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第11話 再開…!愛した人は音を無くしていた…切ない恋が動き出す♯11

湊斗、早足に駅へ向かう。鼓動が速まり、足を止めて、深呼吸する。スマホに着信。紬から。躊躇い、出られない。電話が切れる。その場にしゃがみ込む湊斗。(紬)「·····出ないや」紬、スマホを置き、お弁当を食べる。ゆかこ、机を挟んで紬の前に座って、(ゆかこ)「彼氏?」(紬)「はい」(ゆかこ)「なんか急用?」(紬)「いや、ただの次会う約束なんで、LINEでもいんですけど。私、電話派で。電話好きなんです。声で話すほうが楽だし」(ゆかこ)「ふーん。高校の同級生だっけ?」(紬)「はい」(ゆかこ)「高校からずっと付き合ってんの?」(紬)「·····いえ、同窓会で再会パターンです」帰りの電車を待つ湊斗。想へLINEを送ろうとするが、悩んで書いては消しを繰り返す。(ゆかこ)「どんな人?」(紬)「優しいです。なんかもう主成分優しさって感じの人で」(ゆかこ)「何それ」(紬)「怒らないんです。怒ったとこ見たことなくて。人のために優しさ全力で使っちゃって、自分の分残すの忘れちゃう人で」(ゆかこ)「生きづらそうだね」(紬)「(苦笑い)」(ゆかこ)「その彼氏がスピッツ好きなんだ」(紬)「え?」(ゆかこ)「言ってたじゃん。前に。好きな人が好きでー的なこと」(紬の声)「あー違います。好きだった人です。昔の、好きだった人」想、CDショップの前を通りかかる。ふと足を止め、店のほうを見る。(想)「·····」諦めたように視線をそらし、また歩き出す。(ゆかこ)「あ、元カレ?」(紬)「·····昔付き合ってた·····好きだった人です」(ゆかこ)「元カレじゃん」(紬)「·····好きだった人です」紬、電車に揺られながらぼんやりと外を眺める。(紬 M)「もう一度、話したかった。卒業したあと、元気だったのか、それだけ知りたかった」湊斗、会社のデスクでスマホを凝視。想のLINEに【久しぶり。元気?】と打ち込む。悩んだ末、送信。(紬 M)「私は元気だよって伝えたかった。湊斗と付き合ってるんだよ。佐倉くんは?って、今なら笑って聞ける気がした」落ち着かない様子で仕事を再開する湊斗。(紬 M)「だから、会いたかった」紬、腕時計を見る。一息ついて、ワイヤレスイヤホンを耳に付けて歩き出し、改札に入る。

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