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第36話 初めての誕生日会


第三者side


体育祭から1週間。

相変わらず莉乃たちは忙しい日々を送っていた。


『リアクターナイト!フィニッシュ!』


「はあああっ!!」

「グオオオオオッ!!」


莉乃はオムニバスブレードでオミナスを斬り伏せ、爆散させる。


「おつかれ」

「颯斗君もお疲れ様です」


そう言って返信を解除する。


「忙しいったらありゃしねぇ」

「仕方ありません。向こうにこちら側の事情が関係ありませんから」

「そうは言っても…莉乃、ちゃんと休めてるのか?」

「勿論です」

「そうか?」


颯斗は怪訝そうに言う。

何せ、颯斗は生徒会長である以上、普段からなかなか持ち場を離れることは出来ない。

そのため、オミナスが出現した時は莉乃が1人で対処することが多かった。


「ですから心配しないでください」

「それならいいけど……」


そう言って莉乃は踵を返す。


「莉乃……」


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颯斗side


「はぁ〜……」


俺はリビングでため息を吐いた。


「なんだため息とは珍しいな?」

「父さん……」


父さんはそう言って俺の座っているソファーの隣に腰掛ける。


「何か悩み事か?」

「まぁ…莉乃のことで」

「あら!告白する気になったのかしら!?」

「ちげぇよ」

「母さん、今は静かにしてくれ……」


父さんは呆れたように呟いた。


「実は最近、莉乃ばっかりにオムニバスをやらせてて……守るって決めたのにそばに居られないことが多いんだよ……」

「颯斗……」


父さんがギュッと握った俺の拳を両手で包み込む。


「いつも、口酸っぱく言っているが無理はするな。だが、守りたいのなら頑張れ。自分で選んだ道ならそれを貫け。例え何があったとしても、な……」


そう言う父さんの目は少し悲しそうだった。


「父さん……?」

「俺だって守りたかった」

「えっ?」

「いや、なんでもない。トイレに行ってくる」


そう言って父さんは立ち上がった。

どうしたんだ?

なんか様子がおかしかったけど……


「ねぇ、颯斗?」

「ん?どうしたの?」

「莉乃ちゃんの誕生日って明後日よね?」

「そうだけど……」

「パーティーしないの?」


母さんに言われてハッとした。


「やっばい!!完全に忘れてたっ!!」


俺としたことが最近の忙しすぎて完全に忘れてしまっていた。

俺の時にはやってもらったのに!!

俺は慌ててスマホを取り出し、莉乃を除く3人にメッセージを送る。

すると、全員からすぐに返信が来て、承諾を得られた。

話を聞けば、元より明日そのことについて話をするつもりだったらしい。


「よかった……」


俺はホッと胸を撫で下ろした。


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第三者side


翌日。


「……今年も来ましたよ」


誠は1人、墓の前に来ていた。


「守りたい、か……」


昨晩の息子の言葉を思い出し、眉を下げて困った表情をする。


「俺にはそれが出来なかった。息子には…颯斗には出来ると思いますか?」


誠は問いかけるが返答はない。


「氷室さん?」

「……鏑木か」

「どうしたんですか?こんな、ところで……」


鏑木は言葉を失った。


「ここは……」

「そうだ。君のお母さんのお墓だ」

「なんで……」

「お墓参りをしたら、場所を変えようか」

「はい」


鏑木は真剣な目でそう言った。


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「───ということなので明日は家を外してくださいっ!!」

「ええっ!?」


颯斗は莉乃に頭を下げてそう言い、それを受けて彼女は困惑していた。

何故こうなったかと言うと、それは学校での会話に遡る。


「それで?どういう誕生日会にするんだ?」

「もちろん、喫茶キトゥンでお祝いする!」

「なぜかしら?颯斗の家でいいじゃない」


美香は真っ当な疑問をぶつける。


「確かに俺の家の方がいいかもしれない。だが、問題はそこではない」

「「「え?」」」

「どういうこと?」

「問題はウチの構造上、飾り付けがほぼ出来ない!!」

「ええっ!?」


美香は驚いたように反応する。


「忘れてたいたけど確かに……」

「あれはちょっと……」


2人は少し遠い目をする。


「ど、どういうことなの?」

「颯斗のお母さん、片付けが出来ないんだよね」

「えっ」

「それにすぐ何かに影響されるの。まぁ、危険なのはお父さんが全力で止めてるみたいだけど」

「えぇ……」


瑞稀が絶句した。


「なので、最適なのは喫茶キトゥンなんだよ」

「2人の家は?」

「うちは弟がまだ幼いし」

「私の家は兄が莉乃の苦手なカブトムシを大量に飼ってるから……」

「そろそろサナギになる時期か……」

「斯く言うお前は?」


颯斗が瑞稀に問う。


「私の家は論外だよ。お母さんとかお父さんがそう言うの許してくれないし」

「じゃあやっぱり……」

「喫茶キトゥンだな」


誕生日会の計画について粗方まとまり、とりあえず春香の元へと向かった。


「なので喫茶キトゥンでさせてください!」

「いいよ」


春香は快く承諾した。


「莉乃はどうする気なの?」

「確かに」

「莉乃っち、自分も手伝いますとか言いそうだしね」

「それはめちゃくちゃわかるわ」

「七瀬さんの解像度無駄に高いね」

「「親友だもの」」

「さいですか」


公人は苦笑いしながら返した。


「なら、いっそのこと言っちゃおう!」

「「「はぁ!?」」」


これで先程の部分に繋がるのである。


「誕生日会、ですか?」


莉乃は首を傾げる。


「───ということなので明日は家を外してくださいっ!!」

「ええっ!?」


流石の莉乃も突然のことで驚きを隠せない。


「いや、普通に手伝いますよ?」

「それじゃダメなんだよ!主役が手伝っちゃ!サプライズパーティーの意味が無いじゃないか!」

「私にそのことを言っている時点でサプライズではないと思います」

「確かに!でも、手伝うのはナシ!!絶対にナシ!!」

「ええ〜っ……」


今までに見たことがない雑さ加減で説得を試みようとする颯斗に莉乃は困惑していた。


「余裕がないのよ」

「えっ?」


春香が莉乃にそう言う。


「普段ならもっと上手くやるけど、今の彼は“誕生日会をいいものにしたい”っていうのにリソースを使いすぎて結果だけを求めてるの」

「なるほど……」

「そんなに真剣に解説しないでください。めっちゃ恥ずかしいです」


颯斗は春香に真面目な顔してそう言った。


「私はそんなこと思わないわよ?」

「えっ?」

「何かに一生懸命な人ってすごく素敵よ?」

「そうですね」

「だから、莉乃ちゃん。明日はお出掛けでもしてきなさい」


優しく春香は莉乃を諭すようにそう言った。


「わかりました。颯斗君のお望み通り、出掛けますね」

「ホントか!?」

「ただし、期待しておきますからね?私の記憶の中では家族以外が祝ってくれる初めての誕生日会なんですから」

「ああ!任せてくれ!」


颯斗は自身の胸を叩いてそう言った。


「よし!やるぞ!!」


気合いを入れてそう叫んだ。


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誠と鏑木はカフェに移動していた。


「それで…何故、氷室さんは母の墓にいらっしゃったんですか?」


鏑木は意を決したように誠に問いかける。


「……俺の昔話だ。俺が刑事になりたての時のバディを組んだのがお前の母親だ」

「そうだったんですか!?」

「ああ…麻里亜さんは優秀な刑事だった。本当に優秀で……」


誠はギュッと拳を握った。


「俺もまだ若くて周りが見えていなかった。“犯人を逮捕出来ればそれでいい”としか思っていなかった。だから、周辺の警戒も全く出来ていなかった。犯人が単独でない可能性すら」


『21:14分!殺人未遂で緊急逮捕!』


「本当に俺は甘かった」


『やりました!麻里亜さん!』

『……っ!!危ない!!』


「俺がとある事件で殺人犯を逮捕して、気を緩めた時だった。麻里亜さんは俺を突き飛ばしたんだよ」


その直後、銃声が響いた。


『麻里…亜、さん……?』


そこには胸から血を流して倒れている麻里亜の姿があった。


『麻里亜さん!!しっかりしてください!!麻里亜さああああん!!!!』


「結局、麻里亜さんを撃った犯人も逮捕した。でも、そのせいで麻里亜さんは命を落とした。……俺は守れなかった。お互いに守り合うバディだったのに……!!」


誠は軽く机を殴る。


「氷室さん……」

「今まで隠していて済まない」


誠は頭を下げる。


「なるほど…腑に落ちました」

「……何がだ?」

「氷室さんみたいな優秀な刑事が何故俺なんかを必死に鍛えてくれていたのか。……もう、失いたくなかったんですよね?大事な人を」

「……ああ。俺が君を気にかけていたのは贖罪だ。だが、それだけじゃない」

「えっ?」

「お前はいい刑事になれる。そう思ったから俺はお前を全力で教育すると決めたんだ」

「氷室さん……」


そこに電話が入る。


「すいません!」


鏑木はそう言って電話に出る。


「もしもし?」

『墓参りなのに済まないな』

「麒麟?どうかしたのか?」

『悪いが事件が発生した。お前が1番近いからすぐに現場に向かってくれ。場所は今送る』

「わかった!」


鏑木はメッセージを確認する。


「事件か?」

「すいません!行ってきます!」

「ああ。行ってこい」


そう言って誠はカフェを飛び出していく後輩の背中を見送った。


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莉乃side


誕生日会当日。

私は出掛けていた。


「出掛けるとひと口に言ってもどうすればいいんでしょうか……」


普段ならお店で働いており、自由時間などあってないようなものである。

とりあえず、追い出されたものの行く宛もなくただただブラついているだけだ。


「ん〜……」


何かないかと探しながら歩いているが、特段何か見つけられたわけではない。

かと言ってキトゥンに戻るわけにはいかない。

16時くらいまでは出掛けていてくれと言われてしまっている。

と、そんな考え事をしていると。


「待て!!」


聞き覚えのある声が聞こえてくる。

後ろを振り返れば、鏑木刑事が誰かを追いかけていた。

追いかけられている人の手にはナイフが握られている。

なるほど。

事件の被疑者ですか。

状況を理解した私は被疑者の進行方向に立つ。


「莉乃ちゃん!?」

「退け!!ガキ!!」


そう言ってナイフを構えて襲ってくる。


「遅いっ!!」


私は回し蹴りで手首を蹴り上げ、ナイフを弾く。

被疑者が怯んだ隙に、そのまま一本背負いする。


「ぐああっ!」

「よ、容赦ないね……」

「加減はしましたよ?」

「そ、そう……」


鏑木刑事は顔を引き攣らせながらそう言った。

その後、到着した応援によって男は連行されていった。


「ふぅ……」

「お疲れ様です」

「“お疲れ様です”じゃないよ!」


鏑木刑事は両手を腰に当てて怒ってくる。


「危ないじゃないか!今回は怪我しなくてよかったものの……もし怪我してたらどうする気だったんだ!?」

「えっと……」

「君は氷室さんのお気に入りみたいだし…怪我されるとこっちが怒られるんだからね!?」

「……自分の心配ですか?」


私はジト目で彼を見る。


「へっ!?あ、別にそういうわけじゃないよ!?莉乃ちゃんが心配だなって思ってそれで……」

「それくらい分かってますよ」


私は少し笑ってそう言う。


「……大人を揶揄うのは褒められないよ?」

「わかってますよ」

「でも、被疑者確保の協力、ありがとうございます」


鏑木刑事はわざとらしくそう言って敬礼した。


「いえいえ」

「そういえばこんなところで何してたの?」

「16時まで出掛けてこいと言われまして、特にやることもなかったのでぶらついていたんですよ」

「そうだったんだ。……なんで16時?」

「そこから誕生日会があるんですよ」

「そうなの!?」

「はい」

「莉乃ちゃん、お誕生日おめでとう」

「ありがとうございます」

「じゃ、気をつけてね!」

「はい」


そう言って鏑木刑事は去っていった。


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第三者side


適当にぶらついた後、16時ぴったりに莉乃はキトゥンのドアを開けた。

それと同時にパンパンとクラッカーの音が鳴り響く。


「「「莉乃(っち)(ちゃん)(七瀬さん)お誕生日おめでと〜う!!」」」


店内はたくさんの装飾がされ、テーブルの上にはたくさんのパーティー料理が並んでいる。


「ありがとうございますっ!」


莉乃は嬉しそうにはにかんでそう言った。


「さぁさぁ!食べて食べて!」


みんなに言われるがまま、莉乃は料理を口にしていく。


「ん〜!美味しいです!」

「よかった〜!それ私が作ったんだよ?」


瑞稀は自慢げに言う。


「こっちは私が作ったの。食べて?」

「美味しいです!」


美香の料理も口に運び、そう言う。


「ケーキはどう?」

「もちろん美味しいです!」


パーティーは順調に進んでいき、プレゼントを渡す時間となった。


「「「どうぞ!」」」

「ありがとうございます!」


莉乃は両手にいっぱいのプレゼントを受け取り、笑顔でそう言った。


「随分と笑うようになったじゃないか」


その声に振り返れば。


「ダークエイドヴァルキリー!」


ダークエイドヴァルキリーがいた。


「今日は莉乃の誕生日なんだ。邪魔しないで貰おうか!」

「私からもプレゼントを渡そうと思ったてな?敗北という名のプレゼントをなぁ!!」


そう言ってダークエイドヴァルキリーは襲いかかってくる。


「「オムニバスチェンジ!」」


『フォートレスユニコーン!』

『ロボドラゴン!』


3人は窓を突き破り、外へと出た。


─────────────────────────────────────


「はあああっ!!」


ダークエイドヴァルキリーは斬撃を飛ばす。


莉乃はそれをバク転で回避し、オムニバスバスターをキャノンモードで構え、砲撃する。


「くっ!」


『ブレード!』


「はあああっ!」


ダークエイドヴァルキリーが怯んだ隙に一気に距離を詰め、ブレードで斬る。


「ぐああっ!」


ダークエイドヴァルキリーは吹き飛び、地面を転がる。


『ナイト!』

『ナイト!アビリティ!』


「颯斗君!これを使ってください!」


莉乃はオムニバスブレードを呼び出し、颯斗に渡す。


「サンキュー!」


颯斗はそう言ってカードをスキャンし、柄頭を引っ張る。


『マグネット!』

『マグネット!ブースター!』


トリガーを引いて、斬撃を放つ。


「はあああっ!」


斬撃はダークエイドヴァルキリーへと命中する。


「こっちに来い!」


そう言って颯斗がブレードを引っ張ると、それに付随してダークエイドヴァルキリーがこちらにやってくる。


『ケルベロス!』

『フェニックス!』

『メガバスターフィニッシュ!』


「はああああっ!!」


炎を纏ったケルベロスがダークエイドヴァルキリーに突進する。


「ぐあああああっ!!」


ダークエイドヴァルキリーは地面を転がる。


「なら…こちらも本気だ……!!」


『ダークパペット!』

『ダークチーター!』


「ダーク…オムニバスチェンジ」


『爆速の暗黒人形!パペットチーター!』


「出でよ、人形たち」


すると地面からマネキンのような人形が生えてくる。


「なんだそれ!?」

「見たことがない力ですね……!!」

「私も日々強くなる!!」


そう言って人形と共にダークエイドヴァルキリーは襲いかかってくる。


「くっ!」


数が多く、その上素早い。


「バスターでは取り回しが悪いですね……」


莉乃は戦闘しながらカードをスキャンする。


『ブラックホール!』


「ふっ!はあっ!」


『フェニックス!』


「オムニバスチェンジ!」


『暗黒の不死鳥!ブラックフェニックス!』


「はっ!たあっ!」


莉乃は人形たちに炎を纏ったパンチを放っていく。


「クソッ!邪魔だよ!」


颯斗は人形を斬り伏せながら言う。


『ドラゴン!』

『ドラゴン!ブースター!』


「はあああっ!!」


回転しながら斬撃を放つと、ドラゴンのエネルギーが人形たちを撃破する。


「きゃああっ!」

「莉乃!」


颯斗が声の方を見れば、莉乃がダークエイドヴァルキリーに吹き飛ばされていた。


「これ使え!!」


そう言って颯斗はブレードを投げ飛ばした。

ブレードは莉乃の近くの地面に突き刺さった。


「ありがとうございます……!」

「死ねぇ!!」


ダークエイドヴァルキリーの攻撃で横に転がって躱し、ブレードを取る。

そして、ダークエイドヴァルキリーに向かって走りながらカードをスキャンし、柄頭を引く。


『ナイト!』

『ナイト!ブースター!』


「はああああっ!!」


そして、ダークエイドヴァルキリーを斬り上げる。


「ぐああっ!」


ブレードを投げ捨て、チェンジャーの外側を回転させる。


『ブラックフェニックス!フィニッシュ!』


「はああああっ!」


そのままキックを放った。


「ぐああああっ!!」


ダークエイドヴァルキリーは地面を転がる。


「はぁはぁ……」


彼女が地面に倒れから少し。

ゆっくりと立ちあがろうとする。

すると、彼女の目を覆っていた仮面が真っ二つに割れ、地面に落ちた。

そして、顔を上げる。


「そんな……」


その瞬間、莉乃は言葉を失った。


「どうした!莉、乃……」


颯斗もまた言葉を失った。


「仮面が壊れてしまったか」


そこにゲイルが現れる。


「どういうことですか!!ゲイル!!」


莉乃は叫ぶ。


「どういうことも何も…見ての通り、ダークエイドヴァルキリーは……」






























































「お前の母親だ」

「嘘です!!お母さんは死んだはずです!!」

「ああ、死んださ。だから、“死体”を利用してるんじゃないか」

「……は?お前…何言ってんだよ……」

「お前の母親が死んだあの日。俺はコイツを利用すると決めた。本当は父親の方が良かったんだが、アイツの死体はボロボロすぎた」

「だから…お母さんを使ったんですか……!!」

「そうそう!まぁ、どうせただの“道具”だ。何も躊躇うことはない。“壊して”いいんだぞ?莉乃?」

「ふざけるなぁ!!!」


莉乃はゲイルに斬りかかる。

ゲイルはブレードをいとも容易く受け止める。


「何を怒ってるんだ?親子で対面させてあげただろ?ま、コイツはただの死体で自分が何者だったかなんて知らないけどなぁ?ただ1つ知っているのはオムニバス───特にエイドヴァルキリーは憎むべき相手であるってことくらいか?」

「お前ぇ!!!」

「実に滑稽だったぞ?親子同士で潰しあうのはなぁ!!」


ゲイルはそう言って莉乃を蹴り飛ばす。


「莉乃!」


颯斗はすぐさま莉乃の元に駆け寄る。

そんな様子を見て。


「り、の……?」

「なに!?」

「お母さん!!」


それまで赤かったダークエイドヴァルキリーの瞳が半分だけ青くなっていた。


「バカな!!死体のくせして!!」

「お前にはわからないさ。親子の絆が…愛が!!」

「調整し直さないとな」


そう言ってゲイルはダークエイドヴァルキリーの腹部を殴りつけ、気絶させる。

そして、ダークエイドヴァルキリーを担いでゲイルは姿を消した。


「お母さああああああん!!!!」


莉乃の哀しい叫びが木霊した。


          To be continue……


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