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第38話 強敵登場、絶体絶命


第三者side


「「「きゃああああっ!!」」」


この日もオミナスが出現していた。


「ママぁ〜!」


逃げ惑う中に親と逸れた子供がいた。


「グルルルオオオオ!!」


その子供にオミナスが襲いかかる。


「危ない!!」


駆けつけた莉乃は子供を抱き抱えながら横に転がり回避する。


「美紅!」

「お母さんですね?早く逃げてください」

「はい!ありがとうございます!」


2人を逃した莉乃の背後からウルフオミナスが襲いかかってくる。


「はあああっ!!」


莉乃は振り返ると同時にオムニバスバスターでぶん殴る。


『フォートレスユニコーン!』


「一撃で決めます」


『フォートレスユニコーン!フィニッシュ!』


ドリル状のエネルギーを纏った拳をオミナスの腹部に放つ。


「グルルルオオオオ!!」


オミナスは雄叫びを上げると同時に爆散した。


「ふぅ……」


莉乃は一息吐き、変身を解除する。


「莉乃〜!!」


そこに颯斗が駆けつける。


「颯斗君?もう終わりましたよ?」

「早いな……」

「さぁ、帰りましょうか」


そう言って莉乃は踵を返して歩き出す。

数歩歩いた時、彼女の視界がぐらついた。


「(あ、れ……?)」


莉乃はそのまま倒れた。


「おい!!莉乃!!しっかりしろ!!」


颯斗はすぐさま駆け寄った。


─────────────────────────────────────


「どうだ?」

「出来たぞ。新たな力が」


ガイタは2枚のカードをゲイルに見せながらそう言った。


「それ何?」

「俺の実験の最終フェーズだ」


ヴィテレの言葉にそう答える。


「それは……!!」

「ダークオムニバスチェンジャーだ。あのゾンビのおかげで奴らのデータが手に入ったしな」


ゲイルはニヤリと笑った。


─────────────────────────────────────


颯斗side


「莉乃ちゃん……」

「言わんこっちゃないな……」


俺はベッドで眠る莉乃を見てそう呟いた。


「前から言ってくれてたみたいね」

「はい。俺が忙しくてすぐに行けないからって張り切ってる感じで……前はもう少し頼ってくれてたんですけどね」

「そっか……莉乃ちゃんの性格が強く出てるのね」

「え?」


小首を傾げる俺を春香さんは店内へと連れて行った。


「はい」


春香さんはコーヒーを出してくれる。


「ありがとうございます」


俺はお礼を言って1口飲む。

と、春香さんが話を切り出してくる。


「……莉乃ちゃん、大事なものたくさん失ってきてるでしょ?」

「そう、ですね……」


本当に莉乃は失いすぎている。

両親、友達、育ての親……


「だから、莉乃ちゃんはもう失いたくないって思ってるのよ」

「失いたくない……」

「だから、颯斗君よりも先に現着して、オミナスを撃破する」

「なるほど……」


春香さんに言われ、初めて変身した時のことを思い出した。


『怖いですよ。死ぬことは』


『ですが、私は今私に出来ることを全力でやるだけです。どんなに危険でも、それが私に託された運命なら』


『あなたは望んで巻き込まれたわけじゃありません。ですから、逃げてください』


俺を守ろうとしていた。

そのせいで後に喧嘩に発展したくらいだ。


「莉乃……」


すると、店のドアが開かれ、焦った様子の公人が口を開いた。


「オミナスが現れたぞ!」

「何!?」

「場所は?」

「商店街の方です!」

「俺が行く!」


俺はすぐさまキトゥンを飛び出した。


─────────────────────────────────────


第三者side


「アイツか!」

「ドロドロ〜ン!」

「見た目は最悪だな……」


颯斗は泥のような見た目をしたオミナスを見てそう言う。


「おそらくマッドオミナスじゃないでしょうか」

「ああ。だろうな…って!莉乃!?なんでいるんだよ!?」

「オミナスが現れたのにおちおち寝ていられません。オムニバスチェンジ!」


『リアクターナイト!』


莉乃は変身し、オムニバスブレードで斬りかかった。


「ああもう!オムニバスチェンジ!」


『UFOマジシャン!』


颯斗もオミナスに殴りかかった。


「ドロドロ〜ン!!」


マッドオミナスは泥を発射する。


『リアクター!』

『リアクター!ブースター!』


莉乃は炎を纏った斬撃でそれらを斬っていく。


「はあああっ!!」


大きく振りかぶり、マッドオミナスを斬る。


「ドロォッ!!」


オミナスは一瞬怯む。

莉乃はすかさず回し蹴りを叩き込む。


「1人で無茶すんな!」


そう言って颯斗も飛び掛かり、ぶん殴る。


「ドロォッ!!」

「別に無茶はしていませんよ」

「い〜や、無茶してるね!」

「ですからしていませんと言っているでしょう?」

「はぁ!?疲労でぶっ倒れてたのに戦いに来ることのどこが無茶じゃないんですか〜!?」


2人が口論しているとマッドオミナスは地面の中に姿を消した。


「「あっ」」


─────────────────────────────────────


「それでみすみす逃してきた、と?」

「「はい」」

「颯斗君が私に突っかかってきたので」

「はぁ!?俺は莉乃が無茶してるから止めようと……」

「ですから無茶をしていないと何度言ったらわかるんですか?」


フタタbの2人がヒートアップしそうになる。


「2人とも落ち着いて」


公人はそう言って2人を落ち着かせる。


「……俺は怖いんだよ」

「え?」

「莉乃が死んでしまうんじゃないかって」

「それは……」


莉乃は言葉を詰まらせてしまう。


「俺は頼りないか?」

「そんなことあるわけないじゃないですかっ!!」


彼女は焦ったように言う。


「じゃあなんで1人でやろうとするんだ?……やっぱり、もう何も失いたくないからか?」

「……はい」


莉乃は俯きながら頷いた。


「お父さんもお母さんもおばさんもみのりちゃんも……みんな失いました。ですから、私はもう何も失いたくないんです」

「莉乃……」

「だから、どれだけ体が悲鳴を上げても戦います。私は私の守りたいものを守るために」

「なら、俺を頼れ」

「私の話を聞いてましたか?」

「ああ、聞いてた」

「だったら!」

「俺は死なない」


颯斗は真剣な目で莉乃を見てキッパリと言い切った。


「なんでそんなことが……」

「俺を殺せるのは莉乃と寿命だけだ」

「えっ?」

「それほどの覚悟を持って俺はオムニバスをやっているつもりだ。お前を守るために強くなったしな」

「颯斗君……」

「だから、1人で抱え込もうとするな」


そんな会話をしていると。


「2人とも!公園にマッドオミナスが現れたわ!」


春香の持つタブレットには公園にオミナスがいることが示されていた。


「颯斗君、一緒に行きましょう!」

「ああ!」


莉乃はバイクに乗り、颯斗と共に現場に向かった。


─────────────────────────────────────


「ドロドロ!!」

「そこまでだ!」

「今度こそ倒します」


2人はチェンジャーにカードをスキャンする。


『フォートレス!』

『ユニコーン!』


『ロボット!』

『ドラゴン!』


「「オムニバスチェンジ!」」


2人はチェンジャーの外側を回転させた。


『要塞の一角獣!フォートレスユニコーン!』

『機械仕掛けの逆鱗!ロボドラゴン!』


『オムニバスバスター!』

『ブレード!』


「行きますよ!」

「ああ!」


2人はオミナスに向かって行く。


「ドロドロ!!」


オミナスは泥の塊を放つ。

莉乃はそれをバスターを盾にして防いで行く。


「せやああっ!!」


そして、距離を詰めながらターンしてバスターを振り下ろす。


「ドロドロォォ!!」


オミナスは大きく吹き飛ぶ。


「俺もいるぜ?」


『ロボドラゴン!フィニッシュ!』


「はああああっ!!」


颯斗はロボットアームでオミナスを殴り飛ばす。


『ハンマーヘッドシャーク!』

『バスターフィニッシュ!』


「はあああっ!!」


莉乃はオミナスを地面に叩きつける。


「ドロォッ!!」


オミナスを中心としてクレーターが出来上がる。


「颯斗君!決めましょう!」

「ああ!」


『フォートレスユニコーン!』

『ロボドラゴン!』

『『フィニッシュ!』』


「「はああああっ!!」」


2人のダブルキックが炸裂し、オミナスは爆散した。


「やりましたね」

「ああ!」


2人はハイタッチした。

すると、どこからか拍手が聞こえてくる。


「素晴らしい連携プレイだったな?莉乃」


そう言って姿を現したのは。


「ゲイル……っ!!」

「そんなに睨みつけてどうしたんだ?」

「よくもお母さんを……!!」

「ははは!どの口が言うんだ?ダークエイドヴァルキリーの正体にも気付けなかったお前が!!」


ゲイルは楽しそうに言う。


「お前……っ!!」


颯斗はゲイルに殴り掛かろうとするが、その場に片膝をつき、強制変身解除する。


「颯斗君!?」

「はぁはぁ……!」

「そのフォームはお前への負担も大きいみたいだな?」

「うるさい……!!」


『UFOマジシャン!』


颯斗はUFOマジシャンフォームに変身して立ち上がる。


「まぁ、いい。今日はお前達に面白いものを見せようと思ってな?」


ゲイルはそう言ってあるものを腕に装着する。


『ダークオムニバスチェンジャー!』


「それは……!」

「さぁ、実験は最終フェーズだ」


『ダークアトミック!』

『ダークマンモス!』


「ダークオムニバスチェンジ」


『暗黒の原子像!アトミックマンモス!』


「何だと!?」

「変身した……!?」

「知らなかったか?このダークオムニバスシステムは元々は俺のためのものだ」

「では、お母さんは……」

「最終調整のための実験動物だ。あ、死んでるから実験死体ってところか?フハハハ!!」

「お前ぇ!!!」


颯斗はゲイルに殴り掛かる。


「最近の若者は血の気が多いな?」


そう言って颯斗のパンチを片手で易々と防ぐ。


「ふん!!!」


ゲイルはそのまま颯斗を地面に叩きつける。


「がはあっ!!」


そして、バウンドした颯斗の腹部に蹴りを放つ。


『アトミックマンモス!フィニッシュ!』


「ぐああああっ!!」


颯斗は地面を転がる。


「颯斗君!!」


莉乃が駆け寄れば、颯斗は強制変身解除し、血を流して倒れていた。


「安心しろ。手加減はしてやった」


手をひらひらさせてそう言うゲイルを莉乃は睨みつける。


「はあああっ!!」


莉乃はゲイルに向かって走り出す。


「全く……」


ゲイルがそう言って指を鳴らすと、地面が爆発して行く。


「くっ!!」


だが、莉乃は少し怯む程度で足を止めなかった。


「ほう?」

「はああっ!!」


莉乃はバスターで下から斜めに斬り上げ、腹部にを貫こうとする。

ゲイルはそれを受け止める。


「……っ!」


『キャノン!』


「はあっ!」


莉乃はすぐさまバスターをキャノンモードに切り替え、砲撃する。


「うおっ!」


ゲイルは数m後ずさる。


「やるなぁ?これならどうだ?」


『アトミックマンモス!フィニッシュ!』


ゲイルはエネルギー体のマンモスを召喚する。


「こちらも……!!」


『フォートレスユニコーン!フィニッシュ!』


莉乃も負けじとユニコーンを召喚し、2体は激突する。

互いにぶつかり合い、大きな爆発が発生する。


「くっ……!」


黒煙が上がる中、ゲイルはその黒煙を突破し、莉乃に襲いかかる。


「……っ!」

「ふん!!」


莉乃はすぐさま防御態勢に入る。

しかし、ゲイルの一撃は重く、吹き飛ばされる。


「ぐあああっ!!」


吹き飛んだ先にゲイルは先回りし、莉乃を蹴り上げる。


「ぐああっ!!」


そんな様子を意識を取り戻した颯斗が見ていた。


「やめろ……っ!!」


満身創痍の体は動かない。


「これで終わりだ」


『アトミックマンモス!フィニッシュ!』


「はあああっ!!」


ゲイルのキックを受けて莉乃は地面に叩きつけられ、強制変身解除する。


「ふっ。この程度か」


地面に降り立ったゲイルは苦笑しながら莉乃の元に近づき、腹部を踏みつける。


「ぐあっ!!」

「もう少しやるようなら利用価値はあったが……これならもう不要だな」


そう言ってゲイルは右手にエネルギーを溜めていく。


「道具よ、死ね」

「莉乃っ!!」


ゲイルが莉乃にエネルギーを放とうとした時、どこからか斬撃が放たれ、エネルギーが消される。


「何だと!?」


そして、鯨の鳴き声と共に列車が現れ、ゲイルを弾き飛ばした。


「何、ですか…一体……」

「列車……?」


そして、列車が光となって消滅すると同時に人が1人降り立つ。


「ゲイル。これ以上は、手出しさせない」

「お前は……!!」


その人物は刀を肩に担ぎ。


「俺はエイドハンター。七瀬 透馬だ」



          To be continue……


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