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第56話 モンスター撃墜8



 イージス護衛艦の会見で公表された迎撃の遅れ。

 これをマスコミや野党は放置しない。

 彼らが防衛省、防衛大臣、閣僚、保守党を攻撃する。


 ダンジョン対策省は、多くの部隊が被害になりながらも市民を守りモンスターを殲滅したため、攻撃より強化を世論は強く求めた。


 そして被害者や周囲からダンジョン対策部隊に入りたい人が殺到する。


 怨みも有るだろう。

 職が無くなり国の募集に飛びつく人もいるだろう。

 自己を、何かを守る為に力を求めた人もいるだろう。


 それら全ての受け入れをダンジョン対策省は発表する。


 それを見て全国の職が無い人も、半ニートもダンジョン対策部隊に応募する。




ーーーー




 日本政府は海上自衛隊の迎撃遅れが致命的になり、国政の信用が地に落ち始める。


 状況を打開するため会見の数日後、最初にハーピィを倒した初級対策部隊と狙撃を行った部隊を国民栄誉賞に表彰する。


 この表彰は討伐中に決定されていた。

 討伐終了後の早い段階で表彰の場を作り、国民に明るい話題を出したかったのだ。

 それ程に狙撃と対策部隊の連携は飛行モンスターの切り札になっていた。


 国政の信頼を回復するため、この表彰に合わせて全国民に向け新しい政策を発表する。



1、自衛隊の陸海空の多くを九州と中国地方に派遣して、海外からのモンスター襲撃に対処する。

 強力な攻撃は海に対してのみ行う。


 自衛隊の移動は討伐中にも行われていたが、正式に国民に発表した。



2、ダンジョン対策省の予算を数倍に増やし、海外からのモンスター襲撃対処能力を上げ国民の命を守る。

 具体的にはダンジョン対策部隊の大幅増員を行う。

 飛行モンスターを討伐する新しい部隊を自衛隊と共同で新設。



3、国民自身が強くなる為に積極的にLv取得者を増やし、それを支援する組織を作る。

 国民がさらにLvを上げる為の環境を作り、支援する組織を作る。

 この組織はダンジョン対策省が行う。


 チャレンジダンジョンが多くの人に開放され、移動や宿泊補助、講習、実地研修等が行われる。



 多くの国民は1、は当たり前だと思い。

 2、は大いに歓迎し。

 3、は熱狂的に歓迎した。

 ネット上でも3、の話題がそこらじゅうで花開く。


 チャレンジダンジョンに入る為には資格と覚悟が必要であり、仕事の片手間にできる事ではなかった。

 それを国がサポートする事に期待が膨らむ。



 この発表により国政の信用は下降を止め上昇に転じた。




====== 九州、中国地方の北西海側 ======




 発表の翌日には、各地の主要都市に自衛隊が揃う。

 討伐中すでに自衛隊の移動が始まっており、正式に配備を待つだけになっていた。


 福岡市から北九州市の大都市海岸沿いには、10式戦車を始めに、戦闘車、対空砲、高射砲、地対空ミサイル等がとても広い間隔で並び、海に向かって砲塔を並べる。

 対空ミサイルを除き、砲弾は散弾を主に使い、近距離の攻撃を行う。


 高台には各種レーダーサイトを設置して監視と地対空ミサイルの司令塔になる。



 日本海と東シナ海には海上自衛隊の7割近い艦艇が派遣され。

 遠くは大型艦艇がレーダー監視を行い。

 近海は小型艦艇のレーダーと目視による監視を行っていた。


 離れた海面上をモンスターが飛ぶと、大型艦艇のレーダーに映らないため、人海戦術を行っている。



 九州と中国地方の航空自衛隊基地には多くの航空機が集められ、海上監視と緊急発進に備えていた。



 今まで自衛隊の強力な戦力が国内で使えなかった。

 しかし海上なら強力な戦力が使用できる。

 今こそ日本を守る為の活躍の場だと張り切っていた。


 自衛隊の艦船や戦闘車両は迂闊なことをしない限り、反撃でダメージを受けることは少なく、攻撃意欲にプラスに働く。

 戦車や装甲車の防御を超える攻撃をモンスターは行ってなかったためだ。




 そして、各地の海側には自衛隊とダンジョン対策部隊の合同チームが派遣され配置につく。


 しかしチーム数が少なく、配備できない場所は自衛隊の携帯対空ミサイルや装甲車が派遣された。

 マテリアライフルやそれに等しい攻撃力のある武器が配備される。

 自動小銃等はモンスターを少し怯ませる程度しか役に立たない。


 基本、倒せなければ報告して牽制する以外の方法が無く、牽制しても弾丸が尽きれば危機になり、モンスターが逃げたら何も出来なかった。


 Lvを持って戦闘ができる対策部隊が絶対に必要だった。



ーーーー



 ダンジョン災害が発生した当初は、自衛隊や警察がモンスターの対処をしていた。

 多くの隊員や警察がモンスターを倒す事でLv保持者となるが、近代兵器の遠距離攻撃には魔力が籠もらない。

 魔力の籠らない攻撃で倒してもLvが上がらなかった。


 これは魔素利用システムが人類の環境適用のために作られたシステムだから、魔力のない攻撃でLv上げをしないためだ。


 結果、民間人が必要に迫られナイフやナタ、バットやバールや魔法で応戦する。

 その持ち手の武器に魔力が籠もり倒す事でLvが上がる。

 結果、民間人の方が自衛隊や警察より強くなってしまう。


 自衛隊の接近戦闘ができるレンジャー等の優秀な部隊は高Lv保持者となる。

 警察も接近戦闘ができる優秀な人材が高Lv保持者となる。


 政府は強いダンジョン対策組織が必要になり、民間、自衛隊、警察の強者を集めダンジョン対策組織を作る。

 後にダンジョン対策省になる。


 この時から自衛隊や警察の高Lv保持者がダンジョン対策組織に移籍するのが当然となる。


 そして、自衛隊の持つ近代武力の意味が薄れ、ダンジョンやモンスターの対処はダンジョン対策部隊が行うことになる。


 警察は同じ民間人を守るため喜んで送り出し、ダンジョン対策組織と人的繋がりが重要になり、その繋がりを元に共同で事に当たる。


 自衛隊は優秀な人材が軒並み引き抜かれ、次に優秀な人材が出ても移籍になる。

 外見上喜んで送り出すが、内面では悔しい思いが渦巻いていた。


 そして、ダンジョン対策組織と自衛隊の対立が大きくなる。




 ここに来て行政の縦割りと対立と意識差の弊害が出る。


 Lvを持ってモンスターと戦いたい自衛隊員は全てダンジョン対策省に自動で移籍していた。

 そのため、積極的にLv上げを自衛隊組織として行わなかった。


 しかし、国や国民や自衛隊員からの要望という突き上げが大きくなり。

 ダンジョン対策省とは別に、自衛隊が独自に自衛隊員のLv取得とLv上げの組織を立ち上げる。

 もちろん、ダンジョン対策省への移籍は強制ではなく、本人の自由になった。


 以後、自衛隊員の中に高Lv保持者が増え、ダンジョン対策省と自衛隊の垣根が低くなって行く。


 だが、高度な兵器を扱う自衛隊員と剣と魔法で戦う対策部隊の性質が大きく違い、自衛隊とダンジョン対策省の組織が融合する事は無かった。



ーーーーーー


朝鮮半島のダンジョンマスター集団は、予想以上のKPを稼ぎ、日本チョロい、日本は稼ぎ場と考えた。


 だが個別にモンスターを送っても各個撃破されると分かっていた。

 また、上位の飛行モンスターはDPが高い、無計画に遠征する事に問題があった。


 その為、タイミングを合わせて、モンスター集団を多数広範囲に帰還不要で遠征を決定する。


 KPを稼げたダンジョンマスターは直ぐに準備ができるが、KPを稼げ無かったダンジョンマスターはKP準備期間が必要。


 前回の数倍のモンスターを揃えるため、準備期間に1ケ月以上かける。


 当然ながら対馬島迂回ルートで行う。



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