目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第11話 緊急コラボ配信

「どうもダンジョンではお久しぶりになります。高校生カップルライバー、ハル&アキのアキです!」

「ハルです! 久しぶりのダンジョン配信……頑張ります!」


トーキョーダンジョンの1層にやってきました、アタシ。ポチです。ただいまハル&アキの配信開始の口上を間近で眺めてるとこ。

相変わらず初々しい……バクハツシロ。


「昨日の雑談配信でお伝えした通り、今日はトーキョーダンジョン10層のボスにリベンジします」

「正直なとこ1~9層ではもうあんまりレベルが上がらなくなっちゃいまして。それでも出来ることはやってきました!」

「今回はなんとか帰還の翼を1つ用意できたので、少し安心して挑めるかと思います」

「イレギュラーなんて何度も起きないとは思いますけどね!」


スマホで同時にハル&アキの配信画面を開いてみればコメントが“頑張れ”、“フラグ乙”、“フラグ”、“イレギュラー無ければ楽勝だったもんな”、とポンポン流れていく。

うん、アタシもフラグだと思う。映画あるあるだね。


「あの、それとですね。今日はもう1つお知らせがあります」

「なんと今日は私達の他にもう1人、配信に参加してくれる方がいます!」


お、アタシの出番だ! ハルちゃんの手招きに応えてカメラの死角からヒョッコリと顔を出して手を振ってみる。

なんとなんと、ヨウからオッケーが出てハル&アキの配信に参加できることに! あ、モチロン配信はヨウも見てるよ。


“誰? ライバー?”

“誰だ”

“めちゃ可愛い”

“ジャージっ娘誰?”


流れてくコメントはアタシに誰何するモノが大半。

そりゃあ謎の人物だからね。

「自己紹介お願いします!」とハルちゃんに催促されたので早速やっていくことにする。


「ポチです! ダイバーやってます! トーキョーダンジョンは3回目でレベルは10くらい! (ヨウ~見えてる~?)」

『見えてるから……呼び掛けないの!』


テンション上がって呼び掛けてしまいハル&アキのカメラに拾われないように音量を落としたチョーカーマイクからヨウの叱咤が飛んでくる。またおこられたー。


“ポチ……? 誰?”

“まさか事故スパチャの?”

“60万の!”

“あー! あの配信の! ダイバーだったのか”


「えー、お名前で察しがついた方もいるみたいですね。  この方はポチさん、僕らに高額スパチャをして下さったダイバーさんです」

「結局キャンセルは無くて、そのお陰で色々準備が進めれたんです。あの……ポチさん、大丈夫だったんですか? あんなにスパチャしていただいて」

「はい! あれはアダ」

『ポチ!』 

「あ、あぅ……あぶく銭! アレはあぶく銭だったので! でも今は金欠です! 今日は晩御飯代を稼ぎに来ました!」


あっぶな……アダマンタイトのことは秘密だった。

ギリギリセーフ。


“金欠ww スパチャしちゃダメじゃん”

“貧乏っ娘か、推せるな”

“宵越の銭は持たない主義”

“ポチちゃんは配信しないの?” 


早速アタシについてのコメントが。

配信は、ヨウに駄目って言われてるので「配信はしませーん」と応えておく。


「あ、あはは……そういうわけで今日はまずはポチさんと一緒に9層までのダンジョン攻略をしていこうと思います! 今日のスパチャはポチさんへのお返しにしたいなって考えてます」

「皆さん、ポチさんの晩御飯が豪華になるようによろしくお願いします!」

「え、悪いよー! アタシはドロップ品売れるから!」

「あ、それもそうか……じゃあ僕らが倒した分のドロップも全部ポチさんに譲ればいいですね」

「それで大丈夫! あ、あとアタシもボスに一緒に挑ませてよ」

「うーん……大丈夫かな? どうかなアキ君」

「道中でポチさんの実力を見せてもらって、それから決めようか。ポチさんもそれでいいですか?」

「大丈夫~」


ふっアタシの力を持ってすればボスなんてイチコロよ……や、力を見せ過ぎるのはヨウに禁止されてるんだけど、一応ヨウのアドバイスで配信中どういう風にするかは決めてもらってる。まぁ見てなさいってね。


“ポチちゃん大丈夫か?” 

“ついていけるか? ハル&アキはレベル高いぞ”

“頑張れポチ”

“ジャージっ娘頑張れ”


コメントもアタシを侮っているなぁ……?

これは本気を見せるしか『手加減』あっ、はい、わかってる! わかってますよー!

ヨウの絶妙なタイミングの牽制がみなぎってきたアタシのやる気をゴリッと削いだ。


『顔に出過ぎよ……ポチ』

「だってー」

『侮らせておけばいいの……どうせ手加減したってアンタの強さは隠しきれないんだし……本当の本当の実力がバレなかったらヨシにしてあげる』 

「え! いいの!?」

『ハル&アキに合わせるくらいにしときなさいね』

「はーい!」


意外や意外! ヨウからもちょっと力を出していい許可が出た! ははーん、さてはアタシが侮られてるのに腹を立てたなぁ? わかってるよ、ヨウ!


「ポチさん行きましょう」とアキ君が呼んでいる。

こうやって誰かと行動するのはヨウを除けば本当に久しぶり。アキ君もハルちゃんもいい子達だし、前みたいにイレギュラーがあってもアタシがまた守ってあげるからね! え、これもフラグ?








この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?