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第4章 学園編

第251話 買い物前のウキウキ!


 「おーい、そろそろ行くのじゃー!」


 「はーい、少しお待ちを~!」


 下の玄関から聞こえるルカの催促に返事しながら、バタバタと準備を続ける。


 ……だって今日は、ついに――


 魔法学校!!


 聞くだけでテンションが爆上がり!

 テンション上がりすぎて、昨夜は全然眠れなかったもんね!


 思い返せば……最初は、そう。

 魔法学校に入って、魔法を習って、仲間と冒険して――みたいな王道ファンタジー生活を夢見てたのに……


 いざ異世界に来てみたら、奴隷で、泥水すすってたわけで。


 でも!


 でも!!!


 どういうわけか巡りめぐって――

 俺、異世界の魔法学校に入学します!!


 「よーし!」


 勢いよく叫んで、家の中をあさりまくって両手いっぱいの袋を抱え、玄関へダッシュ!


  「何をしておるのじゃ」


 「え? 買い物だからいっぱい買うだろうなって」


 「はぁ……そんなもの、いらないのじゃ」


 「?」


 「これを使うのじゃ」


 ルカはそう言って、袖の中から何かを取り出す。

 それは、少し折り畳まれた――魔皮紙。


 「これは?」


 「これは【転送魔皮紙】じゃ。買ったものをこの上に置くと、家の倉庫に転送されるのじゃ。……常識なのじゃが」


 「ほぇ〜」


 そういや、そんなのがあったような……なかったような?

 なんか買い物って言うと、荷物を持たされて文句言ってるイメージしかないんだよなぁ。


 「ワシより……人間生活、長いじゃろうに……」


 「?」


 最後の一言は、ゴニョゴニョとしか聞こえなかった。


 あ、そういえば――


 「ここって、どこの国なの?」


 確かこの世界には、グリード、ミクラル、アバレーの3つの国しかなかったはず。


 「ここかの? えーっと……ここは確か、ミクラル王国の末端――モルノ町なのじゃ」


 「おおおおおおおお!!!」


 「な、なんなのじゃ!? 急に!」


 「いや! べ、別にっ!」


 ミクラル……ミクラル王国!

 ってことは、もしかして……みんなに会える可能性あるんじゃない!?

 確か、ユキちゃんもみんなの所に居るはずだし!


 ……う、でも……今の俺、そこまで強くなってないし。

 あのとき、あんな言い方して別れちゃったし……今は仕事優先しとこう。

 会いたいけど――会いたいけど……!


 「まぁ良いのじゃ。ほれ、そんなものは置いて、もう行くのじゃ!」


 「はーい!」




 ――こうして、朝から俺たちは、

 明日に備えるためにモルノ町の市場へと向かった。




 楽しみ!!

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