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第47話 モンスター襲撃1


 チャレンジダンジョンが軌道に乗る頃。


 夜の帳が降りた時、対馬島の監視ダンジョンから連絡がアサカに来る。


『アサカ様ニイイチです、朝鮮半島からモンスターが数体日本に向かっています。

 対馬島に到着は約1時間です』


『分かった、すぐにサクラに連絡する。

 そのまま追跡監視を、何かあったらすぐに連絡』

『了解』


 計画に従いアサカからサクラへ緊急連絡する。


 連絡を受けた私は皆を招集し、ザンガと共に日本に転移。


 私、ザンガ、アサカ、トウカ、タケルが対馬島の監視ダンジョンコアルームに集合する。




 ダンジョン管理領域監視視点をスクリーンに映して、全員で見る。

 夜でもスクリーンには夕暮れ程度の明るさで見える。

 私は6体のモンスターグループを見て分析する。


「あれは多分ダークウィスプのチームですね、6体が纏まって飛んでる」


「その様ですね、お嬢様」


「何となく作為を感じるな。

 もし、モンスターが流れて来るなら、バラバラに来ると思う。

 数が少ないから襲撃とも思えない。

 ダンジョンマスターが指示した斥候か偵察か」


「そんな感じですね、お嬢様」


「サクラ、一直線に対馬島に飛んでくるのも作為的だな」


「うん、朝鮮半島にもダンジョンマスターの組織が出来ていても不思議は無い。

 彼らは日本を恨んでる人もいるから、その関係で日本を襲う可能性がある」


「だな」


「タケルが前に予測した通りだな」


「ホントにな!」


 5人が真剣にスクリーンを見て分析を続ける。




 さて、単に倒すのは簡単だ。

 その後の展開を予想して対処が必要だ。


 相手のダンジョン管理領域が対馬島までは無いだろう。

 管理領域が広いと作成のDPと維持に使うKPも多い、簡単に拡大できないはずだ。


 今回の迎撃は安全を見て、対馬島から5キロの地点で迎撃し最速で殲滅を行う。


 相手に情報を一切渡さない方向でいこう。

 それにより時間を稼いで防衛体制を作る。




「今回、飛行できるのが私しかいない。

 まずは私が対馬島手前5キロの地点で全滅させる。

 相手に一切の情報を渡さないため一匹も逃さない。


 私は今から出撃して迎撃地点で待つ。

 4人は私がいなくても迎撃できる具体的な体制を検討して。

 特にタケル、防衛計画をここで実際に試す試験場のつもりで腕をふるって欲しい。

 いいか?」


「おkーーーーーー、待ってたぜ、俺に任せろ!」


 タケルは随分前から国外からのモンスター襲撃が来た時の、防衛プランを考えて、私と何度も議論した。




 問題はどの程度を想定するか?


 将来、多数のダンジョンマスターを従えた強力で強大なダンマス組織が出来る。


 ダンジョンマスターである私の日本での暗躍と組織化。

 日本のダンマス組織やダンジョンの有り方を知った時、他国のダンマス組織が日本のダンジョンマスターを脅威と判断する。


 そして最初に日本を単独や少数で調査や威力偵察を行う事も十分予測できる。

 調査後に襲撃するモンスター集団が来るだろう。


 尚かつ近い将来、日本が世界の安全地になると予想がついた時、強大なダンジョンマスター組織が集中して大襲撃に曝されない訳がない。


 国際紛争より先に膨大なモンスター集団の襲撃が有る。



 だが、それは将来だ、今は必要ない。

 今、焦って防衛組織を作る必要も無い。




 そして、いつモンスターが来るのか?


 これは、予測がつかない。

 たぶん、日本に流れて来るモンスターか斥候的なチームが来ると予測していた。


 それが今回だ、試験的に防衛体制を作る良い機会になる。

 このテストケースをうまく利用して防衛体制を作る。


 危惧は、ダンジョンマスターが【インビジブル】を使うと監視に掛からない。


 それに日本はとても広い、監視エリアはとても狭い。

 日本全域をカバーするのは今は無理。

 監視エリアの外から飛行モンスターや船、飛行機、泳ぎで来たら見つけるのは不可能だ。


 やはり、ダンジョン対策本部の情報網と物量が要る。

 残念だが徐々に作って行くしかない。




「トウカ、国外からのモンスター襲撃が現実のものになった。

 当面は朝鮮半島から来るだろう、それをサンプルとして使用する。

 監視と防衛の会議を頼む」

「畏まりました、お嬢様」


「では、今から迎撃に向かう」

「お気をつけください、お嬢様」


 私は椅子に座って胸にある金属球を手でカチリと取り外して手の平に持つ。


 金属球に憑依を変えると、元の私は木のデッサン人形になり椅子にクタンともたれ、木の手がカランと落ちる。


 金属球は透き通った2対4枚の光の羽で浮いていた。


 モンスターの進行方向にある対馬島から5キロの地点に転移する。


 私のダンジョン管理領域のマップを出し、敵モンスターの位置を確認。


 【物理防衛強化】【魔法防御強化】【インビジブル】を掛け、モンスターの高度より上に浮く。


 10分ぐらいで到着するだろう。


 しばらくマップを徐々に拡大しながら見る。

 もう見えてもいい頃、よく見ると遠くに薄く黒いシミの様な点が見える。


 よし、上空に登り、相手の速度に合わせながら近づく。

 6体が十分入る範囲に向かって魔法を放つ。


【範囲デス】【範囲睡眠】【範囲麻痺】

【範囲デス】【範囲睡眠】【範囲麻痺】


 念の為複数の魔法を2回行う。

 掛けた1秒後にダークウィスプは霧になり消えた。

 小さな魔石が海に落ちていく。


 マップに他のモンスターは居ない、迎撃成功。


 転移で対馬島の監視ダンジョンコアルームに転移、パペットドールの胸にある紐にカチリと取り付け、パペットドールに憑依する。

 何故かみんなが見ていた。


「戻った、迎撃成功!」と言ってブイ字の手を上げる。


「お疲れ様です、お嬢様」

「サクラ早すぎ! 防衛会議のサンプルにならないよ」


 とタケルが不満を漏らす


「まあまあ、私も入れてよね、私もアイデア出したいし」

「仕方ないなー」


 朝まで5人で防衛会議をする。


 決まったのは次の内容。


1、人がこないカモフラージュできる場所にドラゴンが余裕を持って出入りできる、大きい入り口のダンジョンを作る。


 もし見つかっても事前にアサカが、ダンジョン対策本部と対策部隊のトップに話し、害の無いダンジョンとしてダンジョン対策本部の管理ダンジョンにする。


 使うサブコアは世界を巡る中で、十数個の休止中サブコアを常に持っている。



2、当面、敵モンスターの数を200程度として、こちらも200程度とする。


 ただし全てのモンスターに、デス、麻痺、睡眠をMAXにする。

 これは、状態異常耐性・精神異常耐性・呪い耐性の3耐性がLvMAXでないと防げない。


 尚かつ、状態異常耐性・精神異常耐性・呪い耐性をMAXで防衛の全モンスターに付ける。

 相手からの同じ戦略に対抗するため。


 物理防御強化、魔法防御強化魔法をMAXで付ける。


 半数を単体物理攻撃力の高いモンスターにする。


モンスター構成は。


 ハイダークウィスプ 50 (隠密、デス特化)


 ハイピクシー    50 (デス、回復、補助、攻撃魔法の特化)


 ハイブラッドスパロー  50

  (高位の血塗られた雀。

   超高速飛行スキルを持ち、ライフル弾より速く飛行し相手を突き抜く。

   マシンガンより多くの羽の弾丸を飛ばす。

   超高速移動特化の物理攻撃。

   逃げるモンスターの確実な追撃のため。

   飛んでいても普通の雀に見え、羽の一部に赤の模様が入る)


 各属性ドラゴン      50

  (大型物理攻撃とドラゴンブレスで広域攻撃担当

   属性は、火、水、風、土、光、闇の6属性。

   その他に発展型の属性があるが未開放だった)


 エンシェントライトドラゴン  1

  (防衛軍団のリーダーにする。

   エンシェントドラゴン専用スキルに竜人化と人化を持つ。

   この専用スキルは身体そのものを変化するため、ステータスはとても強い人間になり、ドラゴンのスキルが使えない)



 これらは全て私が生成したモンスターにする。

 もし防衛ダンジョンの移動が必要の時には、ダンジョンをリセットする。

 その時消えないように私のダンジョンモンスターとした。


 召喚したエンシェントライトドラゴンをサブマスターにしてタケルの眷属にし、タケルに防衛部隊のまとめを頼んだ。




 この軍団を作るために並のダンジョンが数十作れる程、大量のKPとDPを使った。


 前回のダークウィスプが200来ても、各種族の4体が居れば逃亡者を出さずに殲滅できるだろう。

 ただの撃退ならドラゴン1体でもいける。


 だが、重要なのは情報の持ち帰りを阻止する事。


 私は中途半端な防衛部隊を作る気はない。


 まあ、はっちゃけたとも言う。

 KP余りまくっているし。



 奇妙な顔をしたトウカに指摘される。


「お嬢様、これは過剰戦力では?」


「いや、防衛のモンスターに手抜きはしない。

 それに、色々なチームを作って防衛戦力の試験をする。

 経験をする事は重要だ、その結果日本の防衛対策に反映できる。

 それに、逃げて情報を持ち帰りを阻止することも重要。

 タケルよろしくね」


「任せておけ! 色々な部隊で試験して反映するぜ」


 タケルは目をキラキラさせながら、自信満々に答える。


「お嬢様、普通のダンマスはKPもDPも安全の範囲でぎりぎり使用だと思います。

 過去の私はKPはカツカツでやってました。

 お嬢様が特殊だと思います」


「確かに無駄遣いは良くないね。

 でも、世界には10万KPを取ったレコードホルダーが多くいるし。

 油断は出来ないけどね」


「了解しました、お嬢様」


 トウカとしては、KPの重要性をお嬢様に確認したくて話を振っている。

 一応の回答を得られて納得するトウカ。

 サクラはしっかりしているようで抜けている事もある、そのフォローを私がしようと決意を新たにする。



「ここでの経験を元に北海道の防衛部隊を作る。

 タケル、頼む」


「おk、任せろ!」





「問題は、監視エリアがとても小さい。

 監視外から来た場合の対処だ。

 アサカ」


「はい!」


「ダンジョン対策本部と対策部隊の長に今回の件を話して、ダンジョン対策本部として監視体制、防衛体制を作る様に指示。

 そして、速やかに情報がこちらに来る組織を作れ。

 いいか?」


「了解しました、出来る秘書アサカにお任せを!」


 今のアサカは頼んでいる事が多い、何かサポート出来ないか?

 サポートするにも人間に化ける必要がある。

 そうだ! エンシェントドラゴンだ。


「此処での対処は終わり。

 5人でタケルの闘技場に転移、見せたい者がいる」




ーーーーーー




 闘技場に転移後、入り口の端に5人が揃う。

 私が闘技場に広場に向かい召喚する。


 大きな召還陣が闘技場の全体に6つ浮かび光り始める。

 光が消えると巨大なドラゴンが6体現れる。


 それぞれ、火水風土光闇のエンシェントドラゴンだ。


 羽を畳んだ状態で全高16、横10、全長60メートル(尻尾込み)のドラゴンだ。

 体色が各属性の色になっている。

 顔つきも威厳があり、睨まれたら震え上がるだろう。

 広い闘技場が窮屈そうで狭く感じる。



 当然、デス、麻痺、睡眠、物理強化、魔法防御強化の魔法LvMAX取得。


 状態異常耐性、精神異常耐性、呪い耐性のスキルLvMAXを持つ。


 密閉スキルLvMAXを取得、種族以外のステータスを密閉する。


 ドラゴンの人化種族スキルは種族が人間になる、鑑定では人間と表示される。

 ステータスは異常に高いので密閉し、見えなければ不審を持つがモンスターと断定出来ない。




「各属性のエンシェントドラゴンを召喚した。


 エンシェントドラゴンは種族スキルに竜人化と人化が有る。

 この人化は体自体を変化させるのでステータスも人になる。

 ただし、とても強いのでステータスはスキルで密閉する。


 エンシェントドラゴンの皆! 人化してここに集合!」


 各ドラゴンが光に包まれると共に人間になり、走って私に前に来て気品ある礼をして一斉に。


「「サクラ様、御身の前に!」」



 外見は、金髪と黒髪のバリエーションの髪、3人が背が高く美丈夫でハンサムな男、3人が背の高いグラマーな美女だった。


 瞳が属性の色、光が金の瞳、闇が黒曜石、火がルビー、水がコバルトブルー、風がスカイブルー、土が琥珀色。


 女性は光、風、水の属性だった。

 私は女性が居ることに驚いた。


 彼女達は、動きやすく民族衣装風の優雅なドレスだった。


 男達も動きやすそうな民族衣装風のズボンとスーツ。


 私はトウカたちに向き彼らを紹介する。


「こちらの6人がエンシェントドラゴンの人間形態だ。

 ステータスは種族が人間以外密閉しているが、鑑定で隠していいるのが見れるので注意」


 その後各人が簡単な挨拶をした。


「アサカ!」

「はい!」


「アサカの仕事が多いと思うので彼らをサポートに付ける。


 対策本部に海外からの調査員として、ダンジョン対策組織に出入り出来る身分にするのがいい。


 そして、アサカの護衛にするのもいい。


 彼らは強い、私達の仕事以外の戦闘は緊急以外してはいけない。


 何故なら、日本の対策部隊が力を付けるためだ。

 彼らが活躍しては本末転倒になる。


 例えば日本にとって必要な人、精鋭部隊など他の変わりが居ない人は助けるべき。

 判断はアサカに頼む。

 いいか?」


「はい、出来る秘書アサカにお任せをください!」


「助ける時は密かに頼む。


 場合によっては、開き直って見えない所で竜人に変わり、飛んで来て助けて直ぐに飛んで逃げるのも良い。


 竜人に変われば外見も変わるし。

 ドラゴンのスキルが5分の1の力で使える。


 方法はアサカに任す」


「お任せください!」


「よし。

 トウカ、タケルも護衛に必要なら1体召喚して護衛にするのも良いが、彼らは転移もインビジブルも出来ない。

 タケルなら抱っこも不可能じゃないが、トウカは難しい。


 転移であちこち行くと護衛は無理かな……」


「俺、抱っこ転移は嫌だ!」

「私も無理です、お嬢様」


「アサカは1体なら何処でも転移で護衛できるね。

 お姫様抱っこで!」


「うっ、善処します」





 その後、アサカは6人を連れてダンジョン対策本部に行き。

 眷属であるダンジョン対策本部と対策部隊の長に紹介する。

 アサカ含み7人が国外から来た調査員の身分を作る。


 これで何時でもダンジョン対策本部、対策室等の各部署に訪問できるし、資料等の口頭でない情報収集も問題無い。


 彼らの情報は秘密として所属する。


 アサカ達が本部内を歩くと、飛び抜けた美女とハンサムが目立ち、見かける人全てが注目する。


「今の美女、お茶に誘えないか?」

「右の美女は俺の嫁!」

「あの人、彼女居るかな?」

「け、結婚したいわ」


 等々、不穏な発言が漏れる。






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