《アバレー王国 “世界樹本部”》
アバレー王国の中心にある【世界樹ウッド】
その中は入り乱れ、侵入したとしてもルートを知らなければ決して王の部屋に辿りつけない。
「お母様、今日の夜ですわね」
世界樹“王の間”にはこの国の女王である『愛染の女王』とその娘『愛染の姫』が居た。
彼女達は自分の艶やかで美しい赤い髪と同じ色の立派な着物を着ている。
「そうじゃのぅ、王国会議以外で王が集まるのはこの時くらいじゃ……もっとも、王国会議で集まるのが王だけとは限らぬが」
「?」
「気にするでない、確か今回の場所はミクラル城だったのぅ」
「あそこの国は相変わらず何もかも受け入れますね」
「それ故に、あそこは隙を見せぬ、そして美しい城と美しい町は人を寄せ集める……我がアバレー王国の獣人達も観光でミクラルへ行く者も多い」
「もしもいきなり攻めよう物なら人質を取られる、それを無視しよう物なら少なからず我が国で暴動が起きる可能性がありますね」
「うむ、敵の城というのはどれも一筋縄ではいかぬな」
「まるで戦争を考えているみたいな発言ですね」
「ふっ……」
「ところでお母様____」
姫が何かを言おうとしたタイミングで突然ドアが開かれ、慌てて獣人兵士が入ってきた。
「大変です!『山亀』が目覚めました!」