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第237話 山亀を倒す最終手段!

 {キールさん、準備は整いましたか?}




 世界樹の真下。

 その先、わずか数百メートルの距離に――山亀はいた。




 その最前線に並ぶのは、キール率いる人間パーティー。

 リュウトが合流し、今――全員が“完全体”になった。




 「……あぁ、こっちは準備万端だ」




 {そうですか……では――}




 「……その前に、ひとつだけ、ユキくん」




 {えっ?なんですか?}




 「この討伐が終わったら――一緒に飲もう。

  私はそんなに強くないが……君は、強いだろ?」



 思い出すのは《スロー村》の居酒屋。



 {……! 覚えててくれたんですか!?私のこと――!}




 「ふっ……物覚えはいい方だからな」




 {絶対ですからね!!

  生きて、みんなで――祝杯をあげましょう!!}




 「あぁ。……楽しみにしてる」




 通信が切れる。




 「……あーあ。ルコさんも来ればよかったのにのぉ」




 「まぁ、そう言うな。私たちがここに集まったのも、偶然が重なっただけだ」




 「それが“運命”なら、ルコも来るべきだったと思うけどね……」




 「それは……無理があるだろ」




 クロエとオリバルは、ここにいない“仲間”のことを少しだけぼやいた。

 だが――




 「……しかし。確かにここまで揃うと……ルコサも欲しい、ってのが本音だ」




 その言葉に、誰も返さなかった。




 3人の視線が――山亀へと向かう。




 もう間もなく、“射程圏内”に入る。

 合図は、あと数秒のはず……。






 3




 2




 1






 ――来た。






 「行くぞ!! 最後まで魔力を込めろ!!」




 「任せろ!てめーらこそ足ひっぱんなよ!!」




 「これに足引っ張るって……どうすんだよ……」




 何万というアバレーの騎士たちと、キールたち人間パーティーが――


 一斉に地面へ手をつけ、魔力を流し込む!






 「「「「――【土塔】!!」」」」






 轟音とともに――


 大地が盛り上がった!




 山そのものの巨体を持つ“山亀”が――

 そのまま、ぐらりと傾き――




 持ち上がった――!!


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