乾為天女
文芸・その他純文学
2025年05月09日
公開日
2.4万字
完結済
母の死後、焼け残った一通の手紙を見つけた少年・藍。
それは、語られなかった家族の記憶の扉をそっと開ける鍵だった。
藍は文化部の名目で、旧図書館の廃棄資料から“手紙の真実”を追い始める。
協力を申し出たのは、朗読を言葉より先に感じ取る少女、マカロンで感情を和らげる少年、
記録にこだわる冷静な生徒会長、そして“見えない声”に敏感な同級生たちだった。
やがて彼は、母・瑞穂が残した日記、そしてその母――絹代の存在と向き合うことになる。
声にならなかった叫び、記録されなかった想い。
朗読劇を通して“語られなかった者たち”を舞台に呼び寄せた藍は、
それが他人のための行為ではなく、自分自身の“名を呼ぶ行為”だったと気づいていく。
誰かを記録するのではなく、
自分の声を、自分のために灯すこと。