白雪姫を下地にした物語。
所謂一つの童話を再解釈した作品です。
童話の影にいた「姉」の視点から、新たな人間ドラマを描き出す作品です。
主人公アップルは、妹の陰に隠れて生きてきた地味な姉。
けれど、家族の歪みや社会の理不尽に抗い、時に迷いながらも自分の足で道を選んでいく姿が丁寧に描かれている。特に料理や日常の優しさを通じ、人と人との絆を結んでいく描写は本作ならではの温もりを感じさせます。
中盤からは王妃との対立や革命、出自をめぐる真実が明らかになり、物語はよりスケールの大きな展開へ――。
にもかかわらず、アップルの根底にある「人を支えたい」「誰かの希望になりたい」という気持ちは終始ぶれることなく、そこには一種の高潔さがありました。
最終話での「田舎に帰らせて頂きます」というタイトルも象徴的。
華やかな結末ではなく、自分たちの居場所を大切にする姿勢が作品全体のトーンをよく表していました。
童話を再解釈するだけでなく、家庭・社会・国家というテーマにまで踏み込んだ本作。
人によっては『静かな展開』という評価になるかもしれないが、中盤から後半までの展開は女性だけでなく、男性も胸を熱くさせる展開もあり、なおかつラストでは読者に良き読後感を残してくれます。
なお、レビュー者の推しキャラは「ハンター」。
戦略担当、寡黙、トラウマ持ち、そして片目……。
中二病的なものが好きな自分としては、そこはかとなくクスぐられました。
そう、ハンターという男は『理屈抜きにカッコイイ! マンダム!」の一言に尽きるのであるッ!