長いキスの後、俺と陽翔は額をくっつけて、微笑みあった。ほんのり汗ばんだ肌と肌が触れ合う心地よさ。
――あぁ、陽翔さんは、本当に温かい人だ……。
「叶翔、愛してるよ」
ぎゅっと優しく抱きしめて、愛を囁いてくれる。本当に好きな人と、恋人同士になれたんだ。そう思うと目が熱くなった。今まで怖くて拒絶していたことが、どれほど馬鹿げていたことか。
「俺も、陽翔さんのこと、愛してる」
「もう、さん付けやめて。陽翔って呼んでよ。恋人なんだから」
ふふっと笑う声が耳元でじんわりと響いた。その吐息が耳に触れ、背筋がぞわりとする。
「陽翔……」
「うん?」
「呼んでみただけ」
陽翔は朗らかにははっと笑って、チュッとキスをしてきた。その唇の柔らかさに、まだ慣れていない俺は、頬が熱くなるのを感じた。
「可愛い、叶翔……。離したくないな……」
「俺はどこも行かないよ?」
ふふっと笑って、陽翔の背中を優しく撫でた。大きくて温かい背中。この背中に支えられたら、もう何も怖くないような気がした。
「あぁ〜、帰りたくねぇ〜」
陽翔が空を仰ぎながら喚いていた。まるで子供のようないたずらな表情。俺は、陽翔のこう言う子供っぽいところも好きだ。一途で純粋で、まっすぐで。ステージ上の彼とのギャップが愛しい。
「明日も一緒に弁当食べるんだろ?」
「また明日も、愛情込めて作ってくるから、楽しみにしてて!」
グッとガッツポーズをしている。全くこの人は、かっこいいんだか、かわいいんだか……。愛のこもった弁当を毎日作ってくれると思うと、胸がいっぱいになる。その姿を見て、思わず笑ってしまった。
陽翔と二人なら、きっとこの先も大丈夫だ。もう目を逸らさない。まっすぐ彼を見つめて、彼に見つめられる関係を大切にしよう。俺たちの始まりはこんなに温かいのだから。
俺は陽翔の胸に顔を埋めた。彼の心音が、俺の心と同じリズムを刻んでいるように感じられた。