打ち込んだ瞬間、急速に、全身から力が抜けた。
「ああぁぁぁ……」
ヘッドセットを外し、ぐしゃぐしゃの髪をかきむしった。
ディスプレイの向こうでは、ざわめき続けるチャットログ。だけど、もう、何も見たくなかった。
カチリ。
ゲームをログアウト。
静かな部屋。現実の、自分のアパートの小さな部屋。蛍光灯の光だけが、無機質に照らしていた。
「……何やってんだよ、私……。」
ぽつりと呟く。
答えてくれる人なんか、いない。
怒った。
叫んだ。
泣いた。
でも、それで何が変わる?
誰かが来る?
誰かがわかってくれる?
違う。
違うのに。
「私、馬鹿だな……。子供かよ。」
力が抜けた。
ふらふらと、ベッドに倒れ込む。枕に顔を押しつけた瞬間、熱いものがじわっと滲んだ。
もう、何も考えたくなくて静かに、目を閉じる。
明日も、仕事だ。現実は、待ってくれない。
(……でも、ほんとは、気づいてた。本当は、どこかで、期待してた自分がいた。いつか、誰かが隣に来てくれるって同じ価値観で楽しいねって言える日がくるんじゃないかって。)
そんな、甘ったれた夢を。
意識が、遠のいていく。
最後に、心の中で、小さくつぶやいた。
誰か、来てよ。
そうして、真緒は静かに、眠りに落ちた。