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第18話 海鮮探しの旅へ、いざ沼津!

 温泉で体を癒やし、ビールで満たされ、その夜は、フリーダム号のふかふかベッドで即落ちだった。


 ぐっすり、ぐっすり。


 ──そして朝。


「……ぐ〜〜〜」


 寝起き第一声は、自分の腹の虫だった。


「お、おはよう……俺の胃袋」


 風呂でリラックスしすぎたせいか、空腹がエグい。

 たこ焼きもチャーハンも食べ尽くし、非常食も尽きかけている。


「よし、今日の目標は……海鮮だ!」


 思いついたら即行動。

 箱根の山を再び下る。


「ここからなら沼津だな!海鮮の宝庫、港町の王様!」


 冷凍倉庫が生きていれば、冷凍マグロ、サバ、イカ、カニ、エビ……!


「食うぞ!行くぞ!海鮮祭りだァァァ!!」


 テンションはすでに漁師モード。


 フリーダム号は芦ノ湖を経由して、箱根のワインディングを慎重に──


「って言いたいとこだけど、俺の相棒はフリーダム号。ブレーキ焼き付くとか、そういうヤワな車じゃねぇ」


 とはいえ、事故ったら元も子もないので、安全運転だけは守りつつ、徐々に高度を下げていく。


「風呂の次は飯。生きるってのは、こういうことだな」


 ◆◆◆


 三島の町に入ると、空気がぐっと温かくなった。


 道沿いの建物は、ほとんどが形を保っている。

 植物が絡まり、看板は色あせてはいるが、崩壊まではしていない。


「やっぱ内陸より海沿いの方が傷んでるな……って考えたら、冷凍倉庫が無事な可能性もまだある!」


 フリーダム号はそのまま、国道1号を西へ。


「このまま走ったら名古屋まで行けるな……それはそれでアリだけど」


 考えながらも、頭の中はすでに海鮮丼モード。


 三島を抜け、いよいよ沼津漁港が見えてくる。


 広い道、海の香り、そして海の向こうに広がる静かな水平線。


「……さて、海の幸……本当にまだ残ってるか?」


 ゾンビだらけの施設だったら撤退する覚悟もある。

 でも、可能性があるなら賭けてみる価値はある。


「いざ、沼津漁港へ──」


 目指すは、“冷凍庫の中に残された奇跡の一品”。


 フリーダム号が静かにエンジン音を響かせ、港町へと滑り込んでいく。

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