目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

【咆哮】狼、目覚める

一攫千金ウェブ


ターゲット:明星一狼 高校生 賞金 ¥200000000 キャリーオーバー実施中。

※一人失敗するごとに+一億※


ウェブの更新が終わると、動画が一本アップロードされていた。燃え盛るビルの中、炎と煙で混乱したヘビ型のディウスが背後に迫ってきた一狼が変態したディウスに心臓を貫かれてそのまま殺される映像だ。その映像を見て動画のしたには様々なコメントが流れる。


555:>>270.あんな強者感出しといてあっけない最後だったな。


111:>>270.所詮、軍人崩れ。殺し屋の俺はこうは行かない。


282:>>555.いやそうは言ってるけど、軍人の彼は最善の手を打っていたよ?周りの人間を巻き込むのはちょっと良くなかったけどね。


365:>>111.んじゃ、次は殺し屋(笑)かな?


111:>>365.調子に乗るな…このゲームが終われば、次はお前の番だ。


365:>>111.おお…怖い怖いwwどうせ、お前じゃこっちの位置も情報もtq、dqwgfでs


555:>>111.おい、まさかヤッたのか?


111:>>555.警告の無視は俺の辞書では「死にたい」と言っているもんだ。気を付けるんだな。


270:皆さん、盛り上がっているところ申し訳ございませんが、次の参加者を決めたいと思っているのですが……


282:>>270.というか、今回はそちらさんの妨害は無かったみたいだけど、準備してなかったとかかい?


270:>>282.いえいえ、こちらは準備も万端です。ただこちらとしても駒は取っておきたいのですよ。


282:>>270.あっそ。まぁ、どっちでもいいけど。


452:参加します。


270:>>452.ご参加ありがとうございます。


270:>>452.情報 詩々原 ヒトミ 大学生 20歳 でございます。では、ヒトミ様のご活躍をライブで配信いたします。ターゲットは前回も説明しましたが、人知を超えた力を持っておりますのでこちらから一度きりの支援もします。ヒトミ様の位置に私の使いが小包を持っていきましたのでそちらを受け取り次第我々とは敵対となります。

それでは、ゲーム再開です。


パソコンの前から立ち上がるとヒトミはドアのノックを聞いて玄関へと向かった。


────────────


ベルトを持った一狼は煤だらけのままLWOの事務所のあるビルへ向かう。帰る途中、カフェでの用事を思い出し今頃騒ぎになっているかもと半ばあきらめつつカフェへ向かうと町並みはおろかカフェすらもすでに元通りになっている。


「どうなって……」


急いで店内へ入ると奥から店員が出てくる。その手には一狼の渡したメモと頼んでいた紅茶の茶葉が握られている。店員は一狼と目が合うとぎこちないが笑顔を作り近づいてくる。


「お客様、こちら依頼の茶葉3種です。お代はお連れの人から受け取っているので大丈夫です。」


普通に話し出す店員に一狼は驚愕しながら先ほどあったことを問うが、店員はぎこちない笑顔のまま首を傾げて、店内には何も無かったと言ってそそくさと店の奥へと入っていった。一狼は店内を出ると急いでビルへと向かい、ビルの階段を降りて事務所のドアを勢いよく開ける。視線がこちらへ集中するのもお構いなしに依頼主と仕事の話をしているカラスマへ掴みかかる勢いで迫る。カラスマと依頼主と思しき人は一狼に驚く。


「どういうことですか!?」


「ど、どうって…何の話?」


「とぼけないでください。あのカフェはさっきs……」


襲撃されたと言い切ろうとした一狼を大沢が口を塞ぎながら一狼を奥の部屋へと連れて行った。その様子に依頼主は訝しげにカラスマとの話を続ける。


「彼、大丈夫かしら…」


「はははっ!彼はちょっとアレなんで気にしないでいいですよ。」


「あら、そうなの…良い精神科を紹介しましょうか?」


「大丈夫ですよ。知り合いに医者もいるので、彼はその医者に見てもらってるんですよ。」


そう、それは良かったわ。と言うと依頼主は間取りを取り出しカラスマへ見せて指さして害虫かネズミがいるかもしれない位置を話す。



────────────


一狼を部屋の奥へと連れてきた大沢は口を塞いでいた手を離すが、一狼を抑える手は離さない。一狼は思わずベルトを腰に巻き変態しようとしたが、その手も掴まれ大沢に完全に押さえつけられる。


「はな、離してください!!カラスマさんに事情を聞かないと!!」


「暴れるな暴れるな……」


「大沢さんは知っているんですか?!種撃跡が痕跡もなくなってることを!」


大沢は、一狼の肩に手を置き、近くにあった椅子に座らせる。


「知ってるよ。俺も最初は戸惑ったよ。」


「じゃあなんで……」


「この組織はあくまでOWLを潰すために動いている組織だ。でもな、表では何でも屋に徹しなきゃならん。表で面倒ごと起こして動きにくくなったらOWLに逃げられちまう……だから、金で解決できることは金で解決するんだ。」


「金でって……どこからそんな……」


全てを言い切ろうとして一狼は言葉を止めて点と点を結んで線にした。


「もしかして、ローズマリーさんって本物のお金持ち……?」


「お金持ちってレベルじゃない…。ここらの店は全部ローズマリーの会社と何らかのつながりがある。こまごまと繋がり辿っていくと最終的に全部ローズマリーの会社につながる。」


「なんですかそれ、こわ。」


「俺も思ったが考えると怖くなるから考えないことにした。」


二人が共感し怯えていると大沢の肩に手が乗る。大沢は短く悲鳴を上げるとそこには話を終えたカラスマがいた。二人はにこやかだがどこか怒っているような笑顔で表に来るように親指を立てる。二人が表へ行くとそこにはローズマリーと八雲の二人がいた。


「さて、大沢くんは戻っていいから、一狼くんには改めてこのLWOのことを説明しないといけないからね。座って。」


「は、はい…」


一狼はLWOの創立者の三人に見つめられながら縮こまった。


続く。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?