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第27話:本日のスイーツはフルーツ大福セット 開店 1:開店前の準備




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朝の静けさが広がる雪の庭。その空間に響くのは、キッチンで作業する音だけだった。ヴィクトリアは、まるで舞台で踊るように流れる動きで、今日の目玉商品「まるごとみかん大福」の準備を進めていた。


「まずはこちらをご覧ください。」

ヴィクトリアは厨房の中央に立ち、整然と並べた材料を指差しながら、スタッフたちに語りかける。


材料一覧


ジパング特産柑橘フルーツ(みかん) … 適量


白餡 … 適量


求肥(餅生地) … 適量


片栗粉 … 適量(作業用)



「このみかんは、ジパング特産のもので、果汁が豊富で甘さと酸味のバランスが絶妙です。これを使って、みかんの風味を最大限に生かした大福を作ります。」



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作り方の手順


ヴィクトリアはみかんを丁寧に手に取り、スタッフたちに見せる。

「まず、このみかんの皮を剥きます。注意すべき点は、白い薄皮までしっかり取り除くこと。これが残ると、食感が損なわれてしまいます。」


彼女は薄皮を剥きながら、スムーズな手さばきを見せる。

剥き終わったみかんをそっと皿に置き、次の工程に進む。


「次に、この白餡を使ってみかんを包みます。」

ヴィクトリアは手元の白餡を少量取り、薄く広げながら説明を続ける。

「白餡は均一に広げることで、見た目も味も綺麗に仕上がります。」


彼女は丁寧にみかんを白餡で包み、スタッフに見せた。

「このように、みかん全体を覆うように包みます。これで甘さと酸味のバランスが整い、一口で絶妙な味わいが楽しめるようになります。」



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求肥の準備


次にヴィクトリアは、片栗粉を軽く広げた作業台の上に求肥を乗せた。

「次は、この求肥で白餡に包まれたみかんを包みます。」


彼女は求肥を手早く薄く伸ばし、みかんを中心に置いてゆっくり包み込む。

「求肥は柔らかいので、引っ張りすぎないよう注意してください。全体を包み込んだら、余分な部分を切り取って形を整えます。」


ヴィクトリアが完成品をスタッフに見せると、それはまるで芸術品のように美しく仕上がっていた。



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試食品の完成


「これで完成です。」

ヴィクトリアが皿に盛り付けた「まるごとみかん大福」を、スタッフたちに渡す。


弥生が一口食べて、目を輝かせた。

「すごい……みかんのジューシーさが白餡と求肥と完璧に合わさってます! 甘さもちょうど良くて、絶対にお客様に喜ばれます!」


月も感動した様子で続ける。

「これ、すごく美味しい!みかんの酸味がさっぱりしてて、いくらでも食べられそう!」


花は冷静に完成品を観察している。

「保存効率も良いし、見た目も可愛らしい。これなら冷蔵魔道具で品質を保ちながら、十分に提供できるわね。」



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フルーツ大福セットの発案


試食品を配り終えたヴィクトリアが、スタッフ全員に向き直る。

「本日は、この『まるごとみかん大福』に加えて、『いちご大福』をセットにした『フルーツ大福セット』として提供いたします。」


雪乃がその提案に目を輝かせた。

「セット? 違う味わいの二品を組み合わせるなんて……さすがだわ、ヴィクトリア。」


ヴィクトリアは静かに微笑む。

「異なるフルーツの味を楽しむことで、お客様に新たな体験を提供できます。それが雪の庭の使命です。」


雪乃は満足げに頷いた。

「これで今日のお客様もきっと大満足ね。準備は完璧よ、開店しましょう!」




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