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第270話 《騎馬戦》会議

「それではまず、《騎馬戦》なんですが……」


そう言った瞬間、教室内の空気がビリッと変わった。


何この緊張感……!? 視線が、殺気じみてるんだけど!?


「チームを決めたいと思います」


そして、地獄の蓋が開いた。


「「「チームはどうする!!」」」


えっ!? ちょ、なに!? なにこの一斉射!!?

……全員、俺を見てる。


怖すぎるんですけど!?


「え!? あ、えーっと……どうしましょう? 何か案は……?」


ルカが挙手。助かった!


「殴り合って決めるのじゃ」


「却下ぁ!!」


「のじゃぁ!? なぜ! 全員叩き潰して決めれば良いのじゃ!!」


だから誰の影響受けてんの!? この子、脳筋過ぎない!?


「他に案は……」


「はいでござる」


「どうぞー!」


「全員の“希望の人”を書いて投票するのはどうでござるか?」


なるほど! いい案! 民主主義ばんざい!


「それでは、魔皮紙に希望の人を書いて、私に送ってくださーい」


* * *


 ~集計中~


アオイ

アオイ

アオイ

アオイ

ルカ

アオイ

アオイ

アオイ

ルカ

アオイ

アオイ

アオイ

アオイ


…………


いや多すぎるだろ!!!


ちょ、なんで俺だけほぼ単独票!?!? 誰一人パーティー内で組もうとしないの!?


「えー……僕が15票、ルカが3票です」


騒然。


そして巻き起こる、アオイを取り合う戦!


「俺の右肩はアオイちゃんの太もものためにあるんだ!!」


「いや俺の左肩も空いてるぞ!!アオイの太ももを挟むのはこの俺だ!!」


「マッスルの俺がアオイちゃんを乗せるべき!太ももの重みを受け止められるのは筋肉だけだろうが!!」


「フッ、俺はルカに入れた」


「な!?貴様裏切ったな!?俺達マッスルはアオイちゃんマッスルだって誓っただろうが!!」


「フハハハ!全てはこの日のブラフさ!俺の脳は筋肉!つまり全身が脳なのだ!貴様達のマッスルとは格が違い考えるマッスルなのだよ!」


「貴様ァァァア!!!!!」


「筋肉に頼ってばかりではそうなるでござる、やはりここは我らがアオイ殿を背負って機動力をあげるでござる!」


「リーダー!鼻血がでてるでござるよ!」


「おっと失礼、なんせあのアオイ殿の太ももを____」


「「「「ぶひゃ!」」」」


「のじゃ!?全員鼻血で倒れたのじゃ!?というかワシが3票ってどういうことじゃー!!もっと評価されていいのじゃー!!」


「ストロングウーマンはアオイちゃんの尊厳を守る!あと足フェチの矜持も!!」


「ごめん、私……ルカちゃんに入れた。だって……ちょっと“抱かれたい感”ある……」


「はぁ!?!?!?」


「それなー。なんかルカちゃん、男前だし、下から見上げられたい」


「え、でも私、アオイちゃんの太ももに顔埋めたい」


「わかるううぅ!!!!!」


もう収拾がつかない!

思春期と変態とフェチと好戦的な人格が教室内で乱舞してる!

やばい! このままじゃ――崩壊するッ!!


「みんな落ち着いてぇぇえええ!!」


でも、もう誰も俺を見てない!

喧嘩、議論、鼻血、発情。すべてが混ざってカオス!!


――あぁ、もうこうなったら……あれを使うしかない。


使いたくない、絶対使いたくない……でも!


「みんな……落ち着いて!!」


その瞬間――俺の身体が、勝手に動き出した。


右手はピースサインを作って、目元にスチャッ。

左手は腰に当て、

片足はステップを踏み――

顔はキラリと斜め45度!


「や、やめるのじゃアオイィィィィ!!」


ルカの叫びも届かない!


 「――『魅了』」



 その言葉をウィンクしながら唱えた。


 「「「「……」」」」


 ――成功、したみたい。

 教室中の視線が、全部、あたしに向いてる。

 うぅ……やっぱこの魔法、恥ずかしすぎ……死ぬ、恥ずか死する!




 「と、とりあえず……席に座って? みんなで、仲良く考えよっ?」




 ……おぉ、ちゃんと座ってくれる。

 えらい、みんな……ん? なんで男子全員、自分の股間おさえてるの?

 え?女子も股間押さえてる?なんで?


 え、なんで息づかい荒いの? こわ……




 ルカは、というと――「やってしまった……」って顔してた。




 「え、えっと、とりあえずチーム分けはくじで決めますっ! このままだと拉致があかないのでっ!!」




 その後、くじで五騎のチームが決まり、

 騎馬戦の布陣についての作戦会議を行い、どうにか作戦会議は終了――。




 ふぅ……

 でも、これで終わりじゃない。

 次は――他のクラスとの競技の話だ。




 ……うん、これは、まだまだ長くなりそう。



________



____


ミクラル王国

――オシャレと芸術の都


ミクラル王国は、装飾文化と芸術の発展を誇る国家であり、「美」を重んじる国民性で知られています。王都ミクラルを中心に、街には装飾品店、美術館、劇場などが多く立ち並び、その華やかな街並みは多くの観光客を魅了しています。


観光地としても名高く、アバレーやグリードの住人も休暇を利用して訪れることが多いです。王国各地には名所や歴史的建造物が点在しており、年中を通して観光業が盛んです。


また、食文化も豊かで、他国では手に入らない珍しい食材や料理が数多く存在します。特に果実を使ったスイーツや、香り高い香辛料料理などが有名です。


防具においても高級志向が強く、ミクラル製の装備品は「見た目の美しさ」と「品質の高さ」を兼ね備えたものとして知られ、貴族や上級騎士を中心に人気があります。ただし、一般向けにはやや高価であり、入手には相応の財力が求められます。



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