世界の根源との死闘を終え、ミライたちは深い穴から脱出した。地上に戻ると、森を覆っていた不気味な静けさは消え、木々は再び生気を取り戻し、動物たちの声が聞こえてきた。まるで、長い悪夢から目覚めたかのようだった。
「…終わったんだ…」
ガイは、空を見上げながら呟いた。彼の顔には、安堵と疲労の色が入り混じっていた。
「ええ…終わったわ。」
ミライは、静かに頷いた。彼女の体はひどく疲弊していたが、その瞳には、使命を終えた者の安らかな光が宿っていた。
リリアンは、二人の無事を確認し、安堵の涙を流した。彼女は、回復魔法で二人の傷を癒し、体力の回復を助けた。
彼らは、王都アストライアへと帰還した。王宮では、王をはじめ、多くの人々が彼らの帰りを待っていた。彼らの姿を見た人々は、歓声を上げ、彼らの無事を喜んだ。
ミライたちは、王に今回の出来事を報告した。世界の根源との遭遇、そして、その力を制御したこと。王は、ミライたちの勇気と功績を称え、深い感謝の意を表した。
「そなたたちの働きは、王国だけでなく、世界を救ったと言っても過言ではない。心から感謝する。」
王は、深々と頭を下げた。
ミライは、王の言葉を受け、静かに言った。
「これは、私だけの力ではありません。ガイとリリアン、そして、私を支えてくれた全ての人々のおかげです。」
彼女は、ガイとリリアンを見つめ、優しく微笑んだ。二人は、照れくさそうに微笑み返した。
今回の出来事を通して、ミライは、自身が持つ力の意味、そして、自身の使命を改めて認識した。彼女は、古代文明の遺産を受け継ぎ、世界の均衡を守るという、大きな使命を背負っていることを自覚した。
王は、ミライの功績を称え、彼女に新たな称号を与えた。「均衡の守護者」—それは、世界の均衡を守り、人々を導く者という意味を持つ、特別な称号だった。
ミライは、その称号を受け、改めて決意を新たにした。彼女は、これからは「均衡の守護者」として、世界のために尽力していくことを誓った。
その後、ミライは、王宮で王の補佐を務める傍ら、世界の各地を巡り、様々な問題の解決に尽力するようになった。彼女は、古代文明の知識と自身の経験を活かし、自然災害の予防や復興支援、紛争の調停など、幅広い分野で活躍した。
ガイは、引き続き王宮騎士団の団長として、王都の警備と王国の防衛に尽力していた。彼は、ミライの活動を陰ながら支え、彼女が困った時にはいつでも相談に乗っていた。
リリアンは、神殿で人々のために奉仕活動を続ける傍ら、ミライの活動を支援するようになった。彼女は、神殿で得た知識や人脈を活かし、ミライの活動を様々な面からサポートした。
ミライ、ガイ、リリアン。彼らは、それぞれの立場で、世界のために尽力し、人々のために貢献していった。彼らの活躍は、人々に希望を与え、世界に平和をもたらした。
そして、時は流れ…
ある日、ミライは、王宮の庭で、遠くの空を見上げていた。彼女の目には、遠い過去の記憶、そして、未来への希望が映っていた。
その時、彼女の背後から、優しい声が聞こえてきた。
「ミライ…何を考えているんだ?」
声の主は、ガイだった。彼は、以前と変わらぬ優しい笑顔で、ミライを見つめていた。
ミライは、振り返り、優しく微笑んだ。
「ガイ…私は…この世界が、これからも平和でありますようにと祈っているの。」
彼女は、再び空を見上げ、静かに言った。
「そして…私たちが紡いできた物語が、これからも人々の心に残り続けるようにと…」
ガイは、ミライの言葉を聞き、静かに頷いた。彼は、ミライの隣に立ち、同じように空を見上げた。
二人の間には、静かで穏やかな時間が流れていた。それは、過去を振り返り、未来への希望を語り合う、かけがえのない時間だった。