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第17話 天地創造と十字架

「天地創造と十字──」

「おっと著作権防ぎ隊サボリニキが通ります」


:そこまで言ったらもうアウトじゃないかw

:そろそろ引っかかるって

:↑お前らメタすぎるって

:サボリニキ、サボる以外の仕事あったんか!?

:↑副 ☆ 長


 最近流行ってて、なんか雰囲気に合う曲を口ずさみつつ、管理者ボードを操作する。

 え、3ヶ月前? 知るか。


 ……他のスレ民にこの曲が通じるか心配になってきたし、やめよ。


 【部分変更】を選択し表示される範囲選択画面で【山】の位置を慎重に設定し、【完了】をタップ。


 ピンポーン


『巨大な地形変更を行おうとしています。本当によろしいですか? YES or NO』


「待ってそんなインターホンみたいな音鳴るの? てことは前のス◯ローの音、ほんとに鳴ってたんだ……」

「くっ……最近じゃモニタ◯ングが再生されたと思うからやめろ……っ」


:スレ主ちゃんと流行りのボカロ追ってた

:ピー音入りすぎだってこの配信

:↑メタ発言ニキの仕事多いって今回

:メタニキ

:ここのスレ民、サボリニキ・バカニキ・メタニキなの絶望たろw

:おい、俺の名前バカニキで確定したマジ!?

:嬉しいことにそうなりますね

:↑『残念ながら』の対義語で草


 どうやら今回の警告文はただの最終確認といった感じのようだ。

 問題ないので【YES】をポチッ。


 すると、ダンジョンの遠方──範囲選択画面で指定したあたりが白く光りだした。かなりの大きさだ。

 ……これがちっちゃく感じるくらいの大きさのダンジョンってマジかよ。


 このダンジョンで初めて地面に凹凸ができることにワクワクしながら待っていると、


 ピロン


 という音とともに、開きっぱなしだった管理者ボードの右上に新しい表示が出てきた。



『【山】を生成しています。完了まで、00:00:59』



 ゲームである、進行中のタスクを表示するやつみたいなのが固定されていた。


「一瞬でできないんだ」

「一面草原に変えるだけの2次元的な変化じゃなくて、今回は縦方向にも影響する3次元的な変化だからね。いくら最強のスキルとはいえ一瞬じゃ厳しいんじゃない?」

「……なるほど!」


:あ、スレ主分かってねーなこれ

:嘘だろ……これ分かんなかったらバカニキと同レベの知能じゃね!?

:さらっと俺もディスるんじゃねぇっ!

:↑それを言うなら『しれっと』やぞ

:あっ…………………………

:バカニキはバカニキ、っと……


 クッソ、急にちょっと難しい言葉使われて理解できなかったから適当に返事したのにバレちまったぜ……!

 やるなスレ民……ただバカニキとは一緒にしないでもらおうか。


 閑話休題。

 ……俺たち閑話休題すること多いな。


「1分って地味に長いね……」

「海もやっちゃう?」

「そんな『2軒目いっちゃう?』みたいなノリで天地創造しないでねスレ主」

「これぞほんとの、天地創造と十字──」

「いい加減著作権で取り返しつかなくなるから。あと、『これぞほんとの』って言って、ほんとじゃないことあんまりないから」


:……サボリニキ大変だなぁ

:スレ主の相手、ツッコミしかいけないよな

:なら俺行こうかなっ! やっぱサボリニキと同じく『〇〇ニキ』の名をつけられたこのバカニキがサボリニキの味方になるのが1番アツいぜ!!!

:やめなさい

:やめなさい

:やめなさい

:スレ主の味方が増えるだけなんよ

:スレ民本気で止めてて草


「んじゃ早速海作るか!」

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