長かった体育祭も終わりを迎え。
片付けやらなんやらをしてたらもう夕暮れ時の帰り道......
「体育祭、おわったねー」
「楽しかったのじゃ」
「そう.....楽しかったよね」
体育祭を楽しいなんて感じたことなかったなぁ。
これも大人になってもう一度人生やり直してる様な感覚だからなのかな?
学生の頃、体育祭なんてダルくて仕方ない行事だったな......
中学生2年の時は不登校だったから参加してないけど、それを差し引いても体育祭はめんどくさかったなぁ。
だけど、大人になって想い出になっちゃうと面白かったってなってるのが大人マジックだよね......ここはマジックの世界だけど!
「む?あれは、すひまるのじゃ?」
「あ、ほんとだ」
坂を降りて市場に入る付近にすひまるさんが立っていた。
すひまるさんは俺達に気付くとトコトコと走ってきて
「あ、あの。今日はありがとうございました」
「「?」」
俺もルカもお礼を言われる身に覚えがない。
「そ、その......こんなノロマな私なんかを助けていただき......」
助けていただき?......あぁもしかして!アレのことか!
「かしこまらないで?助けてなんかないよ?僕が言いたくていっただけ」
「じゃ、じゃぁ......なんで言いたくなったんですか?私は......その......あんまりアオイさんと話したこともないし......」
なんで言いたくなったか?うーん......昔、女にいじめられてる時の自分と似てたなんて言ったら失礼だろうし......そうだなぁ
「僕が言いたかったらから言った。あの時に動かなかったらきっと後で後悔するから......かな?」
「そ、そうですか」
「うん!すひまるさんも言わなかったりしたら絶対に後で後悔することがあるから......がんばってね?」
「あるから」の後が思い付かなかったのでとりあえず頑張れという言葉をチョイス!
「が......がんばります......」
「うん!じゃぁまた明日ね?」
「は、はい」
すひまるさんはそれを聞くといつも通りそそくさと帰っていった。
「見た?ルカ!すひまるさんとめっちゃ話した!」
「うむ、良かったの?お主はそれを気にしておったのじゃから」
「これで少し距離縮まったよー!そう言えば」
「そう言えばのじゃ?」
「すひまるさんって八重歯が長いの初めて知ったな♪」
「なんじゃそりゃそりゃなのじゃ」
こうしてご機嫌になった俺は体育祭のお疲れの意味も込めて夜は豪華に腕を振るった。