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第504話 先頭パーティー

 山亀が飛んだ直後――すぐさまリュウトパーティーが先陣を切って飛び出した。


 「流石ヒロユキだな、こんな作戦を思いつくなんて!」


 海に呑まれていく魔族の兵士や魔物たち。

 混乱のど真ん中へ、彼らは真っ先に突っ込んでいく。


 「それでもここからです。何があるか分かりません、油断せずに行きましょう」


 「任せろ。そのために最高戦力の俺が居る」


 リュウトはレイピアを抜き、敵陣へと突っ込む。


 「行くぞ! 覚悟しろ!」


 その声に反応し、周囲の敵が一斉に襲いかかる。


 「【サイクロンストライク】!」


 レイピアが風を纏い、突き出した瞬間――巨大な竜巻が一直線に走り、敵を巻き込み薙ぎ払った。


 「【稲妻ハンマーダウン】!」


 アカネが巨大ハンマーを頭上まで振りかぶる。

 瞬間、槌全体に稲妻が走り、バチバチと空気を裂く音が響いた。


 振り下ろされた一撃が地面を叩く――


 ズドォォンッ!


 爆発するような閃光と衝撃波。

 雷は地面を這い回り、鎖のように絡み合って周囲の敵を一斉に貫く。


 「あーたーん、きーーっく、ぱーーんち! そのたもろもろ!」


 人間形態でチャイナドレス姿のあーたんは連続で突っ込んでくる敵たちを、拳、蹴り、肘打ち、さらにはカポエラの回転蹴りを織り交ぜ、まるで舞うように次々と薙ぎ倒していく。


 「みや! 時間は稼いだぞ!」


 視線の先――月を背に、風魔法を纏い空中に浮かぶみやが魔眼を輝かせていた。


 「『分析』完了。対象の殲滅を開始するっ!」


 次の瞬間、みやの周囲に細く小さな針が――千、二千……否、数千万本生成され、音もなく放たれていく。


 「!」


 「ぐっ!」


 「ガッ……!」


 魔族も魔物も、突如襲いかかった【死】の正体を理解する暇もなく、短い悲鳴を残して崩れ落ちた。


 みやは『分析』で敵の体質を割り出し、それぞれに最適な猛毒を瞬時に針へと生成、打ち込んだのだ。


 「いいぞ、みや。後は分析した情報を――」


 「うんっ! ホワイト団のみんなに送るねっ」


 「あぁ! 行くぞ、道は俺たちが切り開く!」


 「はい!」


 「はーい!」


 「うん!」


 リュウトたちは倒れ伏す敵の死体を後にし、迷いなく前線を突き進んでいった。

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