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第159話 お母さん生活の始まり!

「……え?」


なんだこれは。お母さんだと?いやいやいや、嘘だろ。俺に隠し子がいるとか、そんなわけ――いや、ちょっと待て。


確かに、俺はたまに記憶を飛ばすことがある。そんでもって、コールドスリープで何十年も寝てた経験だってある。だが!


いまだに俺の処女は健全そのものなんだぞ!!


「おかぁさん……?」


じいさんの後ろでおびえてたユキちゃんが、その言葉に反応してもう一度俺をじっと見つめてきた。その視線の先にあるのは、困惑顔の俺。


――ん?なんだその顔。泣きそうじゃないか?


「あ、ちょっと待っ――」


「おかぁさん!おかぁさん!!」


「わっ!?」


叫ぶや否や、ユキちゃんが泣きながら俺に向かって飛び込んできた。

小さいとはいえ、助走をつけた全力のダイブはかなりの衝撃だ。が、俺には頼れる味方がいた――そう、俺の無駄にでかい胸だ。


プニッ。


そのおかげで、衝撃が和らいで助かったものの、事態はさらにカオスに。


「おかぁさん……おかぁさん……」


ユキちゃんは涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら、俺の服をぎゅっと掴み、全力で抱きついてきた。その小さな手から伝わる力は、明らかに「もうどこにも行かないで」と言っている。


――いやいやいや、俺、本当にお母さんじゃないからな!?


混乱する俺に目で訴えかけると、じいさんは黙って深く頷いた。


――なるほど……いや、ならねえよ!?何が「そういうこと」だよ!?


しかし、ユキちゃんの泣き顔を見ると、それ以上何も言えなかった。ため息をついて、俺は彼女の頭を優しく撫でた。


「ただいま、ユキちゃん。」


「うん!」


その瞬間、ユキちゃんの顔がぱっと輝き、涙を流しながら笑顔になった。そのまま飛び跳ねながら喜ぶ彼女を見て、なんだかよく分からないけど、とりあえず「俺、頑張るしかないのか……」と腹をくくるしかなかった。


「おかぁさん!おかぁさん!」


「フフッ。でもね、今日は寝ないと、明日一緒に遊べる時間が減っちゃうよ?」


「やーだ!離れたくないぃ~!」


「後で一緒に寝てあげるから、ね?」


「ほんとー?」


「うん♪」


「わかったー!すぐきてね!おかぁさん!」


元気よく部屋のふすまに向かったユキちゃんは、勢い余って**バンッ!**と閉めた。怒っているわけではなく、ただ嬉しすぎて力が入りすぎただけだろう。


そして再び、じいさんと俺の二人きりになる。


「もう分かっただろう?」


「……はい。」


「やってもらうのは、家事、料理、そしてそれを貫き通すことじゃ。分かったな?」


「はい。」


――つまり、俺は今日からユキちゃんのお母さん役を全力で演じろと。そしてそれを誰にもバレないようにするのが、俺に課せられた奴隷としての仕事だというわけか。


「他に聞くことはあるか?」


ならば、まずやるべきことは一つだ。俺は意を決して口を開いた。


「一つ、頼みたいことがあります。」


「なんじゃ?」


「ユキちゃんの1日を教えてください。」


このアオイ先生、やるときはやるんだぞ!

お母さん業だって、全力でやってやる!!


頑張るぞー!!

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