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第30話 北へ!宗谷岬とミリ飯の夜

 装備は、整った。


 拳銃はグロック。

 M4にはマガジン3本。

 フリーダム号の荷台にはアメリカンなミリ飯と、白州のウイスキー。

 まさに完璧な終末装備。


 だけど、ふと思った。


「……わざわざ危険、冒す必要ある?」


 カルト? ヒャッハー?怖いじゃん。

 関わらなければ何も起こらないじゃん。


 今は終末世界。

 誰が正義とか、どこが正しいとか、関係ない。

 生きてる奴が勝ち。生き残る奴が正解。


「ならさ……このまま旅して、逃げ切るのがベストじゃね?」


 フリーダム号がある。

 飯もある。酒もある。武器もある。

 最強のキャンピングカーがあるのに、なぜ修羅場に突っ込まなきゃいけない?


「いいじゃないか……逃避行。北だ、北に行こう。目指すは北海道!」


 宗谷岬で乾杯する。

 キャンピングカーで大地を踏みしめながら旅する。

 途中でうまいもんを探す。


「ロマンって、そういうことだろ?」


 武器はちゃんと準備する。

 グローブボックスに、グロックをマガジン入りでセット。


「……で、今出るのはナシだな。陽も落ちてきたし」


 今日も、ここをキャンプ地とする!


 ミリ飯を広げてみる。


「見せてもらおうか、アメリカのミリ飯の性能とやらを……」


 メニュー:

• 豆の煮込み

• クラッカー

• ジャム

• ビーフジャーキー

• 粉末ジュース

• ナプキン

• プラスチック製スプーン


「ふむ……これで1200キロカロリーか。自衛隊のミリ飯の方が豪華だったって話もあるが……」


 クラッカーにジャムを塗る。

 ひと口。


「甘いな……さすがアメリカ。砂糖で栄養を取らせる気満々か」


 豆の煮込みは、まあ、想像通り。

 食えるだけありがたい。

 ジャーキーは旨味が強くて、唯一ホッとする。


 粉末ジュースを水で溶かす。


「……オレンジ風? いや、これは何味だ……?」


 色はついてるが味が定かじゃない。

 でも、のどが潤えばそれでいい。


 ◆◆◆


「……ふぅ。腹は満たされた。命もある。装備もある。旅の目的地も決まった」


 今日は、もう寝よう。

 朝になったら北を目指す。

 終末の日本縦断、フリーダム号の冒険が始まる。

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