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裏切られた令嬢、奇跡の力で運命を変える
裏切られた令嬢、奇跡の力で運命を変える
ゆる
異世界恋愛ロマファン
2025年05月11日
公開日
5.3万字
完結済
クラリスとヴィクターは、王国に潜む謎の結社と対峙し、国を混乱から救うために冒険に出る。結社の背後には、かつて強大な力を持っていた影の公爵が関わっており、その復活を目論む者たちが暗躍している。王国の未来が脅かされる中、二人は仲間と共に様々な試練を乗り越えながら、結社の陰謀を阻止しようとする。彼らは果たして、王国に平和をもたらすことができるのか――。

第1話 裏切りと転落

クラリス・ド・ロレンは、美しくも華やかな夜会の中心に立っていた。豪華なシャンデリアの光を浴び、彼女の長い金髪はまるで太陽の光を反射するように輝いていた。今日という日を、彼女はずっと心待ちにしていた。王太子レオン・ヴァン・エルクスとの婚約が正式に発表されるという、人生の中でも最も大切な瞬間になるはずだったからだ。


「クラリス、素晴らしい夜ね。この日が来るのをずっと待っていたわ。」親友のエリザベスが隣で微笑みながら言った。


クラリスはうなずき、幸福感に包まれた。「そうね、私たちの未来が輝かしいものになるわ。」


しかし、その瞬間、宮廷の奥から足音が響き、レオンが姿を現した。彼は王太子としての堂々たる風貌を持ち、誰もが見惚れるほどのカリスマを放っていた。しかし、クラリスはすぐに違和感を覚えた。いつもなら優しく微笑みかけるレオンが、今日は冷たい眼差しを向けていたのだ。


レオンはゆっくりとクラリスの前に立ち、人々の視線が二人に集中した。彼の口元がゆっくりと開かれ、その言葉がクラリスの心を凍りつかせた。


「クラリス・ド・ロレン、私との婚約を破棄する。」


静まり返ったホールで、時が止まったかのような静寂が広がった。クラリスは呆然とし、耳を疑った。自分が何を聞いたのか、信じることができなかった。


「……なぜ、ですか?」声を絞り出すように、彼女は震える声で問いかけた。


「お前が国家反逆の罪を犯したからだ。」レオンの冷酷な声が響き渡る。彼は人々の前で、無慈悲にクラリスを見下ろしていた。


「国家反逆……そんなはずがありません!」クラリスは必死に否定した。彼女は誰よりも忠誠心を持ち、王国の繁栄を願って生きてきた。裏切りなど考えたこともない。それなのに、どうしてこんな嘘が広められているのか、彼女には理解できなかった。


「証拠は揃っている。お前が敵国に機密情報を流したことは確実だ。お前はこの国の裏切り者だ。」レオンは断固として言い放った。


クラリスは震えが止まらなかった。目の前が真っ暗になり、足元が崩れるような感覚に襲われた。かつて信頼していた婚約者が、自分を陥れ、処刑しようとしている――それも、自らの名誉を守るための口実として。


「レオン様、どうして……どうしてこんなことを……」クラリスは涙を浮かべながら問いかけた。


しかし、彼はもう一度冷たく彼女を見つめるだけだった。「お前にはもう、言い訳の余地はない。処刑台に立て。」


その言葉に、クラリスは絶望した。宮廷の貴族たちも誰一人として彼女を助けようとはしない。皆が無言で彼女を見下ろし、まるでゴミを見るかのような冷たい視線を投げかけていた。彼女の友人であるはずのエリザベスも、冷たい微笑を浮かべたまま、何も言わずに彼女を見つめていた。


「エリザベス……あなたまで……」


「クラリス、あなたはあまりにも完璧すぎたのよ。誰もがあなたを羨んでいたわ。だから、あなたが失脚するのを待ち望んでいたのよ。」エリザベスは静かに告げ、さらに一歩クラリスに近づいた。「これでようやく、私がレオン様の隣に立つことができるの。」


クラリスはその言葉に完全に打ちのめされた。親友だと思っていた人に裏切られ、婚約者にまで捨てられた。彼女は何もかもを失い、この場で処刑される運命にあった。


数日後、クラリスは冷たい鉄の枷をはめられ、処刑台へと連行された。彼女の美しいドレスは泥まみれになり、かつての輝きは失われていた。処刑人が剣を構え、人々が彼女を嘲笑しながら見守る中、クラリスは最後の祈りを捧げた。


「どうか、この苦しみを終わらせてください……」


その瞬間、突如としてまばゆい光が彼女の周囲を包んだ。クラリスは驚きに目を見開いた。光の中から現れたのは、美しい女性の姿だった。彼女の長い銀髪が風に舞い、まるで天使のような存在だった。


「あなたは……誰?」


クラリスが恐る恐る問いかけると、その女性は優雅な微笑を浮かべ、優しく彼女に語りかけた。


「私は運命の女神、フローラ。あなたを救うためにここに来たの。」


クラリスは驚愕し、言葉を失った。「私を、救う……?」


「そうよ、クラリス。あなたにはまだやり残したことがある。あなたは裏切られ、無実の罪で処刑される運命にあったけれど、それで終わりではないわ。私はあなたに、運命を変える力を授けましょう。」


クラリスは信じられない気持ちで、フローラの言葉を聞いていた。運命を変える力――それが本当に手に入るのならば、自分はこの屈辱から抜け出すことができるのか。


「あなたが望むのならば、私は新たなチャンスを与えましょう。今度はあなた自身の力で、運命を切り開いていくのよ。」


光がますます強くなり、クラリスの身体がふわりと浮かび上がる。彼女の心には、希望と新たな決意が芽生えていた。


「私は……私の運命を取り戻す……!」


その言葉とともに、クラリスは新たな人生の第一歩を踏み出すことになった。彼女の復讐と成長の物語は、ここから始まるのだ。






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