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第30話 戦果

「それじゃ戦果の確認をするわよ!」

「いぇ~い! パチパチパチパチドンドンドンパフッパフッ」

「……え、今のパフッてどうやって出したの? 本物ソックリ」

「ふつうに口からだけど? パフッ」

「そ、そう。ヒューマンビートボックスってやつね」


コホンと咳払いするヨウは夢魔スタイル。

そう、アタシ達はヨウのマスタールームにいるのである。

戦争に勝利してヨウのマスターとしてのレベルが上がったということでその確認をするところ。


「えーと……あ、これね。マスターレベルが5になったみたい」

「それって強いの? アキ君、ハルちゃんが30だったよね?」

「人間のレベルとはまた違うみたい。レベルが上がることでマスター能力が増えたり、使えるダンジョン機能が増えたりするのよ」


ちなみにアタシはコアモニターを確認するヨウの肩に頭を乗せて一緒にモニターを眺めてる。

ヨウが真面目な顔してるの珍しいからむしろ横顔ばっかりみてるけど。


「機能解放……階層上限が200まで増えて、あとは……」


ズラズラと解放されたことを並べればこんな感じ。


・ダンジョン階層上限50→200

・階層並列化上限10→20

・モンスターパック選択上限2→10

・モンスターパックラインナップ追加

・モンスター復活

・眷属化機能

・隷属化機能


ついでに最初からあったダンジョン機能も並べとく。


・DP経験値化

・モンスターサイズ変更

・モンスター能力強化

・DPアイテムショップ(マスターレベルでラインナップ増加)

・モンスター転移

・モンスター位置交換

・モンスターへのマスター特性付与


 etc……や、他にも上げたらもっとあるんだけど、とりあえず便利そうな機能だけでもこのくらい。

ダンジョン……複雑すぎるよう。


「「……頭痛くなりそ」」


2人して溜め息をついてさらに確認を進める。

次はヨウのマスター能力が増えたということでそっちの確認だ。


・生気吸収(性行為によりDP獲得)

・魅了(異性のみ)

・ドリームマスター NEW!


「ドリーム?」

「えっと……眠ってる相手の夢を自由に操れるみたいね どんな夢でも見せられて、目覚めるのも妨害できるし、あとは強制的に眠らせる力もあるわ。まぁ相手が強いと効きが悪いみたいだけど」

「おー!」

「まぁ、うん、夢魔らしくえっちな夢を見せる為の能力ね」

「……実験台にならなるからね?」

「……バカ」


え、だって試したくなるよね? ならない?

夢でも好きな人と一緒とか素敵だよね。


「あとは、倒したマスターの能力を2つ使えるようになるみたいなんだけど……」


・鉱物生成(DP消費で鉱物を生成。マスターレベルでラインナップ増加) 

・鉱物化(身体に生成できる鉱物の特性を付与) 

・採掘強化(採掘量、レアリティ増加) 

・憑依(任意の相手に意識を移す。抵抗可) 

・DP回収強化


「どれがいいかしら?」

「んぅ~……あ、たぶん鉱物化っていうのが、トロールが黒くなったやつじゃない?」

「え? あぁ、マスター特性付与でモンスターにも使わせてるのか……ブラックティラ吉とかめっちゃ強そうじゃない?」

「いい! めっちゃいい! 1個は決まりだね」

「うん。あともう1つはちょっと後回しでいい? トーキョーダンジョンの扱いを決めたいのよね」

「ふんふん」

「選べるのはリセット、統合、継続なんだけど……」



・リセット

ダンジョンコアを初期状態に戻し新たなコアとして運用する。その際、元のダンジョンが運用開始からそれまでに取得してきた量と同量のDPを得る。


・統合

ダンジョンコアを自身のダンジョンコアに統合する。

階層を加算し、モンスター図鑑、モンスターパック選択状況を引き継ぐ。


・継続

破壊されたコアを再生しダンジョンを元に戻す。

モンスター図鑑、モンスターパック選択状況を引き継ぎ、ダンジョンマスターとして運用する。


「どれもメリットデメリットがね~」

「リセットってメリットあるの?」

「大量にDPが入るのと、パック選択の幅が拡がる……かしら?」

「……あのめっちゃ強かった奴は? ザ・大地みたいな」

「あー……ガチャ回してあのレベルの強力なのがまた出るとも限らないわね」

「うん……あと統合? もダンジョン無くなるんだよね? トーキョーダンジョンでダイバーしてた人が困るんじゃない? アキ君、ハルちゃんも! また一緒にダイブしよーって約束したし」

「それもそっか……あ、ていうかパックは再選択できるのね。図鑑とパックがひも付けられてるからそこは吟味が必要かもだけど……じゃあダンジョンは継続で!」

「賛成~!」


というわけでトーキョーダンジョンはとりあえず継続決定に。

入り口とかリポップの設定とかもそのままに再生させることになった。


「となると、マスター能力の引き継ぎあと1つをどうするかよね。憑依は相手をコントロールする能力なのかしら? だったら私の魅了と被るからいらないけど」

「ヨウ……魅了とか出来たんだね。え、アタシも魅了されてる?」

「異性だけだし使ってないわよ」

「こんなにメロメロなのに!?」

「私もポチにメロメロよ?」

「えへへ~」


頬をすり寄せながらだけど一応アタシもどの能力がいいか考えてみる。


「……鉱物生成ってアダマンタイトとか?」

「……そうよね」

「……売れるよね」

「……そうね」

「「決まりじゃん」」


早速ヨウは引き継ぎ能力を決定。鉱物生成と鉱物化だ。

能力の確認をしていたヨウは興奮気味に捲し立てる。


「わ、わ! アダマンタイトどころか! オリハルコンもいける! ふつうに金銀プラチナミスリルも! 鉛とか錫、宝石に……塩? 鉱物の範囲広っ!」

「やったー!」

「ポチ……見ててよ……アッアッアッ」

「ブフッ あー、なんだっけ!? カオアリカオナシみたいな!」


ヨウが手のひらをお椀にしてアニメ映画のキャラの真似をしてザラザラと金の粒をこぼしはじめたのに思わず吹き出してしまう。


「拾え拾え~! ポチを出せ~!」

「もー! ヨウ、悪のりしすぎ!」

「あははゴメンて」


床に散らばった細かいのって意外と拾うの大変なんだからね? アタシじゃなきゃ一仕事だよ。

一応、鉱物を出すのにDPを使うみたいだけど、なんかもう気にしなくなったよね。


「よーし! じゃあ早速売りにいくわよ!」

「おー!」


ヨウが追加で出したオリハルコンの塊を携えて、いざ買取りカウンターだ!



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