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第186話 アオイの失踪後!

 《アオイがユキちゃんと居なくなってから数日後》




 「ほぅ?」


 シルクハットを被った奴隷商人の幹部は、期限が来たためお金を受け取りに来たのだが――




 「どうやら、何か厄介ごとの様ですね」




 家の前にある老人の死体。

 死後から数日経っているため、腐敗臭が凄まじい。




 「エス、警戒をしといてください」




 そう言うと、幹部の後ろに漆黒の騎士が降り立つ。




 「……」




 「奴隷マスターの反応の場所を見るに、どうやらこの老人は契約を移した様ですね。家の中から反応があります」




 「殺して奪ったのか?」




 「いえ、奴隷の契約は例え相手が死んでいたとしても有効です。

 殺したところで私たちが解除しない限り『呪い』により、無意識に死体まで帰って来てしまうでしょう」




 「そうか」




 幹部は家のドアの前まで来る。




 「っ__」




 まだ開けていないのに、先程とは比べ物にならない程の凄まじい腐敗臭が鼻に直撃する。




 「……」




 家のドアを開けると、まるでここで解体ショーでもしたのかというほどの血が飛び散っており、

 床には臭いの原因である肉が綺麗に並べられていた。




 「職業柄、死体には慣れておりますが、ここまで必要以上の殺人は初めて見ましたね」




 「……ひどいな」




 「私でもそう思います」




 そして2人は、壁の文字に注目する。




 「『貸し一つ』ですか。なんのことでしょうね」




 「……」




 「しかし、普通なら帰って来ているはず。隠れてる様子もない様ですし、もしかして『あの方』の判断ですかね」




 「……」




 「となれば、一度アジトに帰り、確認した方がいいでしょう」




 「そうだな」




 2人は中に入らずドアを閉め、戻ろうとした時――




 「下がれ」




 「? どうしました?」




 エスが幹部の前に立つ。






 そして、森の奥の方から“とある冒険者パーティー”がやってきた。




 「ここだよっ、“リュウト”っ! 『女神』の反応があった場所っ!」




 「あーたんも感じた感じた!」




 「こんな山奥に家なんて、誰が建てたのよ」




 「待て、お前達……どうやら、とんでもない奴も嗅ぎつけて来てたみたいだ」




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