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第33話 D-MALu

「お出かけ久しぶり~」

「ほんっと……ここ最近ドタバタし過ぎたわ」


いやはや、本当にいろいろあり過ぎたよね。

金欠になって初めてダンジョンに潜ってまだ1ヶ月も経ってないって信じられない。

ハル&アキを助けて、アダマンタイトで無駄遣いして、

変な空間に出たと思ったら、未知のダンジョンに。

またハル&アキと出会って一緒にダイブして、アクシデントはあったけど友達になれた。

楽しくなりそうと思えば実はヨウはダンジョンマスターでダンジョン戦争があるなんて言われて、てんやわんや。絶対にヨウを死なせたくなくてすっごく頑張った。

無事に戦争に勝利して、なんやかんやでヨウが手に入れた能力でお金が稼ぎ放題に。


や、ヨウと一緒にオリハルコン売りにいったらさダンジョン協会の職員さんが激詰めしてくるんだもん。

「どこの階層で手に入れたましたか!? 時間は!? 階層の位置は!? どのモンスターからのドロップですか!?」ともう鬼気迫る勢い……男性職員だったからヨウが魅了して黙らせたけど。

宝箱からのドロップってことにさせて、ついでにトーキョーダンジョンの新たなマスターになったヨウが適当に宝箱を出現させて、とりあえずアタシ達が持ち込んだのと同じオリハルコン1kg突っ込んどいた。ちなみに2億くらいで買い取ってもらえた。

そのせいか今トーキョーダンジョンはオリハルコンでの一攫千金を求めるダイバー・ライバー達で戦争以前よりさらに人が詰め寄せている。ヨウが出さなきゃ宝箱は出ないんだけど。


トーキョーダンジョンは基本的には戦争以前の状態に戻してある。

ただしモンスターのリポップ間隔は最短の10分にしてある。

ほら……誰かさんがやったみたいに30分で攻略されたら困るからね。

リポップとかダンジョン維持とかにはDP使うハズなんだけどなんか3Pから減らないし遠慮なく使おうということに。

再生したトーキョーダンジョンのコアとにらめっこして、悪戦苦闘の末やっと設定が終わってヨウもようやく羽が伸ばせるということで今日は買い物デートです!


破れちゃったジャージの代わりにダンジョンダイブ用の服が買いたいし、置き去りにしたフローティングカメラと壊れたチョーカーマイクも新調したい。

あとはヨウのダンジョンで遊びたい。

だってジュラシックだよ、ジュラシック。

探検着みたいなので没入したいじゃん。

自堕落アウトドア生活もいいよね!

果たして自前のダンジョンがアウトなのかインなのかは量りかねるけど。


本音を言えばこのままダラダラ生活をしたいんだけどヨウがダンジョンマスターである限り戦争の脅威はつきまとう。

トーキョーダンジョンがヨウのものになっているから強制執行を待たずに宣戦布告をされる可能性もある。

アタシは……そりゃ敵がいないほどに強いけど、ダンジョンが未知なことには変わらない。油断は大敵。

映画では「おいおい何びびってるんだ?」とか抜かしたヤツから死んでいくって決まりだし。

ま、アタシもヨウも性格が性格だからどこまで慎重になれるか分からないけど何が来てもはね除ける準備はしておくつもり。

それに……実はヨウとある1つの計画を立てている。

まだどうなるかわからないし、アタシとヨウだけじゃ進められない。ま、お楽しみにってとこで!


さて、アタシ達がいるのはダンジョンダイバー向け総合複合施設『D-MALu(でぃーまる)』。

ちなみにダンジョンの未知に光を灯すという「Dungeon's Mystery, Approach to Light uncovering」の略らしい。

地上35階、地下5階。総敷地面積2,700,000㎡。

バイオフィリックデザインが取り入れられていて、壁面にも内装にもふんだんに緑が生い茂り、建物内に川が流れて滝すらある。

もうこいつがダンジョンなんじゃないの? ってくらい馬鹿デカな施設だ。

武器に防具にスキル石、その他ダンジョンアイテムなんでもござれ。

ライバー向けの高性能配信機器はもちろん、ダイバー向けとはいいつつ一般人だって楽しめる複合商業施設に加え、室内遊園地もあれば、企業テナントもいくつも入っている。

ダイバー用VR訓練施設。訓練用アスレチック。配信者向け防音設備に交流スペース。最先端医療リラクゼーションetc。

あぁもう切りがないから後はパンフレットを見ろ!


D-MALuがあるのはトーキョー中心からはかなり離れた郊外。デカ過ぎて土地の確保の問題がね。

じゃあ交通の便が悪いかというとそこはモーマンタイ!

ダンジョン産出品と企業努力は既に空飛ぶ車を実用化してる。大型バスサイズのフライングシャトルが時速400kmで飛び回り各地の主要駅とD-MALuを結んでいる。

ダンジョン産出品が可能とした超交通網がニッポン中に張り巡らされていて、人も物もどこにでもあっという間に移動できるのだ。アタシは自分で飛ぶけど。

今日もヨウを抱えてビュンとひとっ飛びよ。


「お、来た来た」

「やっとね! 私を待たせるなんていい度胸してるわ」

「や、アタシより速く着くのは無理だよ、ヨウ? 約束よりは30分も早い便だし」

「分かってるって、冗談」


シャトルターミナル。アタシは続々とやってくる大型シャトルを透視して待ち合わせの相手が乗ったシャトルを見つけた。ヨウが傍若無人なこと言ってるのを嗜めながら待ち人が降車するのを待つ。


「やっほー! アキ君! ハルちゃん! こっちこっち!」

「ポチさん? 随分早いですね! 」

「こんにちは! ポチさん! 私達、結構早めの便に乗ったんですよ?」

「まーね! あ、5分も待ってないからね」

「それなら良かったです……ええとそれで」

「あ、紹介するね! このちょっと偉そうにしてる和美人がヨウ! アタシのパートナーね」

「……ふん」

「ごめんね? ヨウは人見知りなんだ」

「ちょっとポチ! アンタが言えた義理?!」

「昔の話だもーん」


はい! というわけで! 今日はハル&アキとダブルデートなのだ!

いつもの調子のアタシとヨウに「仲が良いんですね!」とハルちゃんが笑う。あ、アキ君はヨウに惚れちゃダメだぞ?


「とりあえずランチにする?」

「そうねー。食べるとこってどこかしら?」

「アタシ達D-MALu来るの初めてなんだ。アキ君、ハルちゃん案内お願いできるかな!」

「はい! お任せください! まずはフードエリア行きのトラムに乗らないとですね」

「こっちです。すぐそこに乗り場がありますよ」


ふぇ~……広すぎて場内の移動にも乗り物を使うらしい。数分に1本のペースで走るフローティングトラムが目的地まで運んでくれる。

アタシはヨウと、アキ君はハルちゃんと。

しっかり手を繋いでトラム乗り場に向かうのだった。





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