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第17話 「パネットーネと月の可愛すぎる甘い復讐」 1 スタードール店長の訪問


雪の庭の開店


朝、いつものように「雪の庭」の前には常連客たちが集まっていた。


待ちわびたように顔を覗かせる客たちの前で、店のドアが開く。

そこに現れたのは、エプロン姿の月だった。


月:「雪の庭、開店です!」


満面の笑みで宣言する月の姿に、お客たちは安堵の表情を浮かべる。

開店の札が掲げられ、次々と客が店内へと入っていく。


クラリスとセリーヌがいつものようにテーブルへ案内し、オーダーを取り始める中、月は厨房に戻り準備を整える。


クラリス:「月様、今日のスイーツはパネットーネですね?」

月:「ええ、数量限定だから、早い者勝ちよ。」


弥生が厨房に入ってきて尋ねる。

弥生:「パネットーネって、そんなに珍しいスイーツなんですか?」

月:「ええ、とても手間がかかるし、普通の喫茶店ではまず出さないわね。でも今日は特別。お姉様の代わりに、この私が最高のものを提供するわ!」



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特別なスイーツ:パネットーネ


月は、熟成させるためねかせていたパネットーネを慎重に取り出し、一つ一つ丁寧に盛り付けを始める。

フルーツの香りとふわりとした生地の甘さが店内に広がり、客たちはその香りだけで満足そうな表情を浮かべる。


クラリス:「香りだけで幸せになりそう……。」

セリーヌ:「これが月様の力なのね。」


最初のパネットーネが運ばれたテーブルでは、常連客が一口食べて感激の声を上げる。

「ふわふわで甘くて、まるで夢みたいな味だ……!」


月は客たちの反応を見て満足そうに頷きながら、テーブルを回って感想を聞いて回る。



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スタードール店長の訪問


まだ開店して間もない「雪の庭」。常連客たちがスイーツを楽しむ中、スタードール店長のアルベルトが早々と店内に現れた。


アルベルト:「さっそく、本日のスイーツをいただこうか。」


店員たちは一瞬驚いたが、すぐに慣れた様子で対応する。

セリーヌ:「いらっしゃいませ、アルベルト様。本日はパネットーネをご用意しております。」


アルベルトは興味津々な表情を浮かべて席に着き、月に目を向けた。

アルベルト:「噂の妹店長が作ったというスイーツ、期待させてもらうよ。」


月は厨房から顔を出し、笑顔で応じる。

月:「ご来店ありがとうございます。パネットーネ、どうぞご堪能ください。」



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特別なパネットーネの提供


ほどなくして、アルベルトの前に盛り付けられたパネットーネが運ばれた。

その表面には美しい焼き色がつき、中から漂う甘いフルーツの香りがふわりと広がる。


アルベルトはフォークを手に取り、一口頬張る。目を見開き、思わず感嘆の声を上げた。

アルベルト:「……これは、素晴らしい……!ふわふわの生地にフルーツの甘さが絶妙だ。」


近くで様子を見ていた月は、満足そうに頷きながら微笑む。

月:「ありがとうございます。長時間をかけて仕込みましたので、その価値が伝われば幸いです。」


アルベルトは少し感心した様子で月を見つめ、言葉を続けた。

アルベルト:「ぜひスタードールでも提供したいものだ。」


その言葉を聞いた瞬間、月の笑顔が一瞬だけ冷ややかなものに変わった。しかし、すぐに元の明るい表情に戻り、柔らかく答える。


「その話なのですが……当店が閉店後にスタードールに伺い、お話しする機会をいただけますか?」


アルベルトはその提案に驚きつつも、前向きな展開を期待して笑みを浮かべた。

「それは、前向きな返事がもらえるということなのかな?」


「ええ、まあ……詳しいお話は後ほど直接お伝えします。」


その言葉に、アルベルトは満足げに頷きながら席を立った。

「そうか、それなら楽しみにしているよ。だが、一つだけ言わせてもらう。この店のスイーツには、いつも驚かされる。」


「光栄です。またのご来店をお待ちしています。」


アルベルトが店を後にすると、月は彼の背中をじっと見送りながら、静かに呟いた。

「ふん……準備は整ったわ。あとは、仕掛けるだけ。」


その言葉の意味を知る者は、まだ誰もいなかった――。



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