マオとミツキと無事合流した俺たちは、三階へ続く階段を駆け上がっていた。
その時、ふと感じた違和感に足を止める。
階段がぐにゃりと歪み、後ろをついてきていたマオとミツキが分断されてしまい、彼らと別ルートになってしまった。
俺たちは目の前の階段を登っていくほかなかったため、そのまま駆け上がっていく。
その末端にたどり着くと、そこはまたしても見覚えのある光景だった。
しかし、目の前に広がっているのは、ねじれた空間であり、闇だけが広がっている。
『一体、何を企んでいるのかしら』
アマネが言う。
「おそらく、敵が待ち構えているのかもしれない。……警戒する必要があるな」
俺は右手から炎の剣を呼び出し、その手に掴む。
ユキミは背負っていた聖剣を取り出し、構えた。
一瞬の静寂の後、一寸先も見えない闇の中から、ギシギシと音を立てながら
鉄球を先端に装着したような左腕に、鋭い刃をした右腕を持ち、背中には折れ曲がった鉄球や鉄パイプが突き出した異形のバケモノだった。
頭部は仮面めいた白い面を被り、右目だけが異様な赤い光を放っている。
「ギャオオオオッ」
そのバケモノは奇声を上げながら、俺たちに一気に突進してきた。
「ぅおっ」
それと同時に鋭い刃が振り下ろされ、刃が地面にぶつかり、その衝撃で歪んだ床が更にひしゃげる。
「グルォアアアアア」
勢いよく鉄球が発射され、攻撃の隙を与えない。
バケモノは刃を振り下ろし、鉄球を発射するというコンビネーションで、こちらを追い詰めてくる。
「クッ……。手の出しようがない……どうすれば……」
「そりゃあっ」
ユキミは聖剣から、淡い光を放つ刃を鉄球と刃を持つバケモノにぶつけた。
バケモノは刃の右腕で光の刃を受け止めたのだ。光の刃はバケモノの前で粉々になる。
「シャアアアッ」
それを学習したのか、バケモノはやり返してきたのだ。
俺はその刃を浄化の炎を振るうことで無効化させた。
「この炎ならどうだ!」
発生させた炎をそのまま、バケモノにぶつける。
浄化の炎は、ガードしてきた鋭い刃の右腕に巻き付き、燃やし始めた。
「グルゥ!?」
炎は鋭い刃を溶かしたが、バケモノは即座に右腕を再生させ、振り下ろしてきたのだ!
「チィッ」
『これじゃあきりがないね!』
「全くだ!」
アマネは浄化の炎を口から吐くが、バケモノは燃えた部分をすぐに修復させてこちらに向かってくる。
「……イチかバチか。試したいことがあるの。アマネ」
『どうしたの、ユキミ』
「私の刀身にあなたの炎を巻き付けさせてちょうだい」
『いいけど……気をつけてね』
アマネはユキミの聖剣の刀身に火を吹き付けた。
「えぇーいっ!!」
淡い光と浄化の炎に包まれた刃が、バケモノに向かって飛んでいく。
バケモノは右腕でガードするも、その炎が右腕から修復の追いつかないスピードで、バケモノの全身を拘束したのだ。
「!?」
身動きが取れないことに驚くバケモノ。
ユキミは刀身が燃え盛る聖剣を宙へと高く掲げる。
「
その瞬間、聖剣の刀身が激しく燃え上がったのだ。
ユキミはその聖剣を持って疾走し、バケモノに対して勢いよく振り下ろした!
袈裟斬りに落とされたバケモノは、焼き尽くされるように悲鳴を上げながら、黒い霧となり、姿を消したのだ。