朝の清々しい空気が漂う中、雪の庭の扉が開いた。店の前には開店を待ちわびた常連客たちが列を作っている。中には初めて訪れる新規の客も混ざり、どことなく期待と興奮が感じられる。
店の入り口に立つのは、雪の庭の象徴とも言えるヴィクトリア。彼女は一歩前に出ると、優雅な一礼とともに澄んだ声でお客様を迎えた。
「いらっしゃいませ。本日のスイーツは『丸ごとみかん大福』と『いちご大福』をセットにした『フルーツ大福セット』でございます。」
その声は穏やかでありながら、列に並ぶ全ての客に届くような気品があった。
客たちの反応
その案内を聞いた常連客たちは、目を輝かせながらざわつき始めた。
「今日は『フルーツ大福セット』? みかんといちごなんて、絶対美味しいに決まってる!」
「ヴィクトリアさんが言うと、普通のスイーツでも特別なものに感じるわね。」
初めて来た新規客も興味津々でヴィクトリアの説明に耳を傾けていた。
「ここ、評判通りすごい店だな。大福がメインって珍しいけど、食べるのが楽しみだ!」
客が一組ずつ店内に案内される中、ヴィクトリアの接客は一切の無駄がなく、流れるようだった。
「どうぞこちらの席へお掛けください。本日はフルーツ大福セットをお楽しみいただけます。」
彼女の案内に続き、スタッフたちも効率よく動き始める。厨房では弥生がスイーツを準備し、ホールではクラリスとセリーヌが笑顔で対応していた。
店内の様子
遊びテーブルでは雪乃たちが静かに様子を見守っていた。
月はテーブルに肘をつきながら、ヴィクトリアの動きを目で追う。
「やっぱりヴィクトリアってすごいよね。あの声と動きだけで、店全体が整うって感じ。」
雪乃は紅茶を飲みながら、余裕のある笑みを浮かべて答える。
「それがヴィクトリアの力よ。この店がスムーズに回るのも、彼女のおかげ。」
星姫がスイーツを一口つまみながら、冗談めかして言った。
「もしかして、ヴィクトリア一人でもこの店回せちゃうんじゃない?」
雪乃が苦笑いしながら首を振る。
「それでも、私たちがいる意味はあるわよ。きっと……ね。」
店内がほぼ満席となり、最後の客を案内し終えたヴィクトリアは、一礼をして扉を静かに閉じた。その所作はどこまでも優雅で、通りを行き交う人々の目を惹きつけた。
ヴィクトリアは軽く身を正し、ホールに戻ると、雪乃の方を向いて言った。
「雪乃様、すべてのお客様を無事ご案内いたしました。本日は平穏に進みそうです。」
雪乃は軽く頷き、微笑んだ。
「ありがとう、ヴィクトリア。きっと今日も素晴らしい一日になるわ。」