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「......ここは?」
全身が濡れている不快感と、どこかで頭を打ったのか頭痛がひどく、さらに手足の骨折の痛みで目が覚めた。
痛みをこらえて上半身を起こす。
「……あのワニを倒した場所か」
もう少し、体力を回復して色々考え__
「ヒロユキさーーーん!」
「ぐぇ」
見慣れた少女が全速力で走ってきて勢いよく抱きしめてきた。
……めちゃくちゃ痛いのだが……
「良かった、良かったです!死んでない!ごめんなさい、まさか、まさか山菜の依頼でこんなになるなんて」
ユキは顔をくしゃくしゃにして泣きながら言ってくる......
そうか......
「......泣くほど俺が成長してなかったのか」
これからは山菜依頼も一人でこなせるように頑張ろう。
「い、いえ!そう言う事では無くてですね!?うーん……ま、ヒロユキさんらしいですね、さぁ、帰りましょうスロー村へ!……あれ?他のお二方は?」
「......解らない」
冒険者という職業上、死ぬ事は珍しいことでは無い。
今ここで自分が生きているのも奇跡的みたいなものだ……ユキはそれ以上追求する事は無かった。
「そうですか……では、帰りましょう」
「……あぁ」
依頼は失敗。
だがスロー村へ帰るとそれどころの騒ぎでは無かった。