姉と訓練するようになって半年ほど経ったある日、森の中で狩りをしていたら、一人のエルフを見かけた。どこから来たんだろう。魔族は見たことがあるけど、エルフは初めてだ。もしかしたら、魔族と同じように異世界から来て、ひっそり暮らしているのかもしれない。
金色の髪を一つ結びで後ろに束ねていて、髪はかなり長いみたいだ。そして、黒のスカートに白のブラウス、緑のマントを羽織っていて、杖の先が緑色に光っている杖を持っている。エルフの少女で一番目が行ってしまうのは胸だ。腰に緑の帯のようなものを巻いていて、それが余計に胸を強調している。いかにも魔法使いって感じのエルフで、俺が想像していた金髪のエルフそのものだ。背が低く、身長は150cmくらいかな。見ているだけで癒される。でも、そのエルフの少女はこっちを獰猛な猛獣でも見るような目で見ている。何かに怯えているみたいだ。
「どうしましたか?」
「誰ですか?」
「いや、怪しい者じゃないですよ。」
「本当ですか?」
「魔族じゃないですか? 私をさらったりしませんか?」
「そんなことしませんよ。」
「本当ですか? 信じていいですか?」
「そんなひどいことしませんよ!」
「なら、どこか隠れる場所があるなら教えてくれませんか?」
正直、迷った。この子を助けたら魔族に目を付けられるかもしれない。でも、両親が「困った人がいたら助けてあげなさい。いずれ自分に返ってくるよ」と言っていたのを思い出し、気づいた時にはエルフの手を引いて走り出していた。
とりあえず、家に連れて行こう。
そして、そのエルフの少女を家に連れて帰った。
「ヴェス、その子は誰? 人間には見えないけど。」
「困ってそうだったから助けたんだ。」
「そういえば、あなたのお名前は?」
「セレナです。この世界に迷い込んで2年くらい経ちます。でも、私だけこの世界に来たみたいで、ずっと一人で身を潜めてました。」
「なるほど。じゃあ、しばらくうちに住んでいいよ。なんでも食べられるの?」
と母が言った。
「人間と同じ食事で大丈夫です。本当にいいんですか?」
「うん、いいよ。」
そうこうしていると、姉が帰ってきた。
「ヴェス~、それ誰?」
「諸事情で一緒に住むことになったんだよ。」
「そうなんだ。よく分からないけどよろしくね。ヴェスは女の子慣れしてなくて友達少ないから、友達になってあげてね。」
「お姉ちゃん、やめてー。」
「でも、事実でしょうが~。」
「ところで、名前はなんて言うの?」
「セレナと言います。」
「そうだ、セレナちゃん。うちでは敬語使わなくていいよ。もう家族なんだから。」
「フレイもヴェスもそう思うでしょ?」
「それがいいね、うん!」
「僕もそう思います、母様。」
「でも、そんなわけには…。」
「いいって、いいって。」
「分かりました。あ、ありがとう。これからよろしくね。」
こうして、俺は謎のエルフの少女セレナと暮らすことになった。
このエルフの少女との出会いが自分の人生を大きく変えるなんて、その時は思いもしなかった。
魔法を使って便利に狩りをしたり、日常生活を送ったりしたいと思うけど、俺には魔法の才能がない。だから姉に銃の技術を教えてもらいながら暮らしている。でも、やっぱりどうしても魔法を使ってみたい。
昔、父から聞いた昔話で、エルフは魔法が使えるって話を聞いたことがある。俺が生まれる何十年も前に、異世界から魔族が押し寄せてきて、その時に少しだけエルフも来たらしい。その時の人間と魔族の戦争は、「賢神」と呼ばれる6人の賢者が魔王を倒し、勝利したそうだ。
そして現在、また魔族がこの世界に来て数年経ち、再び魔族との戦争になるんじゃないかとみんな危惧している。セレナちゃんは最近魔族が再び来た時に巻き込まれたのかな。
今はまだ人間と魔族の戦争にはなっていないけど、いずれにせよ、魔法が使えない俺には関係のない話だ…。
だから、魔法が使えるセレナちゃんに、魔法のこと少し聞いてみようかな。