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Ep.35 揃った

休み時間。王手の周りには女生徒が多く群がっている。それを見ている難場は目を輝かせながらその光景を見つめていた。


「こ、これは、漫画あるあるです!「イケメン転入生が女子生徒たちから質問攻め」とかいう珍しいイベントですよ!すごいです!」


「難場、うるさい。それよりなんでアイツはあんなに群がられているんだ……俺らの時なんてなんもなかったのに……」


「まぁ、皇の顔立ちは整っているからな。小さい頃も良く女性から声をかけられていただろう。」


「そういう意味じゃね~よ。あぁもういいや呼んできちゃおう。」


焔戸は王手の肩を掴み女子生徒の中から連れ出す。


「おいおい、少し待ってくれよ。みんな俺に質問があるみたいだから答えていただけなのに……」


「学校案内しろって言われてんだ。行くぞ。」


王手は女子生徒たちに笑顔を振りまきながら教室を後にした。廊下を歩きながら焔戸たちは色々学校の場所を紹介していく。


「ここが、図書館、あっちが体育館につながる通路……自販機もある。」


「言われなくとも理解している。この学校に来た時からすべて覚えた。」


「はぁ、そうですかい。んじゃ戻るぞ。とりあえず次は移動教室だから急ぐぞ。」


四人は急ぎ足で教室へ戻り科学室へ向かう準備をして女子生徒に(王手が)囲まれながら科学室へ向かった。ここから、昼休みも、他の移動教室もほぼ女子生徒に囲まれて焔戸たちは全く近づけなかった。


「な~んか嫌な感じだな。」


「嫉妬ですか?見苦しいですよ?」


「俺は焔戸もかっこいいと思うぞ。」


「うるせぇ男に慰められてもうれしくねぇし、嫉妬なんかしてねぇ!」


そして、今日最後の授業は三人もやったように異能力の検査をする。今回は一人なので生徒たちは制服のままグランドに集められた。


「アイツの能力ってなんか分かりずらかったけど必ず勝てるとか何とか言ってたよな?」


「あぁ、なんかすげぇビームとか武器とか出る能力じゃね?名前もかっこいいし。」


クラスメイトたちは傾いてきた日光の中先生の説明を受ける。といっても三回目の説明になる検査の説明を聞いてクラスメイトたちは木陰に入り様子を見る。


「準備が出来たらいつでも言ってくれ。」


「いつでもいいですよ。」


三体の機械人形が現れ、王手はストレッチをして機械人形の間合いへ入り、三体の機械人形の品番を見て記憶する。そして、能力名を宣言する。


絶対的な王の一手チェックメイトハンド……P-120547GKIは歩兵ポーンP-122021GKIも歩兵ポーンこの二体は王を守るべくP-152542GKIへ攻撃を行え。」


今に襲い掛かっていきそうな三体のうち二体は残った一体へ照準を合わせて攻撃を始める。破壊された一体を確認するとすぐさま次の指示を出す。


「今日、仲間を殺めた歩兵ポーンは砂埃でシステム異常が起こり機能停止する。」


途端に強い風が起こり砂埃が機械人形を覆い機械人形たちはいきなり停止して動かなくなった。我楽が機械人形に近づきシステム異常だとわかるとそのまま検査は終了した。


「合格、ランクAだな。」


クラスメイトたちは拍手と驚きの声を上げてその日の授業はすべて終了した。


「対人戦とか、人が多ければもう少し驚いてもらえたんですが、どうもここまでの公開になってしまうみたいですね。」


「いや、さすがだ。十分すごい。」


そして、帰りのHRでは女子生徒だけではなく嫌悪していた男子生徒たちも王手の周りに群がっていた。


「なんなんアイツ。」


「やっぱり王の元には民が集まるんですよ。」


「やっぱりすごいな。皇は」

HRも終わりやっと放課後になる。王手は真っ先に三人の元へ向かってくる。


「なんだよ…」


「町を案内してくれるんだろう?ちょうど行きたい場所があるんだ。三人ともついてきてくれ。」


三人は珍しく王手がノリノリであることに少し疑問を持ちつつも言われた場所へとついていくことにした。四人がやってきたのは大型商業施設だった。王手曰く学校に来る途中に見かけて気になったからだそうだ。


「本当に珍しいな。お前がこんなところに来るなんて。」


「まぁいいじゃないか……それより、三人の今日の駒と運勢を伝えておこうか……」


焔戸と難場はその突拍子もない言葉に顔を引きつらせて苦笑いする。


「焔戸は騎士ナイト。難場は聖職者ビショップ。黒瀬は…歩兵ポーンまぁいつも通りだ。それで、運勢だが、騎士ナイトは友人が近くにいれば積極的に前に。聖職者ビショップは漫画を持っていれば今日はキングのサポート。そして、歩兵ポーンは、ナイトと一緒にいれば戦っても問題ない。」


王手が前触れもなく今日の駒の駒役割りと運勢を伝えてくるのは作戦を簡易的に伝えることと同義であり、今日、この大型商業施設でなにかが起こると言うことである。


「何を見たんだよ」


「今日は新しい小説の発売日だったのに……」


「ははは、すまないね。今朝怪しい集団がここに入っていくのを見てさ……」


黒瀬が口を開こうとしたとき、突然店内の防犯システムが起動しシャッターがすべて締まり銃を構えた集団が現れた。王手はニコリと微笑みながら三人と目を合わせた。


「的中したね……三人は役割をしっかりとこなすように。それと、これを……」


王手は三人へ耳につける通信機を投げ渡す。三人はその通信機をつけて起動する。


「それじゃ、立てこもり犯の制圧を開始しようか。」


王手は銃口を突きつけられる前に能力を発動させて立てこもり犯へ指を差す。


「目の前の敵はナイト、ポーンに制圧される。」


「は?何言って……」


銃口を突きつけてきた男性とその周りの仲間も一瞬で焔戸と黒瀬に制圧される


「さて、順々に行こう。次はあっちだね。」


四人は二手に分かれてそれぞれ制圧しに向かった。


Ep.35.:FIN


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