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第209話 リュウトパーティーと合流!

 「リュウトさん!?」




 「ガァアア……ッ!」




 牙をむき出しにし、明らかにこちらを威嚇している。

 だが、まだ――わずかに理性は残っているのか、攻撃はしてこない。




 「……どうなってるんだ?」




 「わかりません! 私がこの国に来るまでは、こんなこと一度も……!」




 リュウトの背後から、人の気配が近づいてくる。

 おそらく彼のパーティーメンバーだ――ならば。




 「私たちで、勇者リュウトを食い止める!」




 「は、はい!」




 こちらが構えた瞬間、リュウトの動きが変わった。

 気配を察知したように、地を蹴り、一瞬で距離を詰めてくる。




 「ガァアアッ!!」




 「フンッ!」




 空中で一回転し、勢いを乗せた拳が飛んでくる。

 キールは咄嗟に盾を構え、それを正面から受け止めた。




 ――ゴンッ!!




 「……くっ!? なんて力だ……!」




 普通の拳とは思えない。

 魔力強化なしで、ここまでの破壊力――もはや人の域ではない。




 衝撃で足がズリ込む。

 受け止めた側が押し返されている。


  「リュウトさん!」




 「ガ、ァアア!」




 その隙を突いて、アカネがリュウトの腕にしがみついた。




 「リュウトさん! どうしたんですか!? これは一体……!」




 「ガァァア!!」




 「きゃっ――!」




 リュウトが腕を大きく振り払った瞬間、

 アカネの身体は空中へと投げ出され、そのまま拳が直撃する。




 「アカネさん!」




 咄嗟に飛び込み、吹き飛ばされたアカネの身体をキールが受け止めた。




 「大丈夫か!?」




 「……は、はい……っ!」




 アカネは震える手で懐から魔皮紙を取り出し、自分に貼る。

 それは、以前キールから預かっていた治癒魔皮紙だった。




 光が彼女の傷をゆっくりと癒していく。


  「ガァァァァァアッ!!」




 「来い……!」




 私はリュウトの攻撃を誘導するように前へ出て、構えた盾で次々と打撃を受け止めていく。




 「ガァァッ! ガ、ガァァァアアラァァァ!!」




 その咆哮とともに、リュウトの動きが一変する。




 「……!? これは――」




 彼は急に拳を止め、腕を大きく広げた。

 すると、身体を包む鎧の一部が変形を始め――




 「な……!」




 両腕に生えたのは、まるで魔物のような鋭い五本爪。

 そのまま振りかぶって、斬りかかってくる。




 「くっ……まるで、本物の魔物だ!」




 防ぐたびに、盾の表面がきしむ。

 振るわれる爪の重さも鋭さも、人間のそれではない。




 ――そのとき、奥の林から人影が現れた。




 「……!」




 白い髪に紅い瞳の少女。あの時、リュウトと共にいた――『みや』!




 「!? アカネっ……!」




 「みやさん!? これは一体どういうことなんですか!」



 みやが説明しようとするが後ろから来た子供に遮られる。


 「あのねあのね!ご主人様がガーってなってバー!って!」


 「あんたは黙ってなさい!」


 「いてっ、アンナひどーい!」


 「アカネ聞いてっ」


 「聞いてます!」


 「今リュウトは“魔物化”が進んじゃってるのっ!

 隙を見て取り押さえて! そしたら――私がなんとかするからっ!」




 「ざっくりすぎますが……了解です! 取り押さえるだけなら、やれます! キールさん!」




 「了解した!」




 リュウトが腕を振り上げた瞬間、私は片手剣を抜いて、その爪を弾いた。




 「ガッ……!?」




 「そこだ!」




 爪を弾かれ、リュウトの体勢がわずかに崩れる。

 その瞬間、私は全体重をかけて盾をリュウトの顔面へぶつけた。




 「グァッ!」




 顔面に直撃した衝撃で、リュウトの身体が後方へ傾く!




 「今です!」




 「さすがです! よいしょっ!」




 「ガァァッ!」




 いつの間にか背後へ回っていたアカネが、

 渾身の力でリュウトの腕を固め、背後から羽交い締めにする。




 「みやさん、今です!」




 「――とりゃっ!」




 みやは合図と同時に、リュウトの胸元めがけて何かを投げつけた。

 銀色の筒がリュウトの鎧の隙間に突き刺さる。




 (……これは、魔注射を改造した何かか?)




 刺さった瞬間、内部の薬液が自動的に注入されていく。


 「っ!?、ガ、ぁ……ァ……オ……イ.……」


 するとリュウトは気を失って倒れた。


 「これで少しの間大丈夫だよっ」


 「ご主人様すやすや~!」


 「アカネ、大丈夫?そ、その方は?」


 1番歳上の女の方が私の事をアカネに聞く。

 ……?

 何故か私を見て顔を赤らめる。


 「この方はグリードの代表騎士のキールさんです」


 「みやさん以外は初めましてですね、私はグリード代表騎士、キールと申します」


 「グリード代表!?えぇ!?あ、えと、私はアンナと申しますわ騎士様」


 「はい、よろしくお願いします」


 「アンナっ、今は良いからリュウトを運ぶの手伝ってっ」


 「良いとこなのに……しょうがないわね……」


 「それとアカネっ、おかえりっ。」


 「は、はい、みやさん、ただいま」


 「さっそくで悪いけどっ、そっちで何があったか教えてっ?」


 「はい、解りました!」







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