セレナたちは、古代の鍵を封印し王国に一時の平和を取り戻した。しかし、その平和は決して永遠に続くものではなかった。彼らの心の中には、再び暗雲が立ち込める予感が広がり始めていた。
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封印が完了して数週間が過ぎ、セレナたちは再び日常生活に戻りつつあった。エリザベスは魔法の研究を続け、ライアンは騎士団の訓練を指導していた。セレナもまた、日々の王宮での任務に戻り、表向きには平穏な日々が続いていた。
だが、彼女の心は常に不安に苛まれていた。古代の鍵を封印したことで、王国に平和が訪れるはずだった。しかし、その平和が表面的なものでしかないように感じていた。
「何かがおかしい……」
セレナは、夜な夜な不安な気持ちを抱えて眠りにつけずにいた。そんなある夜、彼女は不思議な夢を見た。夢の中で、再びあの鍵が光り輝き、その光の中から誰かが彼女に手を差し伸べているように感じた。
「助けて……」
その声はかすかで、どこか悲しげだった。セレナはその手を取ろうとしたが、目が覚めると夢は途切れてしまった。
「今のは……」
セレナは夢の内容を思い返しながら、何かが再び動き出しているのではないかと感じた。彼女はこの不安を仲間たちに伝えるべきだと考え、早速エリザベスとライアンに相談することにした。
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翌朝、セレナはエリザベスとライアンを呼び出し、昨夜の夢について話した。エリザベスはその話を聞いて、眉をひそめた。
「夢はただの偶然とは思えないわ。特にセレナが見たのなら、何か重要な意味があるのかもしれない」
エリザベスはそう言い、何かに気づいたように考え込んだ。ライアンもまた、セレナの不安を真剣に受け止めていた。
「もしかすると、あの封印が完全ではなかったのかもしれない。あるいは、鍵の力がまだ何かを引き寄せているのか」
ライアンの言葉に、セレナは一層の不安を覚えた。彼らが封印した力が、再び目覚めようとしているのではないかという恐れが募った。
「私たちは、もう一度あの神殿を調べてみるべきです。何か見落としていることがあるかもしれません」
セレナの提案に、エリザベスとライアンも同意し、彼らは再び忘れられた神殿へ向かう準備を始めた。
**◇**
数日後、セレナたちは再び南部の忘れられた神殿へと向かった。神殿は以前と変わらず静まり返っていたが、彼らは何か異質な空気を感じ取っていた。
「ここに何かがある……」
セレナは直感的にそう感じ、神殿の奥へと進んだ。石棺の前にたどり着いた彼女は、再び古代の鍵が封印されていることを確認したが、何かが違っているように感じた。
「封印はされているけれど……」
エリザベスが呟き、石棺に手をかざして魔法を使って調査を始めた。彼女の顔には不安の色が浮かんでいた。
「これは……封印に何か干渉があったようです。完全に封印されているはずが、何か外部から影響を受けている」
エリザベスの言葉に、セレナとライアンは驚きを隠せなかった。
「どういうことだ……? 私たちが封印したのに、誰が干渉したというんだ?」
ライアンは剣を握りしめ、周囲を警戒した。しかし、神殿の中には何も異常は見当たらなかった。
「もしかすると……これは、私たちが予想していた以上の力が働いているのかもしれません」
セレナはそう言いながら、封印に近づいた。彼女の心には再び夢の中で見た光景が浮かんだ。
「私たちは、さらに深くこの神殿を調査する必要があります。何かが封印に干渉しているなら、その正体を突き止めなければなりません」
エリザベスの提案に、セレナとライアンも同意した。彼らはさらに神殿の奥深くへと進み、封印に影響を与えている何かを探し出すことにした。
**◇**
神殿の奥へ進むにつれ、彼らは次第に強い魔力の流れを感じ取るようになった。その魔力は封印から発せられているものではなく、神殿のさらに深部から湧き上がっているようだった。
「この先に、何かがある……」
セレナはその直感を頼りに、仲間たちと共に進み続けた。やがて彼らは、古代の壁画が描かれた大広間にたどり着いた。壁画には、かつての王国の栄華と共に、強大な力を持つ存在が描かれていた。
「これは……古代の神々の一つでしょうか?」
エリザベスがその壁画に目を凝らし、そこに描かれている神の姿を見つめた。その神は強大な力を持ち、王国を守護していたが、その力が暴走したことで世界に混乱をもたらしたという伝説が記されていた。
「もしかして、封印に干渉しているのはこの力なのかもしれない」
セレナはそう考え、壁画の中心に描かれた大きな扉に注目した。その扉は、神殿のさらに奥へと続いているようだった。
「私たちはこの扉を開けるべきか……?」
ライアンが不安そうに尋ねたが、セレナは決意を固めた表情で頷いた。
「私たちが進まなければ、誰がこの謎を解くのでしょうか。この先に、私たちが探している答えがあるかもしれません」
セレナの言葉に、エリザベスとライアンも覚悟を決め、扉を開く準備をした。彼らは共に扉を押し開け、神殿のさらに深い場所へと足を踏み入れた。
**◇**
扉の向こうには、さらに広大な空間が広がっていた。その中心には、巨大な祭壇があり、そこには封印された何かが眠っているかのように感じられた。
「ここが、封印の力の源なのか……?」
セレナは祭壇に近づき、そこに何かが浮かび上がるのを見つめた。その瞬間、再び強烈な光が彼女たちを包み込み、彼らは意識を失いかけた。
「何かが……来る!」
ライアンが叫び、エリザベスも魔法で防御を試みたが、その光は彼らを包み込み、完全に視界を奪った。
**◇**
気がつくと、セレナたちは再び広大な空間の中に立っていた。しかし、今度は彼女たちだけではなく、目の前には何か巨大な影が立ちはだかっていた。
「あなたたちは、私を目覚めさせてしまったのですね……」
その声は、夢の中で聞いた声と同じだった。セレナはその声に覚えがあり、目の前の存在が何であるかを理解した。
「あなたは……古代の神……?」
セレナの問いかけ