---
朝の静けさが広がる雪の庭。その空間に響くのは、キッチンで作業する音だけだった。ヴィクトリアは、まるで舞台で踊るように流れる動きで、今日の目玉商品「まるごとみかん大福」の準備を進めていた。
「まずはこちらをご覧ください。」
ヴィクトリアは厨房の中央に立ち、整然と並べた材料を指差しながら、スタッフたちに語りかける。
材料一覧
ジパング特産柑橘フルーツ(みかん) … 適量
白餡 … 適量
求肥(餅生地) … 適量
片栗粉 … 適量(作業用)
「このみかんは、ジパング特産のもので、果汁が豊富で甘さと酸味のバランスが絶妙です。これを使って、みかんの風味を最大限に生かした大福を作ります。」
---
作り方の手順
ヴィクトリアはみかんを丁寧に手に取り、スタッフたちに見せる。
「まず、このみかんの皮を剥きます。注意すべき点は、白い薄皮までしっかり取り除くこと。これが残ると、食感が損なわれてしまいます。」
彼女は薄皮を剥きながら、スムーズな手さばきを見せる。
剥き終わったみかんをそっと皿に置き、次の工程に進む。
「次に、この白餡を使ってみかんを包みます。」
ヴィクトリアは手元の白餡を少量取り、薄く広げながら説明を続ける。
「白餡は均一に広げることで、見た目も味も綺麗に仕上がります。」
彼女は丁寧にみかんを白餡で包み、スタッフに見せた。
「このように、みかん全体を覆うように包みます。これで甘さと酸味のバランスが整い、一口で絶妙な味わいが楽しめるようになります。」
---
求肥の準備
次にヴィクトリアは、片栗粉を軽く広げた作業台の上に求肥を乗せた。
「次は、この求肥で白餡に包まれたみかんを包みます。」
彼女は求肥を手早く薄く伸ばし、みかんを中心に置いてゆっくり包み込む。
「求肥は柔らかいので、引っ張りすぎないよう注意してください。全体を包み込んだら、余分な部分を切り取って形を整えます。」
ヴィクトリアが完成品をスタッフに見せると、それはまるで芸術品のように美しく仕上がっていた。
---
試食品の完成
「これで完成です。」
ヴィクトリアが皿に盛り付けた「まるごとみかん大福」を、スタッフたちに渡す。
弥生が一口食べて、目を輝かせた。
「すごい……みかんのジューシーさが白餡と求肥と完璧に合わさってます! 甘さもちょうど良くて、絶対にお客様に喜ばれます!」
月も感動した様子で続ける。
「これ、すごく美味しい!みかんの酸味がさっぱりしてて、いくらでも食べられそう!」
花は冷静に完成品を観察している。
「保存効率も良いし、見た目も可愛らしい。これなら冷蔵魔道具で品質を保ちながら、十分に提供できるわね。」
---
フルーツ大福セットの発案
試食品を配り終えたヴィクトリアが、スタッフ全員に向き直る。
「本日は、この『まるごとみかん大福』に加えて、『いちご大福』をセットにした『フルーツ大福セット』として提供いたします。」
雪乃がその提案に目を輝かせた。
「セット? 違う味わいの二品を組み合わせるなんて……さすがだわ、ヴィクトリア。」
ヴィクトリアは静かに微笑む。
「異なるフルーツの味を楽しむことで、お客様に新たな体験を提供できます。それが雪の庭の使命です。」
雪乃は満足げに頷いた。
「これで今日のお客様もきっと大満足ね。準備は完璧よ、開店しましょう!」