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第13話 再開…!愛した人は音を無くしていた…切ない恋が動き出す♯13

紬、仕事を終えて外に出る。


湊斗が待っていて、


(湊斗)「おつかれ」


と、声をかける。


(紬)「え、どしたの?」


(湊斗)「俺もさっき仕事終わって。ご飯でも行こうかなーって、紬と」


(紬)「行こ行こ。お腹減ったー」


と、歩き出す2人。


(湊斗)「·····(空を見て)晴れてるね」


(紬)「(空を見て)夜に晴れてるっていう人いるんだ」


(湊斗)「晴れてるよ。月出てる」


(紬)「(笑って)そういうとこ好きだなぁ」


(湊斗)「·····想」


(紬)「·····ん?(と湊斗を見る)」


(湊斗)「会えたの?」


(紬)「会えないよ。会えない会えない」


と、笑って誤魔化す。


(湊斗)「会えたらどうすんの?」


(紬)「別にどうもしないよ。だって私、ね。覚えてるでしょ。高校卒業してすぐ」


(湊斗)「·····」


(紬)「振られてるし。好きな人できたって。今更私も、なんの未練もないし。こっちこそ好きな人いますけどって感じだし」


と、湊斗の手を取る。


手を繋いで歩く2人。


(湊斗)「·····」


(紬)「ただ、元気でいてくれたらそれでいいっていうか。もう時効だしさ、今ならもう、なんもダメージなく聞けるもん。その好きな人とどうなったの? とか」


湊斗、辛くなって、泣きそうになるのを堪えて、


(湊斗)「·····うん。話したいよね」


(紬)「ね。私ね、あ、これも時効ってことで許して」


(湊斗)「ん?」


(紬)「私ね、佐倉くんの声が好きだったんだよね」


(湊斗)「·····」


(紬)「だから話したいっていうのはある。あ、怒んないでね。怒んないか、そんなことで」


と、笑う。


湊斗、耐え切れなくなり、紬の手を放す。


立ち止まる2人。


紬、一瞬驚いて固まり、すぐに笑顔で


(紬)「·····あ、高校生のときの話だよ?」


湊斗、泣きそうになり、顔を隠す。


(湊斗)「わかってる、わかってる·····」


(紬)「え、ごめん、ちょっと冗談っていうか·····」


湊斗、顔を上げ、気丈に振る舞って、


(湊斗)「違う違う。妬いてるとかじゃないって。怒ってないから。ごめん、想の話とかして」


(紬)「ううん、別に、全然·····(冗談になるよう大袈裟に)あっ、湊斗の声も好きだよ!」


(湊斗)「(笑って)いいって」


2人、緊張が解けたように笑う。


紬、「手繋ごう」と手を差し出す。


手を取る湊斗。


歩き出す2人。


出かける準備をしている紬。


(光)「どっか行くの?」


(紬)「ん、内見。今日で決める予定」


(光)「湊斗くんに迷惑かけないようにね」


(紬)「(めんどくさそうに)はいはい」


(光)「俺ね、結構本気でね、良いなって思うの。姉ちゃんと湊斗くん」


(紬)「(照れ笑いで)はいはい」


(光)「いってらっしゃーい」


(紬)「いってきまーす」と、笑顔で出かける紬。

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