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3-1裁判の開始



リアナが裁判でエリザベートとマルグリットの陰謀を暴露し、その派閥を分裂させたものの、宮廷内の緊張は依然として高まっていた。裁判の場はリアナが本格的に表舞台へと立つことを意味しており、これまで影の存在として動いてきた彼女にとっても新たな挑戦だった。エリザベートとマルグリットは失敗を挽回すべく、最後の抵抗に出る計画を進めていた。



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裁判の場に立つリアナ

王宮の広間は、裁判の場として設えられ、多くの高官や貴族がその行方を見守るために集まっていた。父王も特別に出席し、裁判の公正さを保つために見守っている。リアナは裁判の主役として静かに席についていたが、その表情には緊張の色は見えなかった。


「さて、これから始まるのは王国の正義を守るための審議です。」

父王の代わりに裁判を仕切る宰相が声を上げた。その声が広間に響き渡り、空気が一気に引き締まる。


「リアナ殿下が提示した証拠は、エリザベート殿下とマルグリット殿下が宮廷内で不正を行い、王国の安定を脅かしていることを示すものでした。しかし、エリザベート殿下とマルグリット殿下は、それが捏造されたものであると主張しています。」

宰相の言葉に続き、広間内にはざわめきが広がる。


「これからお二人の反論をお聞きし、真実を明らかにします。」



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エリザベートの反論

エリザベートは立ち上がり、冷静を装いながらも鋭い目つきでリアナを見据えた。


「私は、この場で明言します。リアナが提示した証拠は全て虚偽であり、彼女が私を陥れるために用意したものです。」

彼女の声には自信がこもっており、一部の貴族たちは頷きながらその言葉に賛同しているようだった。


「私が王国の安定を損ねるような行為をする理由などありません。むしろ、リアナが不正な手段で権力を得ようとしているのです。」

エリザベートの反論は巧妙で、周囲の人々にリアナへの疑念を抱かせる狙いがあった。


しかし、リアナは微動だにせず、ただ静かに彼女の発言を聞いていた。



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リアナの応酬

エリザベートの発言が終わると、リアナは立ち上がり、冷静な声で口を開いた。


「姉様、その主張は確かにご自身を守るためには理にかなっているように聞こえます。しかし、私はここに、姉様が主張する『虚偽の証拠』が真実であることを証明する追加の証拠を用意しております。」

リアナの言葉に、広間内のざわめきが再び広がる。


リアナは侍女セシリアから渡された書類を手に取り、それを高く掲げた。


「これは、私が提示した証拠が正当であることを裏付ける追加の資料です。そして、ここに記された内容は、エリザベート姉様が密かに結託していた一部の貴族たちの証言を含んでいます。」


その証拠は、エリザベート派閥に属していた貴族たちが裁判の直前にリアナ側についたことで得られたものだった。これにより、エリザベートの主張は大きく揺らぎ始めた。



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マルグリットの反応

マルグリットも負けじと立ち上がり、冷ややかな表情でリアナを見据えた。


「リアナ、そのような証言は信頼できるものではありません。彼らはただあなたの味方についた裏切り者です。」

彼女の言葉は鋭かったが、リアナは冷静なままだった。


「裏切り者かどうかは、この場で判断する必要はありません。ただし、彼らが証言した内容は事実に基づいており、それが姉様方の行動と一致していることを示す資料もあります。」

リアナはさらに詳細な証拠を提示し、貴族たちの証言内容を具体的に説明した。


「これにより、エリザベート姉様とマルグリット姉様が宮廷内で不正を行い、それが王国全体の安定を脅かす要因となったことが明確になります。」



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父王の反応

父王はこれまで沈黙を保っていたが、リアナの発言が終わったところで静かに口を開いた。


「リアナ、お前が提示した証拠は非常に説得力がある。だが、この場ではあくまで公平に判断を下さねばならない。」

父王の言葉にリアナは深く頭を下げた。


「もちろんです、父上。この裁判は王国の未来を左右するものです。私は真実を明らかにすることだけを願っています。」

リアナの真摯な態度に、多くの人々が感銘を受けたようだった。



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真実の明示

その後、裁判は数時間にわたり続けられたが、リアナが提示した証拠と証言の数々が決定打となった。エリザベートとマルグリットの主張は次第に説得力を失い、彼女たちの派閥に属していた貴族たちも次々と態度を変え始めた。


「リアナ殿下の言葉に嘘はない。これまで彼女を見誤っていた。」

そう述べる者が現れると、広間内の空気は完全にリアナへと傾いた。



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裁判の結末

最終的に、宰相は裁判の結論を父王に伝え、父王がそれを宣言した。


「エリザベート、マルグリット。お前たちの行いは、この裁判により明らかになった。これ以上王宮内での地位を保つことは許されない。」

父王の宣言により、エリザベートとマルグリットは宮廷から追放されることが決定した。


リアナはその場で深く頭を下げ、父王に感謝の意を示した。


「父上、このような場を設けていただき、ありがとうございます。私はこれからも王国のために尽力いたします。」



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リアナの勝利と新たな挑戦

裁判はリアナの完全勝利に終わり、彼女は名実ともに宮廷内での地位を確立した。しかし、この勝利はリアナにとって通過点に過ぎなかった。彼女の目指すものは、姉たちの失脚だけではなく、王国全体の平和と繁栄だった。


リアナは裁判後、自室に戻り、静かに次の計画を練り始めた。


「まだ終わりではない。王国の未来を守るために、これからも動き続けなければ。」

彼女の心には、新たな覚悟と希望が宿っていた。裁判の勝利は、リアナにとって真の戦いの始まりだった。



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