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転生ガイド女神はじめました(やらされてます)
転生ガイド女神はじめました(やらされてます)
篠宮継宣|しのみやつぐのぶ
異世界ファンタジースローライフ
2025年05月04日
公開日
5.9万字
連載中
――新章突入!―― 転生女神から聖女アリシアに!?異世界転移勇者と魔王討伐に出るも!? 平凡な元サラリーマンだった男が転生させてもらえず他の転生予定者を異世界に導くガイド女神にさせられてしまう!? 見た目が金髪美女になり日本での記憶があるにも関わらず多くの転生者を送り出していくうちに、少しづつ心も女神(女性)っぽくなってくる。 新章突入(第三章から)  個性的な転生者たちと、予測不能なランダムガチャが巻き起こすドタバタ劇に翻弄されていた日々だったが、ある日、神様から、異世界に聖女アリシアとして転生して転移勇者とともに魔王討伐してこいと言われる。  この異世界転移勇者がまた曲者で、口先ばっかりの頭でっかちネットジャンキーだった……。どうなる聖女アリシア!?

プロローグ 女神になった話をしようか

 温かい光につつまれていた……気がついたら、視界すべてが白かった。目が見えているのか、それとも……。


 どこまでも真っ白な空間。床も、壁も、天井も……ていうか壁も天井も無い。まるで無印良品の最終進化系みたいな世界。


「……え?」

 立ち上がろうとした瞬間、違和感が俺を襲った。

 まず、腕。細い。白い。つるっつる。 次に、髪。さらさら。長い。いい匂いがする。

「いやいやいやいや」

 慌てて自分の胸に手をやる。

「……あっ」

 あった。なにかが、そこに、確かに、あった。

 さらに脚を見てみると、なんとういう事でしょう! すね毛がない。それどころか妙に艶めかしい。え? ひらひらのスカート??

「誰ぇ!? これ俺の身体じゃないぃぃ!」

 パニックに陥っていると、頭上から「すーっ」と何かが降りてきた。

 白い髭をたくわえた、いかにも「神様です」って顔のじいさんだ。

「やあ、山田さん。いままで大変でしたね。あなたは死んでしまって、ここに来ています」

「やっぱり俺、死んだのか……で、あんた誰?」

「わしか? わしは神様ぢゃ」

 うさんくせぇ。語尾の「ぢゃ」って今どき聞かねぇよ。

「いやでもそれよりこの身体! 俺、なんで女に!?」

「うむ。それはこれから説明しよう。……山田さん、あなたにはこれから、『死んでここに来る魂たち』を導く役目を担ってもらいます」

「導く? なんで俺が?」

「理由は簡単。君は生前、実に『平均的な人間』だった。凡人の共感力というのは、案外大事なのぢゃ」

「……まあ、否定はできねぇけど……」

「そして、その導き手には——『女神』になってもらう必要がある」

「女神ってなんだよ!」

「いわゆる『転生ガイド女神』じゃな。悩める魂を、別の世界へ送り出すお手伝いをするのぢゃよ。オプションで職業ガチャも引かせたりしてな」

「ガチャって言うな!」

「では、さっそく初仕事じゃ。第一号の魂がもう来ておる」

「ちょっと待っ……」


 言いかけた瞬間、空間の端が歪んで、一人の男が現れた。

 真っ黒なスーツ、がちがちの筋肉、鋭い目つき——

 どう見ても、ヤバそうな人である。

「……あれ? 俺、死んだのか?」

 男が俺(見た目は女神)を見て、目を見開いた。

「うおっ、天使か!? 女神さまか!? 俺、どこ行くの!? 天国? 地獄? それとも異世界?」

 いや、知らん。俺も初日だよ。でも……こっちが導く役なんだろ?

 腹を括った。ていうか括るしかなかった。

 俺は咳払いを一つして、女神っぽく(なるべく)優雅に微笑んだ。


「ようこそ、異世界転生の待合室へ——」

 そのとき。神様がぼそっと呟いた。

「ちなみに彼は、前世で『世界を裏から動かしていた』元・闇の組織の幹部らしい」

「おいィィィ!」


 ——こうして俺の、転生ガイド女神ライフ(超初心者編)が、始まった。


          —— つづく ——

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