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第15話 土下座×泣き真似×地面ドン=

 俺は現代日本において全員が知っている最後で最強の謝罪技、『土下座』を(ry


「……僕にはこのダンジョンを見捨てるっていう選択肢があることをくれぐれも忘れないように」


:サボリニキ生きてたんか!?

:てっきりもう死んだものかと……!

:縁起悪すぎんかお前ら

:俺なんてもう墓買っちまったぞ……?

:↑まさかの火葬飛ばしで草

:副長への態度 ✕

 スレ民への態度 ◯

 サボリニキへの態度 ◎


「ワイもストレス溜まってたんや……それなのにあんな仕打ち……! しゃーないと思わへんか!?」

「思わないし誰なんだよそれ」


 くっ、俺の『土下座×泣き真似×地面ドン』が通用しないとは……さすがダンジョン科副長、並みの胆力じゃないぜ!

 関係あるか知らんけど。


:こんな短期間に2回土下座するスレ主、さすがすぎる

:土下座って回数重ねれば味が薄まるから意味無いけどな

:なにその希釈用カルピスみたいな謝罪

:↑ツッコミが特殊すぎて草。でも間違ってないのなんかじわる


:話それまくってるけど、【山】と【海】だっけ?

:ムズいよなぁ両方デカいだろうし


 サボリニキに許された(ことにした)俺は立ち上がり、スレ民のコメントを見る。


「いや、そうなんだよな。特にヤバいのが【海】」


 さっき【川】のタブを探した時に実は【湖】というタブを見つけた。

 こんだけ区別されているということは、



【湖】……周りを陸地に囲まれた大きな水たまりが生成される。

【海】……陸地以外の全てが水に覆われる。



 的な感じになると思う。


 つまり、【海】は後のことも細かく考えた上で決断を下す必要があるということ。

 まぁ、それは【山】も同じなんだが。


「てことは、まずは『このダンジョンの広さ』を知った方がいいって感じかな」

「え、ダンジョンって無限大じゃないのか?」

「……嘘でしょ? 知らずに作ってたの?」


 うっせ、俺の人生にダンジョンが必要なかっただけなんだからな!

 スキルが芽生えなかったヤツには必要ない知識だっただけなんだからな!


 って、そういえば。


「サボリニキってなんかスキル覚えてるん?」


 ダンジョン関係の仕事に就いていて、それもかなり上のヒト。

 スキルなしとは考えられない。


「えっ、ダンジョン法『ステータスのプライバシー』の追加違反?」

「おい待って副長厳しすぎるって。あと追加違反って字面、最悪すぎんか?」


 クッソ、ダンジョン法め……どこまでも俺の邪魔をしやがる……!

 ……うむ、悪役すぎるなやめておこう。


「まー教えたくないなら全然いいんだけどな」


:『風魔法』やぞ

:『風魔法』じゃなかったっけ

:『風魔法』だった気がする

:おい秘匿義務が迷子すぎるって

:迷子も何も、世界に発信してる内容だし()

:以前のスタンピードの時は大活躍でしたね


「おいサボリニキ」

「あー、もうちょっと騙せると思ったのに」

「クッソこいつ……もっかい殴るぞ!?」

「え、いいけど……それなりの覚悟を持って──」

「やっぱ嘘」


 職権乱用とはまさにこのことなんじゃねーか?


「バレちゃったししょうがない。ちょっと待ってて」

「え、なんで?」

「『風魔法』は上手く応用すれば移動速度を爆上げできるんだよね。だからこのダンジョンの大きさ見てくるよ」


 おお! これあれか?


『「ちょっと待ってて」彼がそう言うと私の返事も待たずに姿を消した。私が戸惑っているのもつかの間。「ただいま」彼はその言葉とともに、先ほどは持っていなかったリンゴを持っていた』


 的な展開のあれか!?

 あれを現実で見れる日が来るとは……!


 俺がそんなことを考えていると、無詠唱で魔法を使ったのだろうサボリニキが姿を消した。

 例の展開通り、高速で移動したのだろう。


 そんなことを思っていると、やはり妄想通りすぐにサボリニキが帰ってきて…………


 帰って…………


 帰っ………………


「あの物言いで一瞬じゃないことあるんですか?」


:いや思ったけどw

:まぁスレ主よりは速いからいいじゃん

:しれっとディスられるスレ主おもろ


「そこは笑うなよ」


:てかさ、【地形変更、部分変更、範囲指定】のときの【範囲指定】ってさ、ダンジョンの大きさなんじゃねーの?

:え

:あっ………………

:っすねぇ…………

:勘のいいガキは嫌いだよbyサボリニキ


 待って、言われてみれば確かに…………


 くっ、気づくのが遅れた……!

 これをあとでサボリニキが知りでもしたら、俺の3度目の土下座が炸裂してしまう……!


「……お前ら、絶対サボリニキには言うなよ?」

「僕が何を聞いちゃいけないの?」

「キェアアアアアアアアアアアアアアアア!! なんでもういるんだよクソがああああああ!!!!」

「ぼルげハぁぁぁあああああああ!!!」


 最悪のタイミングで俺の隣に帰ってきたサボリニキを、俺は焦りやら恐怖やら、衝動のまま殴った。

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