「あんなに騒がしかったのに今はもぬけの殻って奴か」
クリスタルドラゴン討伐の際は冒険者やギルドが入り浸っていたこのクバル村も討伐が終われば誰もいないゴーストタウンと戻っていた。
クロエやオリバル、キールが魔物を討伐し結界魔法が張られ魔物が入らないとしてもここの復旧にはもう少し時間がかかるだろう。
「まさかまたここに戻ることになるとはねぇ」
白い神父服のフードを被っている男は教会のドアを開ける。
「流石にクロ達はいないか」
そう、神の使徒ルコサだ。
「おや?」
教会には崩れた天井そしてもう一つ____
「誰かが先に気付いた?」
教会の銅像の場所が移動して下への階段が出現していた。
「おかしいな、神が言うにはここには……」
おかしいと思いつつも躊躇なく地下への階段を踏み出すルコサ。
そしてたどり着いた先には____
「魔王が居る……って話だったんだけど」
そこには何も吊るされてない十字架があっただけだった。
「うーーん、ま、仕事がないならいっか」
ルコサはゆっくりと面倒くさそうに部屋を出ていく。
「それにしても黄金のランスに光りの盾、それに魔眼か......本当に物語は始まったんだなぁ」
ルコサは一人呟き、闇の中へと消えていくのであった。