エリザベートとマルグリット派の残党による陰謀を完全に暴き、王国の安定を取り戻したリアナ。彼女の努力は宮廷内外で評価され、ついに多くの貴族たちから次期女王として推す声が高まった。しかし、リアナ自身はその状況に複雑な感情を抱いていた。次期女王という役割を果たすことで、自らの望む未来を手に入れるためにさらなる犠牲を払う必要があると感じていたからだ。
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貴族たちの支持
陰謀が鎮圧された翌日、宮廷内ではリアナを讃える声が広がっていた。父王の元には、主要な貴族たちが集まり、次期王位についての話し合いが行われていた。
「リアナ殿下はこれまでの功績で十分に次期女王にふさわしいことを証明されました。」
「エリザベート殿下とマルグリット殿下の影響力は失墜しました。これ以上、王国を混乱させる余地はありません。」
貴族たちは口々にリアナを推し、父王もまた静かに頷いていた。
「リアナの功績は確かに素晴らしいものだ。だが、彼女自身がどう思っているのかを確認しなければならない。」
父王はリアナを呼び出し、直接彼女の意志を尋ねることにした。
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父王との対話
その夜、リアナは父王の私室を訪れ、彼と向き合った。父王は疲れた表情を浮かべながらも、娘を温かく見つめていた。
「リアナ、お前がここまで王国のために尽力してくれたこと、心から感謝している。」
父王の言葉に、リアナは深く頭を下げた。
「ありがとうございます、父上。私はただ、この国を守るためにできることをしてきただけです。」
父王はしばらく黙っていたが、やがて静かに口を開いた。
「貴族たちがお前を次期女王に推していることは知っているだろう。お前自身はどう思う?」
リアナは少し考え込み、慎重に言葉を選びながら答えた。
「父上、私はこの国の未来を守るために全力を尽くしてきました。しかし、私が女王としてふさわしいかどうか、正直なところ自信がありません。」
父王は頷きながら、リアナの手を優しく握った。
「自信を持つことが重要ではない。お前がこの国を愛し、守りたいと思う気持ちがあるなら、それだけで十分だ。」
リアナはその言葉に励まされながらも、なおも迷いを抱えていた。
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セシリアとの会話
父王との対話を終えたリアナは、自室に戻り、侍女のセシリアに心の内を打ち明けた。セシリアはいつものように微笑みながら、静かに耳を傾けた。
「セシリア、私は本当にこの国の女王になれるのでしょうか……?」
リアナの声には不安がにじんでいた。
セシリアは少し考え込んだ後、真剣な表情で答えた。
「リアナ様、私はあなたが王国のために誰よりも多くの犠牲を払い、努力してきたことを知っています。あなた以上に女王にふさわしい方はいないと、心から思っています。」
リアナはその言葉に少しだけ心を軽くしながらも、まだ完全に納得することはできなかった。
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最後の試練
そんな中、リアナにとって最後の試練となる出来事が起きた。王国と同盟国との間での和平交渉が決裂の危機に瀕しているとの報告が届いたのだ。
「リアナ様、この交渉が失敗すれば、王国の安全保障が脅かされる可能性があります。」
オスカーの言葉に、リアナはすぐに行動を開始した。
彼女は直接同盟国の使節と対話を行い、これまで築いてきた信頼を活かして交渉を進めた。リアナの冷静な判断と説得力のある言葉により、同盟国との和平交渉は無事に成功を収めた。
「リアナ殿下、あなたの手腕に感服しました。これからも王国を導いてくださることを願っています。」
同盟国の使節がそう述べた時、リアナは自分が求められている役割を改めて実感した。
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次期女王としての決意
和平交渉の成功を機に、リアナはついに決断を下した。彼女は父王の元を訪れ、次期女王としての役割を引き受ける意志を伝えた。
「父上、私はまだ不安を抱えています。しかし、この国を守りたいという気持ちは揺るぎないものです。もし私がこの役目を果たすことで国が安定するのであれば、喜んでその責任を引き受けます。」
父王はその言葉に微笑み、深く頷いた。
「リアナ、お前なら必ずこの国を正しい方向に導いてくれると信じている。」
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新たな時代の幕開け
リアナが次期女王として正式に指名された後、王国は新たな時代の幕を開けた。彼女はこれまでの経験を活かし、民衆と貴族の橋渡し役となりながら、王国の発展と安定を目指していくことを決意した。
「私の役目はまだ始まったばかり。これからも、この国のために全力を尽くします。」
リアナの心には、揺るぎない決意と希望が宿っていた。
彼女が新たな女王として王国を導く未来は、困難に満ちたものであったとしても、その先には必ず光が待っている。リアナはそう信じ、力強く新たな一歩を踏み出したのだった。