海岸線に離れて並んだ10式戦車の砲塔、ここは前回敵モンスターが最も多く上陸した都市の海岸。
他の都市や街には残りの戦車、双輪戦闘車、兵員輸送車、対空砲等の戦闘車両と地帯空ミサイルが分散して配置される。
町や村にはスナイパーとダンジョン対策部隊の合同チームが配備され、戦闘車両の合間にも合同チームチームが配備される。
だが、防御する海岸線は数百キロの長さがあり、十分な防御体制は出来なかった。
小さな村落には、監視用の陸上自衛隊員か初級対策部隊や警察しか居なかった。
何処に敵モンスターが来るかは分からないからだ。
夜明け前に朝鮮半島から敵モンスターの襲撃報告の通達が届き、迎撃準備に叩き起こされて準備に奔走した。
準備も終わり準待機状態で待ち構えている。
早い所では30分ほどで現れる。
遅い所では2,3時間後だ。
EEZの第一次防衛線では、レーダーで発見した敵モンスターの4分の3を撃退した様だ。
だが、レーダーに補足されない敵モンスターの数は不明であった。
高火力の戦車等の戦闘車両は海に向かってしか撃てない。
その防衛戦を突破されたら、合同チームだけで敵モンスターを倒す必要がある。
前回の戦闘経験があるので対処は可能だが部隊数が十分になく、犠牲者を0にはできないと思われる。
飛行モンスターに対応できる合同チームの増加が急務となる。
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近海に配置された小型艦船のレーダーに敵モンスターが映る、場所は最も被害のあった都市であった。
小型艦船は機関砲の攻撃を予定したが、敵モンスターはEEZでの大型艦船の戦闘経験があり、倒せない艦船を避けて飛んでいく。
小型艦船より地上司令部に敵モンスター接近警報を出し、リアルタイムレーダー情報を司令部に送る。
最初の攻撃は、海岸まで数キロ接近時、地対空ミサイルが飛んでいく。
しかし、ミサイルを見た敵モンスターは海面接地状態まで伏せ、ミサイルは攻撃目標を失い通り過ぎる。
やはり、EEZ近傍での戦闘経験があり、有効打撃にならなかった。
次の攻撃は、戦車等の戦闘車両や機関砲だが、海面すれすれを飛行する敵モンスターは、1キロ以内でないと照準が定まらない。
都市防衛司令部は近距離での攻撃を決定、広域無線で指示する。
「こちら都市防衛司令、600メールで一斉攻撃を行なう、攻撃合図を待て!」
「「「了解!」」」
10式戦車は情報リンクで攻撃目標を割り振る。
その他、戦闘車両はレーダー及び目視にて敵モンスターを照準する。
皆がトリガーに指を掛け、ジリジリと攻撃の合図を待つ。
「撃てーーーーー」
合図と共に一斉に攻撃が行われる。
敵モンスターの7割程が一瞬で蒸発する。
残りの一部が空へと逃れ、一部が海の中へ、一部が左右に移動しようとして撃たれて消える。
空へと逃げた敵モンスターは、自動追尾機関砲で落とされ霧となって消える。
海の中では飛べず、浮かび上がって飛ぼうとした所を攻撃され霧となって消える。
わずか数十秒で都市を襲った敵モンスターは殲滅された。
都市防衛司令部から広域無線で。
『射撃やめ! 状況確認!』
ヘリコプター数機が海上を飛び始める。
しばらく経ってヘリコプター数機から無線通信が入る。
『状況クリア、敵モンスター見つかりません!』
『地上レーダーサイトの状況確認!』
『こちらレーダー地上サイト、敵モンスター検知無し!』
『了解』
この都市での第一波の敵モンスター襲撃は撃退された。
その後もこの都市での防衛は多大なる費用を消費して成功する。
自衛隊本来の防衛任務は達成され、前回の屈辱が晴らされる。
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対馬島のコアルームでは、ハイブラッドスパローから多数の映像を表示している。
その前には大きなテーブルとがあり、並んだ椅子に主要メンバーが揃って都市防衛を見ていた。
リアルタイムで見ていたサクラが。
「いやーー、戦車や戦闘車両や機関砲は強いねーー、
でも、上位の上のモンスターは倒せないだろうな。
ハイブラッドスパローは速すぎて当たらないし。
ドラゴンはチョット痛い程度?
ハイダークウィスプは物理攻撃の大半ダメージが素通りかな。
どれも当たっても動くから、連続攻撃が難しい。
ハイピクシーは直撃したら気絶?
タケルどう思う?」
「うーーん、どうだろう?
やってみないと分からないから試したいが、出来るのか?
前に中国で手に入れたのはのは、機関銃にマテリアルライフルまでだからね。
それ以上は入手方法が無い。
それに、入手しても操作できないよ」
サクラは考えてみる。
「外国の近代兵器を持った軍をパクる?
眷属の人数的に無理があるか。
一部だと兵器移動前か移動中に捕まるよ。
いや、ダンジョン倉庫回収で物は運べるか。
兵士は自分で移動してもらうか。
暇な時に試してみるかな」
「暇な時でいいから、おね」
「うん、暇な時にでもねーーーー
でも軍人を眷属にしてもなーー、もとの部隊に戻せないし。
さんざん協力させて殺すのはちょっとヤダ。
工作員なら知能の高いモンスターの方がいいし」
「たしかに、後味が悪すぎるぜ」
自衛隊に協力を頼むのも、何か不味いと思う。
何処かの戦争に乱入も手間暇がかかり過ぎで不確実だし。
うーーん、やっぱり当分無理ぽ。
「あと、ミサイルは超低空のほぼ接地モンスターだと当たらないね。
次からは対策されるし、艦船はKP取れないから無視されるだけだよ。
海上自衛隊は監視業務だけになるかな。
モンスターはあまり高空を飛ばないから、航空自衛隊も監視だけで出番なさそう。
ヘリコプターも魔法と機動力に弱かったね。
モンスターの対空攻撃は魔法で弾切れ少ないし、軽い分とっさの機動力が高い、ヘリコプターは重くて機動が遅い。
近代航空兵器はモンスターに向かないな〜〜。
家の雀は高空飛ぶけどね、小さくて速いは正義。
当てられるのはドラゴンぐらいかな?
当てて倒せるのか?
なんか家のドラゴンは極魔法の付与で物理が超強いから、よほど集中して連続で当たらないと無理っぽ。
アサカ!
艦船や地対空ミサイルは避けられ無駄になるから使わないように誘導おね、艦船とレーダーサイトは監視業務だね。
これで無駄な資金消費が避けられるし、将来の戦争で使うから安価な国産を推進して」
「畏まりました」
主要メンバーで戦況を俯瞰しながら今後の対策を練ていた。
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都市防衛が成功した様に、戦闘車両等が十分配備さてた都市や街は防衛に成功する。
だが、戦闘車両が少数しか配備されない町、一合同チームがしか配されない村。
その一つの村にミニ飛竜5体が接近する。
遠方からスナイパーライフルで狙撃するが対象が小さく、ジグザグに蛇行して飛ぶため、中々撃墜できない。
そして陸上を許してしまい、すれ違いざまに5個の火球で攻撃される。
全員が咄嗟に退避したが、スナイパーライフルの装備が火球に包まれ、弾薬に引火し暴発する。
中級対策部隊が居ても強いスナイパーライフルで落とさなければ倒せない。
対策部隊も魔法で応戦するが当たらない。
自衛隊のスナイパーチームもハンドガンで応戦する。
近くの遮蔽物に各自が隠れながら応戦するがジリ貧になる。
このままでは弾薬が尽きて逃げる事も叶わず殺される。
ジリジリと時間だけが過ぎてゆく。
そして、弾薬もつき絶対絶命となっていた。
それを見ていたサクラが小さなスクリーンを指して。
「あれ、対策部隊が死んじゃうね。
せっかく強く環境適応したのに死ぬのはだめだ。
ライトワン、あれ助けて」
「了解」
『ベータ03スパロー隊、観測中の敵を殲滅せよ!』
『『了解!』』
2000メートル上空から5羽ハイブラッドスパローが目標に向かって急降下する、スピードは亜音速。
数秒で到着しミニ飛竜の身体を突き抜け、急上昇する。
ミニ飛竜は敵が接近した事も分からずに霧になって消え、魔石だけが落ちていく。
絶対絶命となっていた合同チームは、突然モンスターの攻撃が 止み静けさが辺りに漂う。
そろーりと空を見上げれば、あれほど飛び回ってたミニ飛竜の姿が消ええいた。
物陰からゆっくりと立ち上がり、周りのチームメンバーを探して集合する。
全員の無事を確認して、ふと道路の上を見れば魔石が一つ転がっていた。
魔石に向かって歩き、ゆっくりと拾い見つめたあと、空を見上げる。
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サクラが合同チームを助けた事が例となり、合同チームが危機的な時、監視スパロー隊がライトワンの指示の元、敵モンスターを殲滅するようになる。
これ以降、合同チームの死亡者は減っていく。
その現場では敵モンスターの殲滅速度が早すぎるめ、スパローの姿を視認する事は無く、撮影画像の中にぶれた影が映るだけだった。
その影を見た人間の眷属だけが理解していた。
航空自衛隊の幹部だけは、強いスズメだと見抜いた。