廃屋にも似たさびれた館、日の昇る庭では子供たちが遊びまわっていた。館内で異能犯罪集団と名高いECHOのメンバーはテーブルを囲んで次の作戦を立てていた。
「リーダー。次はどこを襲うんだ?」
「そうだな……孤児たちも開放して戦力には申し分ない。どの子もまだ未熟すぎて能力をうまく扱えていない……やはり、ほしいのは即戦力だね。」
「で、でも、そんな即戦力になるような異能力者ってそう簡単に見つかりますかねぇ…?」
「何言ってんだ。
その言葉を聞いたリーダー
「そうとも、まずは動いてから決めようじゃないか。」
そう言って
「な、なんで、捕まったはずだろ……お前。」
「
そして、早速Fは自作のノートPCを取り出して能力を発動させて周辺の機械を操り画面と接続する。あちこちの監視カメラや、データを盗みそして、
「この子は何か持っているように見えるね…」
「俺にはただの小娘にしか見えないが。リーダーは何か先を見据えているのか…?」
「の、能力は、しょ、正直言ってあまり強そうに見えないんですけど……女の子が増えるのは大歓迎です。」
「決まりだな。
「いいだろう。こちらも全力で対応する。そちらも全力でやってこい。」
ここにECHOとフェスタのタッグが生まれた。
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一方、元BLACK D.O.Gの四人はいつも通り空き教室に集められて今回の保護対象の資料へ目を通していたのだが、焔戸、難場の二人はどこかデジャヴを感じながら我楽の説明を受ける。
「と言うことで、今回の保護対象は
話をしていると黒瀬が突然挙手して話を止める。我楽は黒瀬を指名する。
「どうした?黒瀬。」
「今日、この子に会ったぞ。」
「あ~それは、そこの二人の顔見れば分かるから。な?とりあえず先生の話を聞いて。」
「うむ、わかったぞ。」
我楽はそのまま話を最後まで進めた。
「と、まぁ能力の解説も以上だ。なにか聞きたいことは?」
「こいつ、見た感じ、問題は起こしそうにありませんでしたけど、本当に間違いないですか?」
焔戸の質問を我楽が質問に答える前に王手が割って入る。
「焔戸、隊長はあくまで上からの指示を受けただけだ。上が確定している未来をこちらに明かしている。そんな上と下とで板挟みの隊長の情緒を考えたことはあるのか。お前は。」
「ありがとう。でもね、それは本人の目の前で言っちゃいけないよね~?」
「そうだな。先生、いや、隊長……すみませんでした。」
「いや、別に俺だってそこまでしてほしくて言ってほしかったわけじゃないんだが……まぁいい。とりあえず、ここ一週間は頼む。王手も戻ってきたことだし、今までよりスムーズにことは進むだろう……では解散。」
四人は早速
「おい、皇さんよ。その子らどうにかならんの?」
「すまないな。どうも昔から女性に怒ることが出来なくて、全く追い払えないのだよ。」
「死ね。マジで。うらやましいな。」
「焔戸口が悪い。それよりも、確かに厄介ですね……」
「いや、それよりも、なぜ尾行をする必要が?俺たちはb……」
王手は女生徒の前で元BLACK D.O.Gであることを明かそうと口を開くが、焔戸と難場はその場から王手を目にもとまらぬ速さで連れ出して周りに誰もないのを見て詰め寄る。
「バッカ!王手、もう~…んとうにお馬鹿ちゃん!利口なお前がなんで時々天然なこと言うのかバカの俺でも全く理解できない!」
「僕たちが作戦中で、元BLACK D.O.Gであることも校外禁止です。分かってますよね?」
「ははは、すまない。いつも周りに女生徒たちがいるものだからもしかしたら幻なのかもしれないと思って試しに口走ってみた。」
「「試しに口走っていい単語ではない!」」
「あはははっ!二人に怒られるのは初めてだな!面白いものだ!」
「てめ…はぁまぁいい。ほら、戻るぞ……おらぁ!お前らも俺らの帰り道を邪魔すんな!ストーカーで警察に電話すんぞ!」
女子生徒たちは口々に焔戸への不満を垂れこぼしながら帰っていった。
「さて、気を取り直して…行こうか」
王手を先頭に四人は不破の尾行を開始した。
Ep.38.FIN