気仙沼のお宝──ふかひれ上湯スープを手に入れた俺は、
海が見える高台にフリーダム号を止めた。
風は穏やか。雲は紅に染まり、海面をゆらす。
最高の眺望。今夜はここを──キャンプ地とする!
まずは身体を清める。
フリーダム号のユニットバスでシャワーを浴び、旅の汗と疲れを流す。
「っくぅ〜! これこれ、こういうのが……いいんだよ!」
全身スッキリ。風呂上がりのテンションで、調理開始。
ふかひれ上湯スープ、湯煎!
そしてその間に、コハクのドッグフードディナーを準備。
「お待たせ、相棒。今夜はごちそうだぞ」
「わふっ!」
犬の満腹音って初めて聞いた気がする。
湯煎が終わり、器にスープを注ぐ。
琥珀色のスープにふかひれの繊維が泳ぎ、なんと溶き卵まで浮かんでいる!
「……お前、完成度高すぎだろ……」
「コハク、いただきます」
「わふわふ!」
一口すくって口へ運ぶ──
「……っはぁああ〜……プチプチの繊維が……たまらん!」
舌の上でふかひれが細かく弾け、その隙間から濃厚な上湯スープが染み渡ってくる。
鶏ガラに金華ハム、確かにそんな味がする。
この塩梅、まさに“中華の頂”。
「……これは……もう一袋、いくしかないだろ」
即・追加湯煎。
その間に忘れていたものを思い出す。
「白州だッ!!」
キャンプに白州。極上の夜に乾杯だ。
そして俺は次の一手に出る。
白飯をレンチンし、ふかひれ上湯スープをぶっかける。
「……いいのか? こんな贅沢、終末世界で……」
いいんです!!!
米にスープが染み込み、噛むたびに旨味が口に広がる。
「これは日本人じゃないとわからんだろ……」
静かに、ゆっくりと食べ進め、旨味の余韻を──白州で流す。
グラスの中で揺れる液体に、今夜の満足を浮かべる。
「たまんねぇな……生きてるって、こういうことだよな……」
横でコハクもぐっすり。
「……今夜も、極上の夜をありがとう」