リアナがエリザベート派閥の裏切り者を暴露して以降、宮廷内の空気は一変した。これまで「無能な王女」として軽んじられていたリアナが、的確に証拠を突きつけてエリザベートの信頼を揺るがしたことで、周囲の注目を集めるようになった。しかし、エリザベートとマルグリットはこれで引き下がるような人物ではない。彼女たちはさらに巧妙な策略を巡らせ、リアナを陥れる新たな計画を進めていた。
---
新たな陰謀
エリザベートとマルグリットは密かに再び会合を開き、今度こそリアナを完全に失脚させるための策を練っていた。彼女たちは裏切り者たちの失態を受けて、より慎重に計画を進める必要があると判断していた。
「リアナがこれほど手強いとは思わなかったわ。まさか証拠を掴むとは……。」
エリザベートは苛立ちを隠せない様子でテーブルを叩いた。
「姉様、落ち着いてください。」
マルグリットは穏やかな表情でエリザベートをなだめた。
「リアナがどれだけ賢かろうと、私たちには王宮内の大多数の支持があるのです。それを活用すれば、彼女を追い詰めることは十分可能です。」
エリザベートはしばらく考え込んだ後、深く息を吐いて頷いた。
「確かに……。では、彼女を『反逆者』として仕立て上げる方向で進めましょう。」
二人はこれまで以上に周到な計画を立て、リアナを追い詰めるために動き出した。
---
リアナの洞察
その頃、リアナは宮廷内の動きを警戒しながら、さらに証拠を集める準備を進めていた。エリザベートとマルグリットが新たな計画を進めていることを察知し、彼女は密偵のオスカーと侍女セシリアを通じて情報を収集していた。
「セシリア、姉様たちが動き始めましたね。どうやら今回は『反逆者』として私を裁判にかけるつもりのようです。」
リアナは冷静に分析しながら、次の手を考えていた。
「リアナ様、それではこちらも証拠を集めて対抗策を講じる必要があります。」
セシリアの言葉に、リアナは微笑みを浮かべた。
「ええ、その通りです。ですが、今回はそれだけでは不十分です。彼女たちの計画を逆手に取り、彼女たち自身を失脚させるための策を講じます。」
リアナはエリザベートとマルグリットが用意する捏造された証拠を逆手に取るつもりだった。そのため、彼女はオスカーに密偵としてさらに深く姉たちの動向を探るよう命じた。
---
公開裁判の準備
数日後、エリザベートとマルグリットはリアナを公開裁判にかけるための準備を進めていた。彼女たちは王宮内の一部の貴族や高官を味方につけ、リアナを「反逆者」として裁くための証拠を捏造した。
「これでリアナを失脚させることができれば、私たちの勝利は確実です。」
エリザベートは自信満々に言い放ち、貴族たちに手配を命じた。
一方で、マルグリットは民衆の支持を得るために噂を流す手筈を整えていた。彼女はリアナが王国の資源を私的に流用しているという偽りの話を広め、人々の不信感を煽ろうとしていた。
---
リアナの反撃準備
リアナはこれらの動きを全て把握していた。彼女はオスカーを通じて捏造された証拠の存在を突き止め、その証拠を裏付ける矛盾点を徹底的に洗い出した。そして、彼女はこの裁判を逆転のチャンスとして利用する決意を固めた。
「彼女たちの計画を崩すには、裁判の場が最適です。」
リアナはセシリアにそう告げ、周到に準備を進めた。
「ですが、リアナ様。本当に大丈夫でしょうか?もし失敗すれば……。」
セシリアは不安そうな表情を浮かべたが、リアナは穏やかな笑みを浮かべて彼女を安心させた。
「大丈夫です。彼女たちがどれほど巧妙な策を練っていても、真実は消せません。それに、私はこれまで影で動いてきた経験があります。それを最大限に活かします。」
---
公開裁判の日
裁判当日、宮廷の大広間には王宮内の高官や貴族たちが集まっていた。エリザベートとマルグリットは堂々とした態度でリアナに対する告発を開始した。
「リアナ殿下は、父王を裏切り、他国と結託して王国を危険に晒そうとしています。この証拠をご覧ください。」
エリザベートは捏造された証拠を提示し、リアナを追い詰めようとした。
しかし、リアナは冷静に立ち上がり、証拠をじっくりと確認した後、静かに口を開いた。
「姉様、その証拠にはいくつかの疑問点がございます。」
リアナは証拠の矛盾点を一つずつ指摘し始めた。その説明は理路整然としており、会場内の人々を圧倒した。
さらに、リアナはオスカーが集めた情報を基に、姉たちの捏造工作を暴露した。
「これが、姉様方が用意した証拠を裏付ける矛盾を示すものです。そして、これが捏造の証拠となる資料です。」
リアナが提示した証拠により、エリザベートとマルグリットの計画は完全に破綻した。
---
裁判の結果
裁判はリアナの圧勝に終わった。エリザベートとマルグリットの信頼は大きく失墜し、彼女たちの派閥も分裂状態に陥った。一方で、リアナはその冷静な対応と的確な証拠の提示により、宮廷内での評価を大きく高めた。
裁判後、リアナは一人静かに自室に戻り、窓の外を見つめた。
「これで終わりではない。姉様たちは必ず次の手を考えるだろう。それに備えなければ……。」
リアナはそうつぶやき、次なる戦いに向けて新たな計画を練り始めた。
リアナの戦いは、まだ始まったばかりだった。