モデルの仕事が終わり家路に着く。少し暗くなって来た道を進んでいくと家の傍に車が止まっていた。マユミが近づくとドアが開き、男が出てきた。
『先生?』
タカヤはドアをそっと閉めると微笑む。
『こんばんは・・・。』
『こんばんは。あ、良かったら・・・上がってください。』
家に招き入れて、グラスにお茶を注ぐとタカヤの前に差し出した。
テーブルを挟んでタカヤと向き合う。彼の顔は部屋の照明のせいか悪く見える
。
『先生?・・・どうかしたんですか?』
胡坐をかいて頬杖をついたタカヤは目を伏せた。
『マユミ君、カナエと会ってるの?』
『え?』
やけに声が低くて、マユミはドキリとした。
『カナエのこと・・・好きなのか?』
マユミはタカヤの傍に寄ると、彼の手に触れた。
『・・・友達ですよ。』
『・・・そっか。』
上目遣いに見るタカヤの目には迷いが見える。マユミはその目を覗き込んだ。
嫉妬・・・じゃない。不安。
『先生。』
指を伸ばしてタカヤの頬に触れた。指の腹に髭が触れて、唇を結ぶ。
いつも綺麗にしている人なのに・・・。
マユミはタカヤに近づくと彼の頭をそっと引き寄せた。肩に乗せてその頭を撫
でる。タカヤの深く長い溜息が聞こえた。
『・・・マユミ君。』
髪を撫でて小さく頷く。
『はい・・・。』
タカヤの深い溜息が聞こえて、彼の腕がマユミを引き寄せた。体が近づいて体
温が強くなる。
『俺はどうしようもない・・・。』
情けない言葉にマユミはタカヤの首筋にキスを落とす。
『そんなことはないです。』
『・・・ないのかな?』
顔が近づいて唇が触れた。
『ないですよ。僕にとっては。』
唇を触れさせて、息を、熱を、確かめる。
『・・・なら、どうしようもなくていいかな?』
タカヤの目が泣き出しそうで、マユミは両手で頬を包む。
『・・・いいですよ。』
『そっか。』
抱き寄せられて床にそっと倒されると、また長いキスが始まる。手を重ねて、
素肌を探りあう。体温の熱さに眩暈を感じながら、タカヤの腕に従っている。
引き上げられたシャツを脱がされて、タカヤの首に手を回す。
『マユミ君・・・。』
『・・・はい。』
優しい指が頬を撫で、髪を撫でる。
『君が好きだ。君に恋してる。』