。
国民にも数ヶ月後には利用可能になると告知された。
かねてからネット上で噂されていたチャレンジダンジョンが、日本政府より公式に発表された。
その日のネットは爆破したような祭りになり、多数のサーバーがダウンする。
そして、第2のモンスター討伐ブーム改め、チャレンジダンジョンブームが起こる。
チャレンジダンジョンブームが始まると、Lv取得により体が丈夫になり、事故による怪我が減少し、病気も強く健康になると一般に広まった。
Lv保持者は魔素が徐々に体に馴染むため、細胞が強化され体調不良や病気になり難くくなる。
そして多くの家庭から子供をLv保持者ににしたいと要望が寄せられた。
その声が日に日に大きくなり、日本政府も無視できなくなる。
私もアサカを通して影から有力者に働きかける。
場合によっては、強い反対者に病気の呪を掛けて退場して頂いた。
退場者はマスコミ関係に多くいた。
その結果、ダンジョン対策庁がサポート組織を計画して積極的に政界に働きかける。
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チャレンジダンジョンの公開から1年後、小学校以上の学校行事とし安全なLv取得が行われる。
Lvを持っていない職員が付き添い、無の通路に入り、渡された木の棒で黒い霧の玉を1つ叩くだけのLv取得である。
因みにLvを持っていない職員は、ダンジョン対策本部に高給で採用された政府職員だった。