湊斗、同級生たちがフットサルをしているのをコートの外で見ている。古賀、やってきて、一緒に少し眺めて、(古賀)「·····見つかったか?佐倉」(湊斗)「(笑って)そんな本気で探してないですよ」(古賀)「そっか」(湊斗)「別に用があるとかじゃないんで。紬が想っぽい人見かけたらしくて。ちょっと思い出しただけです。」(古賀)「高校のとき、遊びに行ったりしなかったのか、佐倉の家」(湊斗)「え、まぁ、よく行きましたけど」(古賀)「ほんとに会いたいなら、実家行ってみるとか見かけたとこで待ち伏せするとか、いろいろあるだろ」(湊斗)「行きましたよ。実家。音信不通になったころ」(古賀)「·····」(湊斗)「想のお母さんが、元気だから気にしないでって。でも気になって、想の大学まで行って、ちょっと話したんですけど·····うん。ほんとに元気だったから。もうしょうがないなって。向こうが関係切りたいなら、どうにも」(古賀)「·····何言ってた?佐倉」湊斗、思い出して、視線が落ちて、(湊斗)「想、紬いらないって」(古賀)「·····(湊斗から目をそらす)」(湊斗)「俺もう青羽いらないから、やるよって。あげるって」(古賀)「·····」(湊斗)「悔しいからすぐもらわなかったんですけど、結果もらいました。紬に聞かれたら私はモノじゃないってキレられそうですけど」と、笑い話にしようとする。(古賀)「·····」古賀、事務所に入って、スマホを見る。【最近どう?】と送ったLINEに、【静かです。】と想から返信。賑やかな店内。勤務中の紬、品出しをしている。大学生のアルバイト・田畑利空(21)、特に何もせずだらだらと近づいてきて、(田畑)「青羽さん、社員なるってまじですか?」(紬)「え?いや、まだわかんないけど。なれたらラッキーだけど」(田畑)「新卒もとってくれるか聞いといてくださいよー」(紬)「田畑くん就活してんでしょ?」(田畑)「週3でスーツ着て電車乗ってたらおかしくなりそうで。週5でそれしたら俺、もう、終わります」(紬)「あー·····(いろいろと思い出して)おかしくなってからだと遅いからねー」(田畑)「ですよねー」2人から少し離れたところ、高校の制服姿の男女が試聴機で交互に音楽を聴いている。(紬)「·····」紬、つい見つめてしまう。田畑もそれを見て、(田畑)「戻りたいなぁ、高校生」(紬)「·····」(田畑)「青羽さん、なんで会社辞めたんですか?」まだ高校生たちを見つめている紬。