今日は、セレナちゃんと狩りに来ていた。
セレナちゃんが嬉しそうに言った。
「今日は何を狩るの?」
「今日はブルーホーンを狩って、帰って燻製にするんだよ。」
「わーい、楽しみ! 私、ブルーホーンの肉大好き。」
「セレナちゃん、おいしそうにお肉食べるもんね。本当にお肉好きなんだね。」
「うん、大好きだよー。」
色々なお肉の話をしながら狩りを終え、帰っていると、ふと気になったセレナちゃんのことを聞いてみた。
ずっと気になっていたので、セレナちゃんに魔法のことについて聞いてみた。
「魔法は使えるよ! いろんな魔法が使えるんだ。でも、ヴェスのように銃は扱えないけど。」
「大丈夫。銃を使える人はこの世界ではあまりいないから。あと、魔法の方が強力だし! だから、ぜひ魔法を教えてほしい。」
「分かった。任せてよ! 私の魔法は強いからね。」
こうして、セレナが師匠となり、魔法の特訓が始まった。魔法の練習をしていない時は、姉に銃の練習を見てもらっている。
数ヶ月経っても魔法が使えなかった。一人で落ち込んでいると、セレナちゃんが声をかけてきた。
「落ち込まないで。」
「私に任せて。魔法が使えるようにしてあげるよ。」
「私たちエルフは、一生に一度、他人に魔法を伝授することができるんだ。」
「そ、そんな、一生に一度なのに、僕に伝授するなんてもったいないよ。」
「いえ、私はヴェスに伝授すると決めてたんだ。」
「本当? ありがとう、ありがとう…。」
今までどんなに努力しても魔法が使えなかったから、本当に嬉しかった。これで自分も一般男性として普通の地位を手に入れられるのか…。
「それじゃあ、目を閉じて。」
「分かった。」
次の瞬間、緑色の眩しい光が辺りを包んだ。10秒ほどで光が収まった。
「これで魔法は使えるの?」
「うん! これでエルフしか使えない上級魔法も使えるはずだよ。」
教えてもらったことを思い出しながら「ファイア」の詠唱をしたけど、何も起こらなかった。なぜだ…。
「あれ? おかしいね。」
「魔法の継承に失敗することってあるの?」
「いえ、エルフの中でそういう話は聞いたことないけど…。もしかしたら、エルフから人間への魔法の伝承ができないのかもしれない。」
「そんな~~。」
魔法が使えないことが分かったので、次の日からまた銃の訓練をしていた。
そして、数ヶ月たったある日、銃を撃ちながら面白半分で「ファイア」の詠唱をしたら、魔法弾薬でもないのに弾丸が炎に包まれた。
「うおぁっ!」
びっくりしすぎて変な声が出た。実際、ファイアは出せなかったけど、弾丸が炎を纏ったのだ。
すぐさま母のところに行って、どういうことか聞いてみた。銃を撃ってたら魔法が使えたと話してみた。
母によると、それは昔、魔族が最初に攻めてきた時に魔王を倒した賢神の中で、人間だけが使えた「銃に魔法を込める魔法」だそうだ。魔法弾薬と組み合わせることもできるらしい。銃に魔法を込めることに成功すると、通常の攻撃魔法に匹敵する、もしくはそれ以上の威力の魔法が弾丸を通じて発生するらしい。
それじゃあ、早速特訓だ。そう思い、姉とセレナちゃんにそれぞれ銃の使い方と魔法を教わりながら、毎日特訓した。
セレナちゃんが魔法の師になって数ヶ月、魔法を銃に込めること以外は一向に魔法が使えるようにならない。やっぱり自分には素質がないのかと落ち込んでいた時、姉が言った。
「魔法学校に行ってみなよ。魔法が使えなくても、何か能力が認められれば魔法学校に入れるらしいし、もしかしたら魔法も使えるようになるかもしれないよ。」
「なるほど! それもいいかもしれないね。」
その手があったかと思い、さらに銃の練習をすることを決めた。ちなみに、姉はすでに魔法学校に入学している。
俺が小さい頃、父がこんな言葉を言っていた。「もし魔法が使えなくても、銃の技術を磨けばいい。魔法の練習をしてたら、いつか使えるようになるかもしれない。」それまで自分は諦めない…。
入学試験に通るように、姉に対策をしてもらっていた。セレナちゃんも魔法学校に入りたいそうなので、一緒に姉に学んでいた。
入学試験までセレナちゃんと姉と特訓や勉強を一生懸命頑張り、見事に合格。この春から魔法学校に通うことになった。ちなみに、セレナちゃんも合格したので、一緒に喜んだ。