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第42話 どうしようもない気持ち

モデルの仕事が終わり家路に着く。少し暗くなって来た道を進んでいくと家の傍に車が止まっていた。マユミが近づくとドアが開き、男が出てきた。


『先生?』

タカヤはドアをそっと閉めると微笑む。


『こんばんは・・・。』

『こんばんは。あ、良かったら・・・上がってください。』


家に招き入れて、グラスにお茶を注ぐとタカヤの前に差し出した。

テーブルを挟んでタカヤと向き合う。彼の顔は部屋の照明のせいか悪く見える


『先生?・・・どうかしたんですか?』


胡坐をかいて頬杖をついたタカヤは目を伏せた。

『マユミ君、カナエと会ってるの?』


『え?』

やけに声が低くて、マユミはドキリとした。


『カナエのこと・・・好きなのか?』


マユミはタカヤの傍に寄ると、彼の手に触れた。

『・・・友達ですよ。』

『・・・そっか。』


上目遣いに見るタカヤの目には迷いが見える。マユミはその目を覗き込んだ。

嫉妬・・・じゃない。不安。


『先生。』


指を伸ばしてタカヤの頬に触れた。指の腹に髭が触れて、唇を結ぶ。

いつも綺麗にしている人なのに・・・。


マユミはタカヤに近づくと彼の頭をそっと引き寄せた。肩に乗せてその頭を撫

でる。タカヤの深く長い溜息が聞こえた。


『・・・マユミ君。』


髪を撫でて小さく頷く。

『はい・・・。』


タカヤの深い溜息が聞こえて、彼の腕がマユミを引き寄せた。体が近づいて体

温が強くなる。


『俺はどうしようもない・・・。』


情けない言葉にマユミはタカヤの首筋にキスを落とす。

『そんなことはないです。』


『・・・ないのかな?』

顔が近づいて唇が触れた。


『ないですよ。僕にとっては。』

唇を触れさせて、息を、熱を、確かめる。


『・・・なら、どうしようもなくていいかな?』

タカヤの目が泣き出しそうで、マユミは両手で頬を包む。


『・・・いいですよ。』

『そっか。』


抱き寄せられて床にそっと倒されると、また長いキスが始まる。手を重ねて、

素肌を探りあう。体温の熱さに眩暈を感じながら、タカヤの腕に従っている。


引き上げられたシャツを脱がされて、タカヤの首に手を回す。


『マユミ君・・・。』

『・・・はい。』


優しい指が頬を撫で、髪を撫でる。


『君が好きだ。君に恋してる。』


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